


Horibe Associatesが設計した、大阪・高槻市の店舗「Cafe N+ / カフェ エヌプラス」です。
歴史ある神社と新しい劇場の間に位置するカフェの計画です。建築家は、両者を繋ぐ“街のにぎわいの場”として、既存風景と調和しつつも“主体的”な建築を志向しました。そして、素材の組合せや形態の操作で新旧の建築との関係を構築しました。店舗の場所はこちら(Google Map)。
高槻市の歴史ある神社と新しい芸術文化劇場を繋ぐ新たな街のにぎわいの場として、Cafe N+は既存の風景と調和しつつも主体的である建築を目指しました。
計画地は神社境内の一画であり、カフェのファサードは劇場との隣地境界線に面しています。
この隣地境界部分は工事中の劇場の計画では植栽帯とされていましたが、市の担当者と協議し、植栽帯をオープンスペースにすることで、カフェと一体的に利用できる広場を実現することができました。境内の複数ある既存建築物の延焼の恐れのある部分に影響を及ぼさないためには、建築物全体で500㎡以内(建基法2条六号)に納める必要があり、カフェの面積は必然的に18㎡以下となりました。
小さくても広がりを感じさせる空間を追求した結果、既存社務所に面する背面の壁を鉄筋コンクリート造として地震力を負担させ、この壁と鉛直荷重のみを負担する4本の木柱に軽やかな木造の屋根を乗せるという構成が決まりました。
コンクリートと木の組合せによるこの意匠は、神社と劇場双方の建築デザインの文脈をつなげる役割も果たしています。
屋根を既存社務所の軒下に納めることで背後の入母屋屋根から連なる建築のようにも見え、また水平ラインを強調したシンメトリーなファサードは鳥居の形状とも呼応します。内部の床壁に使用した墨モルタルは、既存建物外壁の黒漆喰の素材感に近づけることで、新旧の建築をつなぐ要素の一つとし、利用者が最初と最後に触れる扉の取手や家具には栗の無垢材を採用することで、居心地の良い空間と温かみのある手の感覚を同時に記憶してもらえるよう設えました。
