小野良輔と五十嵐理人による、鹿児島・奄美大島の「母子の家」。施主と母の二人家族の為の住まい。生活スタイルと呼応する在り方を求め、リビングに加え個室も中心になる“多中心な”建築を志向。大小の空間をずらして配置し“生活の中心と空間の機能の主従関係”を反転させる
小野良輔と五十嵐理人による、鹿児島・奄美大島の「母子の家」。施主と母の二人家族の為の住まい。生活スタイルと呼応する在り方を求め、リビングに加え個室も中心になる“多中心な”建築を志向。大小の空間をずらして配置し“生活の中心と空間の機能の主従関係”を反転させる外観、敷地内の北東側より見る。 photo©石井紀久
小野良輔と五十嵐理人による、鹿児島・奄美大島の「母子の家」。施主と母の二人家族の為の住まい。生活スタイルと呼応する在り方を求め、リビングに加え個室も中心になる“多中心な”建築を志向。大小の空間をずらして配置し“生活の中心と空間の機能の主従関係”を反転させる外観、敷地内の東側より見る。 photo©石井紀久
小野良輔と五十嵐理人による、鹿児島・奄美大島の「母子の家」。施主と母の二人家族の為の住まい。生活スタイルと呼応する在り方を求め、リビングに加え個室も中心になる“多中心な”建築を志向。大小の空間をずらして配置し“生活の中心と空間の機能の主従関係”を反転させる「小部屋1」から「大部屋」を見る。 photo©石井紀久
小野良輔と五十嵐理人による、鹿児島・奄美大島の「母子の家」。施主と母の二人家族の為の住まい。生活スタイルと呼応する在り方を求め、リビングに加え個室も中心になる“多中心な”建築を志向。大小の空間をずらして配置し“生活の中心と空間の機能の主従関係”を反転させる手前:「大部屋」、正面左:収納、正面右:玄関、右:「小部屋1」 photo©石井紀久

小野良輔建築設計事務所五十嵐理人 / IGArchitectsが設計した、鹿児島・奄美大島の「母子の家」です。
施主と母の二人家族の為の住まいの計画です。建築家は、生活スタイルと呼応する在り方を求め、リビングに加え個室も中心になる“多中心な”建築を志向しました。そして、大小の空間のずらした配置で“生活の中心と空間の機能の主従関係”を反転させました。

奄美大島に移り住むことを決めたクライアントとその母のための小さな住宅の計画。

彼女たちは食事のとき以外はそれぞれ個室やリビングでそれぞれ別々に過ごす生活スタイルで、それゆえにいつでもお互いの気配を感じられるような住宅のあり方が求められた。
いわゆる子育て世代の住宅のようにリビングを中心とし、個室と収納、水廻りがそれらを囲うような計画ではなく、リビングと同様に個室も中心になるような多中心的な住宅の形を模索した。

建築家によるテキストより

この住宅は、中心の大きなスペースと外周に配置した小さなボリュームによる親子関係の平面形式により構成している。
ここでは大きなスペースを「母屋(おもや)」、小さなボリュームを「子屋(こや)」と呼ぶことにする。小さなボリュームは寝室、水廻り、キッチン、ウォークインクローゼットであり、これらをずらしながら配置することで余白をつくるように中央に大きなスペースを作り出している。

高天井に設けたハイサイド窓から豊かな自然光が射し込む母屋に対し、子屋は最低限の自然採光に抑えている。これは眩しさを抑えて少し薄暗いくらいの寝室を志向したクライアントの要望から導かれたものだが、空間の陰影の差を強調することで、より母屋の空間性をニュートラルなものにしている。

形式上中心に据えられた空間は、実は個室同士を接続した渡り廊下のような空間になることを意図している。生活の中心と空間の機能の主従関係は反転していて、多中心的な関係性がつくられている。母屋と小屋の接続部には大きなFIX窓を設けていて、親・子の空間を内部で分節しながら外部の風景を採り込み、自然や集落といった外部環境を感じさせる。

建築家によるテキストより

この計画では奄美の伝統的民家にみられる分棟形式や外廊下が作り出す外部環境とのつながりを参照しながら、現代のIターンのクライアントの暮らし方に合わせて再編集を行っている。それは上記のようなボリューム形式や外部空間の取り入れ方のみならず、軒の出による雨よけ・多湿な環境に耐えうる壁や屋根の構成・強い西日の影響を受けにくい配置計画・台風の吹き上げに堪えうるディテール等にも反映されている。

建築家によるテキストより

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