ファラによる、ポルトガル・マトジニョシュの住宅「house with an inverted roof」。郊外の“奇妙な輪郭”を持った住まい。半透明の台座に置かれた“爆発した箱”に見える外観を、様々な色の図形が散りばめられた“紙のコラージュ”のように設計。完結すると同時に断片的でもある建築が建ち上がる
ファラによる、ポルトガル・マトジニョシュの住宅「house with an inverted roof」。郊外の“奇妙な輪郭”を持った住まい。半透明の台座に置かれた“爆発した箱”に見える外観を、様々な色の図形が散りばめられた“紙のコラージュ”のように設計。完結すると同時に断片的でもある建築が建ち上がる photo©fransisco ascensao
ファラによる、ポルトガル・マトジニョシュの住宅「house with an inverted roof」。郊外の“奇妙な輪郭”を持った住まい。半透明の台座に置かれた“爆発した箱”に見える外観を、様々な色の図形が散りばめられた“紙のコラージュ”のように設計。完結すると同時に断片的でもある建築が建ち上がる photo©fransisco ascensao
ファラによる、ポルトガル・マトジニョシュの住宅「house with an inverted roof」。郊外の“奇妙な輪郭”を持った住まい。半透明の台座に置かれた“爆発した箱”に見える外観を、様々な色の図形が散りばめられた“紙のコラージュ”のように設計。完結すると同時に断片的でもある建築が建ち上がる photo©fransisco ascensao

ファラが設計した、ポルトガル・マトジニョシュの住宅「house with an inverted roof」です。
郊外の“奇妙な輪郭”を持った住まい。建築家は、半透明の台座に置かれた“爆発した箱”に見える外観を、様々な色の図形が散りばめられた“紙のコラージュ”のように設計しました。そして、完結すると同時に断片的でもある建築が建ち上がりました。


こちらは建築家によるテキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)

定義された建物の基底部分に、思いがけない形が立ち上がります。郊外住宅の一般的な傾斜屋根が反転されており、一方は曲線、もう一方は直線となって、単調な郊外をかき乱す奇妙な輪郭を生み出しています。そのヴォリュームは、半透明の台座の上に置かれた爆発した箱のように見えます。異なる垂直面と傾斜面は、それぞれ綿密に選ばれた異なる色によって区別されています。丸窓や四角い窓が白いキャンバスに点在し、三つの異なる立面を構成しています。いくつかは顔を模しているように見え、いくつかは空想上の動物を思わせます。ファサードの遊び心ある配色は青と緑のシャッターにまで及び、開口部を覆い隠し、家を白いキャンバスの上に色とりどりの図形が散りばめられた紙のコラージュのようにしています。緑、青、淡い緑、黒、白、そして再び緑の色調。

内部では、構造体が壁から分離しています。スレンダーな淡い緑色の5本のコンクリート柱の一連がさまざまな部屋に姿を現し、日常的な動作を妨げています。これらの柱のうちの1本は、何も支えずにテラスの上に行き着きます。1階のリビングスペースは庭に開かれており、その上にあるオフィスとつながっています。散発的な内部空間の複雑さは、吹き抜けの空間、ところどころ折れた壁、コンクリート柱、そして緩やかに傾斜した天井の結果です。最上階では、主寝室が押し出された四分円形の空間の中に位置しています。

この家は、コンクリート、大理石、あるいはガラスブロックで作られたものであれ、直線的な、折られた、切られた、曲げられた、傾けられた面から慎重に組み立てられています。それらの面は、空間を分け、重なり合い、交差し、覆いかぶさります。これらの面は、大胆に貫通する柱によって固定されています。内部空間は、入念に配置された要素のあいだを蛇行しています。家の形態は、完結すると同時に断片的でもあります。

VUILDと和建設による、高知の「仁淀川スタッドハウス」。林業が盛んな地域の移住者向け町営住宅。生産の多い“板材”を活用した“プロトタイプ”も目指し、“30×105mmの間柱材”を主として造る建築を考案。町内で全て完結するプロセスを実現し経済循環にも貢献
VUILDと和建設による、高知の「仁淀川スタッドハウス」。林業が盛んな地域の移住者向け町営住宅。生産の多い“板材”を活用した“プロトタイプ”も目指し、“30×105mmの間柱材”を主として造る建築を考案。町内で全て完結するプロセスを実現し経済循環にも貢献外観、南東側の道路より見上げる。 photo©楠瀬友将
VUILDと和建設による、高知の「仁淀川スタッドハウス」。林業が盛んな地域の移住者向け町営住宅。生産の多い“板材”を活用した“プロトタイプ”も目指し、“30×105mmの間柱材”を主として造る建築を考案。町内で全て完結するプロセスを実現し経済循環にも貢献玄関から空間全体を見る。 photo©楠瀬友将
VUILDと和建設による、高知の「仁淀川スタッドハウス」。林業が盛んな地域の移住者向け町営住宅。生産の多い“板材”を活用した“プロトタイプ”も目指し、“30×105mmの間柱材”を主として造る建築を考案。町内で全て完結するプロセスを実現し経済循環にも貢献中央手前:ダイニング、中央奥:リビング、右:キッチン photo©楠瀬友将
VUILDと和建設による、高知の「仁淀川スタッドハウス」。林業が盛んな地域の移住者向け町営住宅。生産の多い“板材”を活用した“プロトタイプ”も目指し、“30×105mmの間柱材”を主として造る建築を考案。町内で全て完結するプロセスを実現し経済循環にも貢献テラス photo©楠瀬友将

VUILD和建設が設計した、高知・仁淀川町の「仁淀川スタッドハウス」です。
林業が盛んな地域の移住者向け町営住宅の計画です。建築家は、生産の多い“板材”を活用した“プロトタイプ”も目指し、“30×105mmの間柱材”を主として造る建築を考案しました。また、町内で全て完結するプロセスを実現し経済循環にも貢献します。

林野率89%を誇る高知県仁淀川町は、林業の活性化のために移住者の受け入れに力を入れている。

毎年多くの人が、林業を学びに移住しにくるほど人気を博しているが、その受け皿として町営住宅の整備を行うことになった。その際、仁淀川町が進める原木流通のサプライチェーンの出口として、広く県内外に商流を展開することを目指し、町内で多く生産される板材を活用したプロトタイプを開発することが目指された。

建築家によるテキストより

このような経緯から地域の板材を活用することが設計上求められ、すべての部材を板材だけで建築することに挑戦した。
具体的には、仁淀川町内の製材所で多く生産されている30×105mmの間柱材を活用した。通常この材はCLTに加工されるラミナ材として県外に出荷されてしまうが、大型工場で接着してでき上がるCLT造への批判的実践として、合板などの接着剤を利用した面材を一切使用しない構造体を提案した。

町内に設置された小型切削機ShopBotを利用するため、部材長を3m以下と設定し、トラスや重ね柱など2本以上の材をボルトで組み合わせて使用することで各部材を構成している。
こうすることで将来的な分解や移築を容易にするだけでなく、誰でも建設可能な工法を目指している。

建築家によるテキストより

また、製材や乾燥、ShopBotでの加工、施工といったすべてのサプライチェーンを町内で完結させることができ、輸送コストや中間マージン、CO2排出量を削減すると同時に、町内の林業及び木材産業の活性化・経済循環に貢献することができる。

この工法が提示している未来像は、地産地消の家づくりのあり方だけでなく、木を伐り、その手で建築も建ててしまう新しい林業(家)のあり方だ。

建築家によるテキストより

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