堤由匡建築設計工作室による、中国・上海市の「Pi ハウス」。両側の壁を共有するタウンハウスの改修。表裏にしか開口部を設けられない細長い平面に対し、諸室や吹抜の配置で“満遍なく光と風が行き渡る”空間を構築。荒い壁で光を受け止める“心地よい渓谷”の様な住居を作る
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海市の「Pi ハウス」。両側の壁を共有するタウンハウスの改修。表裏にしか開口部を設けられない細長い平面に対し、諸室や吹抜の配置で“満遍なく光と風が行き渡る”空間を構築。荒い壁で光を受け止める“心地よい渓谷”の様な住居を作る1階、左:エントランス、右:リビングルーム photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海市の「Pi ハウス」。両側の壁を共有するタウンハウスの改修。表裏にしか開口部を設けられない細長い平面に対し、諸室や吹抜の配置で“満遍なく光と風が行き渡る”空間を構築。荒い壁で光を受け止める“心地よい渓谷”の様な住居を作る1階、ダイニングルーム、現場打の壁面を見る。 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海市の「Pi ハウス」。両側の壁を共有するタウンハウスの改修。表裏にしか開口部を設けられない細長い平面に対し、諸室や吹抜の配置で“満遍なく光と風が行き渡る”空間を構築。荒い壁で光を受け止める“心地よい渓谷”の様な住居を作る2階、リビングルームから階段側を見る。 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海市の「Pi ハウス」。両側の壁を共有するタウンハウスの改修。表裏にしか開口部を設けられない細長い平面に対し、諸室や吹抜の配置で“満遍なく光と風が行き渡る”空間を構築。荒い壁で光を受け止める“心地よい渓谷”の様な住居を作る3階、タタミルームからエレベーターと階段側を見る。 photo©朱潤資

堤由匡建築設計工作室が設計した、中国・上海市の「Pi ハウス」です。
両側の壁を共有するタウンハウスの改修計画です。建築家は、表裏にしか開口部を設けられない細長い平面に対し、諸室や吹抜の配置で“満遍なく光と風が行き渡る”空間を構築しました。また、荒い壁で光を受け止める“心地よい渓谷”の様な住居を作る事も意図されました。

上海市郊外の3階建てタウンハウスの改修プロジェクト。
南北に開口部を持つ両サイドを隣戸に挟まれた細長い平面で、どのように満遍なく光と風を行き渡らせるかということを考えた。

建築家によるテキストより

まず採光条件の良い南面には、1階にリビング、2階3階は寝室を配置する。リビングは床を下げることで、視線が変化し、外の緑が近く感じられ、身体が囲まれることで、コージーな居場所となる。
北側の1階ダイニングと2階ラウンジの間には細長い吹き抜けを設け、北側開口部からの採光が空間を照らし出すように考えた。北側3階は和室兼ゲストルームとしている。そしてガラスエレベーターを中央に配置し、階段の踊り場からも上下移動の様子を垣間見ることができる。

建築家によるテキストより

吹き抜けに面する壁にはリブコンクリートを現場打ちしている。リブの表面を斫ることで光がチラつき、雨粒が流れ落ちるかのような繊細さと、荒々しいブルータルさが対比的に共存している。全体の色調はグレーと白で統一し、リブコンクリートと調和するように考えた。

建築家によるテキストより
長坂常 / スキーマ建築計画による、京都市の店舗「ル ラボ 京都町家」。フレグランスブランドの為に町家を改修。“地域的かつ歴史的な文脈”を踏まえた空間を目指し、意匠から家具まで様々な問題に関して対話を重ねながら設計。既存・新設部・商品が“溶け合う”様な状態を作り出す
長坂常 / スキーマ建築計画による、京都市の店舗「ル ラボ 京都町家」。フレグランスブランドの為に町家を改修。“地域的かつ歴史的な文脈”を踏まえた空間を目指し、意匠から家具まで様々な問題に関して対話を重ねながら設計。既存・新設部・商品が“溶け合う”様な状態を作り出す外観、西側の道路より見る。 photo courtesy of Le Labo
長坂常 / スキーマ建築計画による、京都市の店舗「ル ラボ 京都町家」。フレグランスブランドの為に町家を改修。“地域的かつ歴史的な文脈”を踏まえた空間を目指し、意匠から家具まで様々な問題に関して対話を重ねながら設計。既存・新設部・商品が“溶け合う”様な状態を作り出す1階、エントランスから通り土間を見る。 photo courtesy of Le Labo
長坂常 / スキーマ建築計画による、京都市の店舗「ル ラボ 京都町家」。フレグランスブランドの為に町家を改修。“地域的かつ歴史的な文脈”を踏まえた空間を目指し、意匠から家具まで様々な問題に関して対話を重ねながら設計。既存・新設部・商品が“溶け合う”様な状態を作り出す1階、通り土間 photo courtesy of Le Labo
長坂常 / スキーマ建築計画による、京都市の店舗「ル ラボ 京都町家」。フレグランスブランドの為に町家を改修。“地域的かつ歴史的な文脈”を踏まえた空間を目指し、意匠から家具まで様々な問題に関して対話を重ねながら設計。既存・新設部・商品が“溶け合う”様な状態を作り出す1階、売り場 photo courtesy of Le Labo

