大島碧+小松大祐 / 風景研究所が設計した、宮城・仙台市の「十字土間の家」です。
面積的に余裕のある敷地での計画です。建築家は、庭と建築の親密な関係性の構築を求め、庭を“適切なサイズに分割”もする“十字形状”平面の建築を考案しました。また、土間を中央に置く構成として内外の繋がりに加えて“大らかな回遊性”も生み出しました。
仙台の高台にある住宅。
公園の隣に位置する広い敷地をあますことなく使いこなしたいという考えと、家庭菜園や趣味のDIYを楽しみ、地面と近い生活を楽しみたいというクライアントの要望から、敷地に十字形状に屋根を走らせ、いくつかの居心地よく使いやすい大きさの庭に分け、庭と建築の親密な関係性をつくり出せないかと考えた。
1階では各部屋は十字形状の土間に沿って配置され、庭と土間のどちらにもつながっている。
土間の中心は吹き抜けになっており、そのまわりを屋根裏部屋のような勾配天井のある寝室群の2階スラブが取り巻いている。居室はできるだけ小さな単位に分解し、その間に土間や廊下を通すことで、おおらかな回遊性をつくりだしている。
玄関土間から始まる生活のシークエンスは、キッチン、ダイニング、リビング、和室、水回りと順々にめぐり、「道」と「部屋」の明快な関係は徐々にほぐれていき、上階の寝室へ至るころには、曖昧な「道状の部屋」となる。
居室のあちこちに開けられた窓からは、向かい合う居室・土間・庭・公園・高台からの街のながめなどが切り取られ、ふわふわと、様々な距離感をもった風景が内部立面にモザイク状に現れる。