SHARE TOTO通信の2020年秋号「特集:変容する住宅たち」のオンライン版が公開。篠原一男の「谷川さんの住宅」、本野精吾の「本野精吾邸」等の継承のされ方をレポート
TOTO通信の2020年秋号「特集:変容する住宅たち」のオンライン版が公開されています。篠原一男の「谷川さんの住宅」、本野精吾の「本野精吾邸」等の継承のされ方をレポートしています。
TOTO通信の2020年秋号「特集:変容する住宅たち」のオンライン版が公開されています。篠原一男の「谷川さんの住宅」、本野精吾の「本野精吾邸」等の継承のされ方をレポートしています。
MVRDVの設計で完成した、フランス・パリの、ランジェリーブランドEtamの旗艦店「Etam Paris」です。19世紀の既存建物に敬意を払いつつ床をガラスにするなどの大胆な操作で改修が行われています(ガラス床は、真上や真下から見ると曇る特殊なフィルムが貼られていてプライバシーが確保されるのだそう)。
この店舗は、オペラ座ガルニエに近いパリの一等地をの建物に存在しいています。19世紀のオスマン様式の建物を改装し、内部の障壁を取り除き、ガラスの床を追加して室内に光が入るようにしています。デザインでは、歴史的建造物への敬意と保存への取り組みが、予想外のユニークなショッピング体験を実現しています。そして、展示されているランジェリーのように、この店は露出度が高く、同時に親密な雰囲気を醸し出しています。
最も印象的な変更点は、地上階にガラスの床を設けたこと。これにより、地下階まで光が入り込み、訪問者は上下の階で商品や人を見ることができるため、この店舗を訪れる人を魅了する体験を提供することができるのだそう。そして、このガラス床には、斜めから見ると透明になり、真上や真下から見ると曇る特殊なフィルムが貼られており、ガラスの床に立つ人にはプライバシーを確保し、めまいを防ぐことができます。これは展示されているランジェリーを直接的に連想させるものであり、露出度が高く、かつ控えめな印象を与えることを意図したとの事。
中央に地下に降りる大階段があります。この階段、地下1階と地上階の床は、19世紀のパリで広く使われていた石畳の道「pavé en bois debout」にインスパイアされた淡い色の木材を端に敷き詰めて仕上げられています。このフローリングから生まれた模様は、ガラス床に施された滑り止めの模様にも発展し、2つのフローリングが一体化させることに寄与するとの事。
このプロジェクトでは、保存と再生が同時に行われていることを示す代表的な例があるそう。それは、建物の内部を解体する際に、建物内の元々の壁の一部。この歴史的な要素が保存に値することに疑問の余地はなかったそうですが、MVRDVのオープンなフロアプランのコンセプトの中で重要な障害となっていました。結果としては、アーティストのゴードン・マッタ=クラークの作品からインスピレーションを得て、デザインチームは石の専門家と協力して、壁の部分を5トンの回転式の「出入り口」に変換し、店舗のフロアプランの開放性を維持しながらも、歴史的な壁を元の場所に簡単に移動させられるようにデザインしたのだそう。
野路敏之 / 野路建築設計事務所が設計した、福井市の住宅「宝永の平屋」です。
春は桜、夏は百日紅、秋はヤマモミジ、冬は雪化粧。表情豊かに四季を楽しませてくれる母屋の庭に、どんな建築なら受け入れてもらえるだろう。そう考えながら計画は始まりました。
母屋は敷地が約360坪あり南北に長く、その半分以上が池泉庭園になっていました。池を囲む木々の太い枝は広く空を覆っていて、その雰囲気は年月を経てきた安心感に包まれています。計画は母屋敷地の一部を利用した平屋とし、屋根の形もできるだけその存在を薄くするために寄棟とすることとしました。必要な諸室を納めていき、屋根の形も二つの方形が雁行する形態としました。インテリアも方形の屋根構造と地域材の表情を生かし、家族の集まる場に求心性を持たせています。
鈴木将記 / 鈴木将記建築設計事務所が設計した、千葉・市川市の、集合住宅の住戸改修「引戸の家」です。
日本の建築には昔から引戸が多く用いられてきた。日本の建築には縁側空間があり、日本人は雨戸や障子といった引戸を活用し、外部の自然や人との繋がり方をコントロールしながら暮らしてきた。このように外部環境との繋がり方をコントロールする装置を、集合住宅の住戸内でも活用することはできないだろうか?そんな考えから今回の改修プランは検討された。
