小滝健司+高藤万葉 / TOAStによる、東京・港区の「窓辺の小さな美容室」。面積は小さいが大きな窓面のある区間。水平に連続する額縁に“フレームレスの鏡”を配置し、“虚像と実像”が境界なく切替わる“風景”を創出。入隅を曲面とした設計は必要座席数の確保や動線の効率化にも寄与エントランス側から空間全体を見る。 photo©中山保寛写真事務所
小滝健司+高藤万葉 / TOAStによる、東京・港区の「窓辺の小さな美容室」。面積は小さいが大きな窓面のある区間。水平に連続する額縁に“フレームレスの鏡”を配置し、“虚像と実像”が境界なく切替わる“風景”を創出。入隅を曲面とした設計は必要座席数の確保や動線の効率化にも寄与カットスペース photo©中山保寛写真事務所
小滝健司+高藤万葉 / TOAStによる、東京・港区の「窓辺の小さな美容室」。面積は小さいが大きな窓面のある区間。水平に連続する額縁に“フレームレスの鏡”を配置し、“虚像と実像”が境界なく切替わる“風景”を創出。入隅を曲面とした設計は必要座席数の確保や動線の効率化にも寄与カットスペース、開口部と鏡 photo©中山保寛写真事務所
小滝健司+高藤万葉 / TOAStが設計した、東京・港区の「窓辺の小さな美容室」です。
面積は小さいが大きな窓面のある区間でのプロジェクトです。建築家は、水平に連続する額縁に“フレームレスの鏡”を配置し、“虚像と実像”が境界なく切替わる“風景”を創出しました。また、入隅を曲面とした設計は必要座席数の確保や動線の効率化にも寄与しています。
南青山にある美容室の計画。
敷地となる部屋は南東向きの一面に窓があり、部屋自体は小さいが、もともと開放感のある印象をもつ場所であった。この既存建物の窓を生かし、窓辺が生み出す風景を構想した。
美容師であるクライアントが動画配信を行うことから、明るく広がりのある空間が求められ、同時に32㎡の部屋の中にカットスペース5席を設けることを求められた。シャンプー台2台を含めると、これらをレイアウトするには余裕のある面積ではなかったことから、面積を効率的に使うためにカットスペースの鏡を窓際に寄せる配置となった。
窓際にカットスペースを寄せると、入隅の部分がどうしてもデッドスペースになってしまい、5席を配置することが難しいという問題があったが、ここで、この入隅をスムージングし、曲線状とすると、5席が確保できることを見出せたことから、2辺が一体となった曲線状の大きな窓辺のカットスペースが生まれた。
このレイアウトは一方で、鏡によって窓の風景を遮ってしまうことになるが、水平に連続する曲線の額縁により、窓と鏡の高さを合わせフレームレスの鏡とすることで、窓の先の風景と鏡に映し出される室内の風景が混じり合うように、虚像と実像の風景が境界なく切り替わるスクリーンとなった。
客席カウンターが曲線の窓辺に沿って並ぶことで、それぞれ客同士が視線を交差することなく座ることができ、窓の風景を見ながら滞在することができる。また、この馬蹄型の平面レイアウトは、美容師や客の施術における動線を最大限、効率化した結果でもある。