保坂裕信 / haが設計した、神奈川・横浜市の「8つの光庭のある家」です。
往来のある道に面した敷地での計画です。建築家は、外の視線から保護しつつ“光が溢れる住環境”を実現する為に、天窓や高窓から採光する“光庭”を平面に散在させる構成を考案しました。また、施主の望む“ミニマル”も二重壁等を用いて木造で実現しています。
クライアントと土地探しから協働し、土地を決めて建築を建てる順番ではなく、希望の建築が建つ土地を探しました。
購入した土地は、前面道路が敷地の北西側で幅が約6.5m、道路斜線規制は緩い条件ですが、北西側に小学校が位置し児童の行き来なども多いため、建築内部のプライバシーを守りつつ、光が溢れる豊かな住環境の設計を求められました。
クライアントは、デザインに深く興味のある方で、線の少ない繊細なディテールでミニマルなデザインを希望していました。構造体は、計画当初はRCを希望していました。予算の都合で在来木造になりましたが、いわゆる「木造感」を極力消して、端正な佇まいの建築を求められました。
「構造」に関しては、二層吹き抜けと三層吹き抜けがズレながら重なっているダイナミックな空間構成を現実にするために、在来木造を基準に必要箇所に鉄骨梁を使用する事で成立させました。「光を導く開口部」は、線の少ない繊細なディテールを実現するために、サッシ枠を全てスチールの折り曲げとし、袖壁や垂れ壁を排除する事で室内に光と影の陰影をデザインしました。
「8個の光庭」は、敷地のポテンシャルを最大限に引き出す意図で敷地内に散在させると共に、隣接する内部空間に必要な光量を導くように配慮しました。「木造感」は、壁の厚みに着目し、要所要所で「W壁」を採用する事、その「W壁」に開口部をデザインし枠に奥行き感を作り出す事で、「木造感」を消す事に成功しています。