大室佑介アトリエによる、香川・多度津町の「鳥のための塔」。アート祭への出展作品として計画。“雄大な自然への敬意”と“墓地に近接する立地”も考慮し、島の一部となる“ささやかな塔”を志向。正八角形の柱の中に“円筒状”の内部空間を作って中谷ミチコのレリーフを配置
大室佑介アトリエによる、香川・多度津町の「鳥のための塔」。アート祭への出展作品として計画。“雄大な自然への敬意”と“墓地に近接する立地”も考慮し、島の一部となる“ささやかな塔”を志向。正八角形の柱の中に“円筒状”の内部空間を作って中谷ミチコのレリーフを配置俯瞰、東側より見る。 photo©若林勇人
大室佑介アトリエによる、香川・多度津町の「鳥のための塔」。アート祭への出展作品として計画。“雄大な自然への敬意”と“墓地に近接する立地”も考慮し、島の一部となる“ささやかな塔”を志向。正八角形の柱の中に“円筒状”の内部空間を作って中谷ミチコのレリーフを配置外観、南側より見る。 photo©若林勇人
大室佑介アトリエによる、香川・多度津町の「鳥のための塔」。アート祭への出展作品として計画。“雄大な自然への敬意”と“墓地に近接する立地”も考慮し、島の一部となる“ささやかな塔”を志向。正八角形の柱の中に“円筒状”の内部空間を作って中谷ミチコのレリーフを配置内部空間、天井を見上げる。 photo©若林勇人
大室佑介アトリエによる、香川・多度津町の「鳥のための塔」。アート祭への出展作品として計画。“雄大な自然への敬意”と“墓地に近接する立地”も考慮し、島の一部となる“ささやかな塔”を志向。正八角形の柱の中に“円筒状”の内部空間を作って中谷ミチコのレリーフを配置内部空間、天井を見上げる。 photo©若林勇人

大室佑介アトリエ / atelier Ichikuが設計した、香川・多度津町の「鳥のための塔」です。
アート祭への出展作品として計画されました。建築家は、“雄大な自然への敬意”と“墓地に近接する立地”も考慮し、島の一部となる“ささやかな塔”を志向しました。そして、正八角形の柱の中に“円筒状”の内部空間を作って中谷ミチコのレリーフを配置しました。
展示期間は、2025年11月9日まで。施設の場所はこちら(Google Map)。

瀬戸内国際芸術祭2025秋会期の一環として開催される「高見島アートトレイル」への出展作品として小さな塔を作った。

香川県丸亀市に隣接する多度津町の港から、一日数便のフェリーに乗って25分ほどで辿り着く高見島は、急斜面に張り付くように建てられた家々によって形成された集落が大きな特徴であり、往時には数百名の人口を記録したものの、その過酷な地形や人口減少の影響から現在は30名に満たない住人が残るのみになっている。

過疎化が進む離島を舞台に7組の作家によって展開される「高見島アートトレイル」は、その地形や風景といった島の特徴と向き合いながら、自然と人為の狭間を行き来するための“点”としての作品を配置し、島内を巡るための“線”を描いていく計画である。

建築家によるテキストより

会場の中心となる浦集落から少し離れた防波堤沿いに建つ「鳥のための塔」は、設計者自身と数人の協力者の手によって現地で組み立てられた。塔の外形は、幅1,820mm軒高3,640mmの1:2の比例に基づいた正八角柱の上に、矩勾配の角錐屋根が載る単純な幾何学形によって構成され、外皮を縦方向の線が強調される波板で覆うことにより、垂直方向へのシルエットを強調している。

1:1+1.618の縦横比で穿たれた開口から入ると、内部はφ1,500mmの円筒状になっており、半透明の屋根から注ぐ自然光が漆喰塗りの壁面をなぞって光の井戸のような空間を形成している。

湾曲した壁面には彫刻家・中谷ミチコによる凹型のレリーフ作品「青い鳥」が二羽埋め込まれており、その表面に充填された透明樹脂の反射も相まって、静謐な内部空間に微かな揺らぎを与え、水平に広がる瀬戸内海の景色から遮断された垂直の展示空間は、作品と一対一で向き合い、自然の奏でる音や光を享受するための装置となっている。

建築家によるテキストより

ここで目指したのは強い象徴としての塔ではない。
島の大半を占める雄大な自然に敬意を示すと同時に、高見島に特徴的な弔いの形である、埋葬地としての“埋め墓”と、墓参のための“詣り墓”とを分ける“両墓制”が残る墓地に近接する立地ということも考慮し、風景を乱すことなく、島の一部としての“ささやかな塔”になることを目標とした。

建築家によるテキストより

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