鵜飼昭年 / AUAU建築研究所+名和研二 / なわけんジムによる”まといの家”

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鵜飼昭年 / AUAU建築研究所+名和研二 / なわけんジムによる”まといの家”

architecture, feature

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photo(C)吉村昌也/コピスト

鵜飼昭年 / AUAU建築研究所+名和研二 / なわけんジムが設計した瀬戸市の住宅"まといの家"です。


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以下、建築家によるテキストです。
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小さな子供2人と若い夫婦のための小さな住宅である。小高い丘の高低差を活かして、大地と空をつなぐダイナミックな流れのなかに、生活の場所としての「囲い」をつくり、その外側に「まとい」を着せることで余白や重なりを生み出した。これは、内部と外部の新たな関係性や距離感を創出し、構造的にはやわらかな「囲い」という主体を「まとい」が補強し、強化する構想とし、環境的には熱環境を緩和する役割を兼ね備えている。
1、ランドスケープ
瀬戸市の急峻な坂を上った見晴らしの良い敷地からは、南側に瀬戸の市街が一望できる、瀬戸川を挟んだコンケーブ地形の反対側に並ぶ家並みや、さらに奥の山々も望むことができ、名古屋の方向、瀬戸の方向、長久手の方向という3つの主な軸線も認識できる。背後には瀬戸のグランドキャニオンと呼ばれる、やきもの用の陶土採掘のため、巨大なクレータのようになったダイナミックなランドスケープと、それを縁取る県有林が、固有の生態系を有している。最寄り駅からの道は曲がりくねり、アップダウンの激しい地形と、高低差を調整するための大きな重量式の擁壁がこの地のランドスケープを特徴づけている。身体に記憶される、これらのランドスケープがもつ要素を建築の空間にも反映し、よりダイレクトにそれらをつなげられるようにプランニングしたいと考えた。
2、個を活かす個性
クライアントとマチを歩き、土地を探し、周囲のマチを採集し、家族の生活について一緒に考えていく過程で、プランニングは決定され、クライアントとの協働作業が進められた。1階に個室を配置しつつその連携を考え、展望を兼ねた生活空間を2階に配した。それぞれの生活の箱を積みあげて、それぞれがもつ視線を意識して開口部を考えながら構成した。そして、それを「まとい」でひとまとめに包み込むというプロセスで設計を進めた。それぞれの生活が持つ個性を尊重し、別の個性でまとめることでより個が活かされるあり方を求めた。内部空間に入ったとき、1階は箱の集合体であるのに対して2階は一気に開放的となり、「まとい」の存在を実感する。窓から見える景色も意図的にくりぬかれた景として体感できる。
3、重ねること
生活の箱は融合し壁、窓、床、屋根によって構成された「囲い」というスマイの基本形を成立させ、「まとい」を外側から巻きつけることで、皮膜が重なる部分や余白ができ、僅かな中間領域を生じさせた。これは、生活の器として最低限必要な皮膜と、その外側で、マチとの折り合いをつける皮膜とが分離したと考えられる。「囲い」に一般的な塗装を、「まとい」に弾性FRPを用いて、ふたつの皮膜を同系色ながら素材感で対比させた。
4、構造
本建物は 木造2階建てである。今回「囲い」、「まとい」といった2つの括りで木造を扱い、それらの関係性をあつかうことで、全体としての個性と強度の獲得を目指した。「囲い」部は、基本垂直、水平材からなる、普及した木造軸組を採用し、最低限の構造で成立させている。一方、「かこい」部は、斜めに傾けた部材で構成することで筋交としての役割を担い、生活の基本となる「囲い」を強化する関係とした。各部接合部は、異質であることを明確にするため、あえて同面におさめず、部分的に外側から押し当てるおさまりとした。
5、環境・風の道と重ね着の効果
「まとい」は西から吹いてくる風を防ぎ、北から吹き下ろしてくる風をやり過ごす。さらに、真夏の西日の日射を遮るように2階の三角窓を庇のように覆っている。
「まとい」には外壁の外側に重ね着しているような効果がある。夏、壁内に入った空気は、「まとい」と「囲い」がつくる内部の空洞がチムニーのような役割を果たすことで、上昇し、南側の軒下に開けたスリットから抜けることで建物を冷却する。
さらに、通常の屋根下地の上に、通気胴縁と合板を置いた上に、弾性FRPとトップコートで仕上げられているため、「まとい」は熱伝導率が低い。入力される熱を少なくして、幾層もの材料を重ねることで熱移動量を少なくし、断熱材にのみ頼る熱環境設計よりも効果的であるといえる。
また、この建物の形状は、南からの風を、中庭で受取りながら屋内へ取り込み、中央にある階段と吹き抜けで折り返しながら上昇気流を作る。その風は2階の南や東側へ抜けることで屋内の冷却を行うことができる。
6、照明計画
「まとい」そのものを照明器具の反射板として捉え、全般照明としている。最頂部の壁部分に指向性のある光源を複数仕込み、「まとい」の天井に反射して床面やキッチンの手元などを照らす。「まとい」には窓もなく、照明用の穴もない。また、西側の「まとい」の裏面にスポットライトを照射し、玄関前に光を落すと同時に「まとい」に反射した光が2階の屋内にも柔らかく戻される。日中は時間や天気によって様々な光の効果を生み出す「まとい」だが、夜間もこのような照明計画によって空間を豊かに演出する。


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