長坂常 / スキーマ建築計画が設計した、京都市の店舗「ル ラボ 京都町家」です。
フレグランスブランドの為に町家を改修する計画です。建築家は、“地域的かつ歴史的な文脈”を踏まえた空間を目指し、意匠から家具まで様々な問題に関して対話を重ねながら設計しました。そして、既存・新設部・商品が“溶け合う”様な状態を作り出しました。店舗の公式ページはこちら

ニューヨーク発のフレグランスブランドであるLe Labo。
私が最初にこのブランドを認識したのは、2016年のロンドンでのことだった。ちょうどBlue Bottle Coffeeやダンデライオンなど工場型の店舗をヨーロッパやアメリカで多く見るようになっていた頃で、たまたまロンドンの街を歩いているときに、マットな黒いスチールの店先が印象的で実験室をイメージさせるようなLe Laboの個性的な空間が目に入ってきた。

興味はあるものの、正直ほぼ何のお店かもよくわからず、弱気な僕には入れなかった。その後友人にLe Laboというフレグランスブランドで、店内に手作業で調香するためのラボを備えたショップであることを教わり、その存在が僕の中で刻まれたのだった。

建築家によるテキストより

それから、Le Laboの店舗をいろいろなところで見るようになった。
そんな時に京都木屋町の築145年になる長屋があってフラッグシップストアを構えるのでデザインで協力してほしいという相談を受けた。荒削りで打ちっぱなしの建築に銅製の什器やヴィンテージの家具などを合わせた空間でブランドのイメージを確立してきたLe Laboは、使い古されたものや侘び寂びに美を見出す感覚ももっている。

そういった哲学を共有しながら、今回の計画はこれまでのコンクリート躯体の建物とは構造的にも様式的にも異なる京都の古い町家ということで、地域的かつ歴史的な文脈を踏まえたお店づくりをする必要があるとブランドと共に考えた。

