SHARE 濱田慎太建築事務所による、神奈川・横浜市の、集合住宅の一住戸の改修「青木橋のマンション」
濱田慎太建築事務所が設計した、神奈川・横浜市の、集合住宅の一住戸の改修「青木橋のマンション」です。
旧東海道神奈川宿に面した、古いマンションの一室を改修したプロジェクトです。
当初から中心市街地とは思えないほど開かれた周辺環境と、光溢れる内部空間が印象的な住戸でしたが、解体を始めて目に飛び込んできたのは築47年の荒々しいコンクリートの躯体と、住戸を横断する巨大な梁でした。その梁下1.9mという高さがこの住空間に47年間続く基準であり、その基準を活かすことで荒々しい躯体と共存する新しい建築を実現したいと考えました。
まず複雑な平面形状の両端にプライベートスペースを設け、その中間にコモンスペースを配置しました。空間を隔てる壁は外壁に対して直角に配置することで、自然と外部への広がりを生み、内部には新たな空間のリズムを作り出しました。
また角部屋で開放的な環境を最大限に活かすため、収納や水回りは界壁側に集約し、どこにいても窓の外を感じる放射状に近い構成としました。
梁だけでなく階高自体も低い躯体の中で最大限天高を確保するため、天井はRC現しとし、床高は3つのレベルで計画することで、プライベートスペースからコモンスペース、外部へと自然とつながっていく感覚を作り出しています。
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以下、建築家によるテキストです。
「半内半外」
旧東海道神奈川宿に面した、古いマンションの一室を改修したプロジェクトです。
当初から中心市街地とは思えないほど開かれた周辺環境と、光溢れる内部空間が印象的な住戸でしたが、解体を始めて目に飛び込んできたのは築47年の荒々しいコンクリートの躯体と、住戸を横断する巨大な梁でした。その梁下1.9mという高さがこの住空間に47年間続く基準であり、その基準を活かすことで荒々しい躯体と共存する新しい建築を実現したいと考えました。
まず複雑な平面形状の両端にプライベートスペースを設け、その中間にコモンスペースを配置しました。空間を隔てる壁は外壁に対して直角に配置することで、自然と外部への広がりを生み、内部には新たな空間のリズムを作り出しました。
また角部屋で開放的な環境を最大限に活かすため、収納や水回りは界壁側に集約し、どこにいても窓の外を感じる放射状に近い構成としました。
梁だけでなく階高自体も低い躯体の中で最大限天高を確保するため、天井はRC現しとし、床高は3つのレベルで計画することで、プライベートスペースからコモンスペース、外部へと自然とつながっていく感覚を作り出しています。
コモンスペースは一日を通して自然採光が確保できるため、躯体と断熱材で縁を切った土間コンクリートによる蓄熱輻射暖房を試みています。代わりに外壁の仕上げと断熱を剥がして古い躯体を現しとし、意匠に活かすことで、新旧素材が共存しつつ快適に生活できる屋外のような住空間を実現しています。また47年経過した荒々しいコンクリートの表情に対して、内部仕上げには温かみがあり木目の弱いシナを採用し、刻々と変化し続ける都市部ならではの風景を内部にも導く装置のように、ステンレスパネル張りの大きな壁も設けました。
47年の間、変化し続けた周囲の風景と変わらなかった躯体をどちらも活かし、新たな素材や装置を加えることで、続いてきた歴史を継承し、内部・外部がつながる境界の曖昧な建築が完成しました。
■建築概要
設計監理:株式会社濱田慎太建築事務所
担当者:濱田慎太、塚越祐介
施工:矢島建設工業株式会社
写真:鈴木研一写真事務所
敷地:神奈川県横浜市
構造:RC造 地上11階建ての5階部分
種別:個人住宅
床面積:68.55㎡(壁内)
竣工:2020/11月