SHARE studio velocityによる”montblanc house 白い山のような家”
屋上を見る。屋根の下を歩いているといつの間にか青空の下に立っている。photo©studio velocity
studio velocityが設計した”montblanc house 白い山のような家”です。
屋上を見る。密集住宅地であることを感じないようにしながら同時に開放感を得る。
屋上を見る。斜めに空いた開口の下に立つと全身が外部に出る。
夏の夜には市内花火大会の花火が見える。
屋上に座ると住宅地の屋根の風景がひろがっている。
遠く山並みが見渡せ、密集住宅地にいることを忘れさせる。
2階寝室のテラスから屋根越しにこどもたちが帰ってきたのが見えるようになっている。
建築の中にいるのに屋根面が見えること。生活が外部を含んで展開されればと考えている。
一階前庭を見る。上を見上げると2階テラス・屋上へと3層連続した外部空間がある。
2階こども部屋テラスをみる。屋上へと続くハシゴが見える。
2階寝室テラスを見る。
キッチンと前庭を見る。おかあさんのいる場所とこどもの遊ぶ場所を近づけている。
外観。屋上に座って遠く山並みを見渡す。
以下、建築家によるテキストです。
「montblanc house 白い山のような家」
1階に小さな美容室をもつ住宅の計画。
店舗を営む若い夫婦2人と3歳の女の子、赤ちゃんの4人家族のための家。
敷地は三方を隣地住宅に囲まれた閑静な住宅地にある。
周辺地域はほとんどが2階建ての住宅で道に出れば家々の間からたまに遠く山並みが見渡せる位置環境だったが、
地上レベルの敷地は近距離に横隣の家々が迫りくるように建ち
敷地奥からも隣家とアパートが迫り居室開口は計画地側に開いていたので
そのような囲まれた状況に対してどのように開放的なスペースがつくれるのかを考え始めた。
建物は切妻の家型をした大きな傾斜屋根の下に1階から屋上まで3層が連続した外部を持っている。
傾斜屋根に開けられた大きな5つの開口部は建物内部に自然光と風と景色とを十分に取り入れながら、
開口はサッシのない「孔」であり近隣建物の窓とは全く異なる大きさで開けられているため、周囲の街並みに対して微妙なスケールの違いを生み出す。
周辺環境を違った風景に見せる対象物として、山や棚田や土木構造物のような、一般的な建築物より少し抽象的でスケールが違ったような存在にできないかと考えた。
それによってこの辺り一帯を模型を拡大したかのような、不思議なスケール感覚を近隣一帯につくり出す。
また開口の空いた屋根の下にある半外部空間は、山の中を歩く時の空間体験に少し似ている。
たとえば森で覆われたやまの中を歩いていると外だけれど外部からやわらかく包まれたように感じられる。
頭上高くを木々の葉が包み込む風の吹き抜ける散歩道は静けさの中に木の葉のざわめきや鳥の声や
ちいさい生き物の足音が聞こえてきてその状況の全体が都市空間や青空の下とは違った
室内的な場所性をつくり出しているように思う。
かと思うと、茂みから突然麓の街並みが見えたり
大きな木漏れ日から抜けるような青空が見えたり道中のいろいろなところで偶然「外部」に出会う。
そのような体験が密集住宅地の中でつくれないだろうか。
明るい大きな屋根にやわらかく覆われた半外部が連続していながら
階を登るにつれて様々な場所で「外」と出会う。
隣地からの視線や隣家の存在感を適度に消しながら
敷地の様々な方角や高さから見えるいろいろな「外」をつくれたらいいと思う。