建築家によるテキストより

和と洋をどのようにコンビネーションするべきか? そもそもどこで靴を脱ぐべきか? 例えば、畳の間でのディスプレイのあり方はどうすべきか? 和の空間でありながら立ったままで見られる高さの商品台はどうあるべきか? 照明がない時代に生まれた空間にどのように照明を取り込むべきか? 調合イメージをどのように和の空間の中に取り込むか? 商品を取り扱う上で空間を清潔にしたいが建物の既存部分をどこまで残すべきか? 木造の中でどのようにブランドの代表的な仕上げを取り込むべきか?……など、Le Laboとブランドプレジデント兼クリエイティブディレクターであるデボラ・ロイヤーと共に話し合いを重ねながら意匠面からプランニング、詳細な家具のあり方、アンティークの家具のセレクトまで行った。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス[期間:2024/7/22-7/28]
最も注目を集めたトピックス[期間:2024/7/22-7/28]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2024/7/22-7/28)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 青木淳と品川雅俊のASが改修を手掛けた、京都市東山区の店舗「MOMOTARO JEANS KYOTO」がオープン。京町家の美しさを引き継いで、古い素材を活かしながら新たな素材を重ね合わせる
  2. 芦沢啓治建築設計事務所による、東京・港区の「House in Aoyama」。アートと家具に詳しい施主の為の住宅。作品や家具と空間の関係性を考慮し、プロポーションや場所に加えて周辺のディテールの在り方までを意識した設計を実施。多様なRC壁の仕上げもアートとの相性を確認して決定
  3. 梅原佑司+山﨑円 / 風憬社による、高知・高岡郡の「久礼の家」。重要文化的景観にも選ばれる町でキャンプ等が趣味の施主の為に計画。周辺と馴染む“大きな切妻屋根の平屋”で、建具を開け放つと“屋外にいる様な”感覚になる建築を考案。収納や家事の為に機能的な動線計画も行う
  4. 土浦亀城邸が、東京・南青山のポーラ青山ビルディングの敷地内に移築され一般公開へ。月2回の公開で、2024年9月2日から予約受付を開始
  5. トラフ建築設計事務所による、東京・渋谷区のオフィス「Arc’teryx Tokyo Creation Center」。既存建物の内外装を改修したクリエイション拠点。人々が集まる施設として、内外の繋がりの促進を意図し“OUTSIDE IN”を主題とする空間を志向。“山”をテーマにしたアートでブランドの原点も想起させる
  6. 佐熊勇亮 / 建築ズによる、千葉・習志野市の「津田沼の住宅改修」。築約40年のRC造集合住宅での計画。予算の制約下で“効果的に使い倒せる”場を目指し、元々の質を読み取り“環境に相乗りする”設計を志向。既存梁を参照した“ウソ梁”で一室空間の中に“領域性”を作り出す
  7. 長坂常 / スキーマ建築計画による、北海道の店舗「函館千秋庵総本家」。外観の上下が和洋折衷の建物が並ぶ地域に建つ老舗和菓子店の改修。新しい“和洋折衷”の在り方も意図し、地域でも馴染み深い“洋煉瓦”を“尺モジュール”等で馴染ませる空間を考案。家具類は床が隆起した様に作る
  8. トラフ建築設計事務所による、東京・港区の店舗「TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO」。模型メーカーの為の新旗艦店。“世界に発信できる”文化拠点を目指し、ボックスアートを積極的に見せる“全長約100m”の商品棚を中心とする構成を考案。“街の模型店”も想起させ“好奇心”の湧く空間を作る
  9. 長坂常 / スキーマ建築計画による、長崎・対馬の宿泊施設「hotel jin」。フェリー乗場に近い木造旅館を改修したホテル。国内外のゲストを迎える“島の表玄関”を目指し、イベント開催も可能な“エンプティな空間”を備えた建築を考案。外から内部の様子を伺えるように窓まわりにも手を加える
  10. 芦沢啓治建築設計事務所による、東京・渋谷区の店舗「The Conran Shop Daikanyama」。ヒルサイドテラスの二区画でのショップとカフェ等の計画。上階のショップでは、回遊性のある“誰かの自宅を訪ねる様な楽しさ”を備えた空間を志向。下階のカフェ等は、様々な素材を用いつつも“静謐”な空間を作る
  11. OMA / レム・コールハース+クリス・ヴァン・ドゥインによる、フランス・ボルドーの「シモーヌ・ヴェイユ橋」。幅44m長さ549mの橋。地域のアイデンティティとなる存在を目指し、全幅の半分以上を“多目的に使える公共空間”とする構成を考案。形式や構造表現への関心を捨ててパフォーマンスにフォーカスして構想
  12. 長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・港区の「TOKYO NODE CAFE / TOKYO NODE LAB」。虎ノ門ヒルズ ステーションタワーでの計画。人々の活動を支援するリラックスした創作の場を目指し、“常に変化を受け入れられる様な”場を志向。既存仕上げの剥離等で周囲と対比的な“おおらかな”空間を作る
  13. 2025年のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館のキュレーターに、青木淳が決定。テーマは「中立点-生成AIとの未来」。キュラトリアルアドバイザーに家村珠代、出展作家に藤倉麻子+大村高広と砂木が名を連ねる
  14. 長坂常 / スキーマ建築計画による、岐阜・大垣市の店舗「船町ベース」。江戸時代から栄えた地域に建つカフェ併設の和菓子店。隣接する公園との繋がりを求め、同じ樹種を植えて連続性を作り“徐々に中に引き込まれる”状況を構築。大屋根を持つ三棟の配置で“心地良い”外の居場所も作る
  15. アーティストのダグ・エイケンによる、アメリカの砂漠に、鏡張りで原寸大の家状のオブジェを設置するという作品の写真
  16. 星安康至建築設計事務所による、東京・墨田区の「​横網のヘッドスパ」。施主運営の地域に開かれた美容院の隣に計画。既にある地域との繋がりを考慮し、用途に必要な“落ち着き”と“開かれた雰囲気”を叶える空間を志向。場に必要な“繊細な距離感”を開口部や動線等の操作で作り出す
  17. MADによる、中国・深センの、テンセントの新社屋。世界的なIT企業の80ha超のキャンパス内での計画。企業の目標である“持続可能性”等に応える為、地上レベルを公共空間としても開放する“高床式”の建築などを考案。2025年までに竣工して使用開始を予定
  18. 石上純也建築設計事務所による、山口の「House & Restaurant」。旧知の友人の為の住宅兼店舗。“時間と共にその重みを増していく”空間の要望に、地面に穴を掘りコンクリートを流して土の中の躯体を掘り起こしガラスを嵌める建築を考案。不確定要素を許容し使い方の発見更新を繰り返して作る
  19. 東海林健 / EAによる、新潟市の「shiba house / 関屋の家」。砂丘地の起伏に沿って出来た住宅街での計画。土地固有の快適性の獲得を求め、内外を繋げた“砂丘にそのまま暮らすかの様な”地形と親密性のある個室群を備えた建築を考案。街並みへの批評性と地域との連続性も意図
  20. ArchTankによる、広島・呉市の「明法寺三聲苑 二尊堂」。歴史ある寺の境内に造られた合祀墓。社会状況に応える“新しい墓の形式”を目指し、既存の庭に“木造の小さな屋根”を架けて“庭全体を墓に見立てる”合祀墓を考案。残された人々の日常の先にある存在として作る

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