ごく一般的に言って、集合住宅の住戸内廊下は暗く閉鎖的である。これは宿命と言っても過言ではなく、限られた採光は居室に割り当てられ、住戸内廊下は無採光でスペースは最小化されるためである。今回の改修前住戸には、そんな住戸内廊下に対して、合計5つの開き戸が付いていた。 開き戸は開くか閉じるかはっきりした建具であり、どちらかと言えば閉じている状態が通常で、閉じた部屋を一時的に通行可能にする建具であると言えるだろう。扉を開ければその分部屋や廊下のスペースを使い、閉じている方が空間はすっきり見える。
これに対して引戸はどうだろうか。平面図では一次元的な枠の中で、開いても閉じても扉に使うスペースは枠内に納まり、引き込み戸や雨戸のように、開いている状態を通常とする場合も多く、完全に開又は閉の状態に加えて、外の音が聞こえるように少しだけ開けたり、視界をコントロールするため少しだけ閉めたりと、周辺環境との様々な繋がり方をつくり易い特徴がある。開き戸に比べて、開くことと閉じることの境界は曖昧にされ、こちら側と向こう側の距離感をコントロールできる。言わば、繋がり方の調整弁の役割を果たすのである。
安藤忠雄の設計で完成し2020年10月に開館した、中国・広東省の美術館「He Art Museum」の高クオリティな動画です。制作は一条。こちらのページには竣工写真が15枚掲載されています。
藤本壮介による、群馬・前橋市の宿泊施設「白井屋ホテル」が完成しています。新築のグリーンタワーと既存改修のヘリテージタワーの二つの個性的な空間からなる施設です。2020年12月12日より開業するとの事で予約が可能になっています。
「白井屋ホテル」は、日本を代表する建築家、藤本壮介が本質的な新しい都市空間を模索して導き出したひとつの答えです。かつての老舗旅館のコンクリートの構造を剥き出しにした、大胆な吹き抜けが印象的なヘリテージタワー。前橋のビジョン「めぶく。」の象徴であり、旧河川の地形を活かした「土手」を模したグリーンタワー。これら2棟が、暮らす人と訪れる人にとっての集いの場、前橋のリビングルームとなるべく、藤本壮介が建築、内装の設計を主導しながら、多彩なデザイナーやアーティストとコラボレーションを展開しています。
「白井屋ホテル」では、独創性のある建築、多彩なアートやデザインを至るところで堪能できます。国道50号線側のファサードには、一際目を引くローレンス・ウィナーの大胆なアート、入館するとすぐフロントでは杉本博司の「海景」がゲストをお迎えします。またヘリテージタワーの4階までの吹き抜けには、金沢21世紀美術館の常設作品や森美術館の展覧会などでも話題のレアンドロ・エルリッヒによる幻想的な光を用いた「Lighting Pipes(ライティングパイプ)」をはじめ様々なアートが展示されています。またグリーンタワー頂上の小屋には宮島達男の作品が展示され、宿泊客のみが体感することができます。
ヘリテージタワー、グリーンタワーにある全ての客室では、群馬を拠点に活動する作家の作品、ホテル開業に合わせて世界中から厳選した作品など、それぞれ個性ゆたかなアートをお楽しみいただけます。
ヘリテージタワーには、英国の著名デザイナー ジャスパー・モリソン、イタリアの建築界の巨匠、ミケーレ・デ・ルッキ、レアンドロ・エルリッヒ、藤本壮介による4つのスペシャルルームをご用意致しました。それぞれの作家が、ひとつの客室を作品のように内装設計を一から手がけた、世界にひとつだけの空間です。
その他の客室のデザイン・設計は藤本壮介によるもので、穏やかな色調の中に、素材へのこだわりやディテールが楽しめます。グリーンタワーの客室にはバルコニーがあり、タワーを覆う植栽との一体感を覚えます。
ベッドマットレスには国内外のラグジュリーホテルに採用されているサータブランドを、カーテンはテキスタイルデザイナー、コーディネーターとして活躍している安東陽子がデザインし、備品はスタイリストの長山智美が厳選しました。各客室にはそれぞれ異なるアート作品がしつらえてあり、毎回異なる空間に泊まることがリピート滞在の醍醐味にもなります。環境、衛生面への配慮に重きを置き、プラスティック製品、ビニル包装を最小限に留める姿勢を大切にしています。またミニバーでは地元水上の名水「雪花水」及びソフトドリンクを無料提供。1階「the LOUNGE」営業時は、ラウンジのドリンクメニューからルームサービスをご利用いただけます。
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