SHARE y+M design office と 京智健 / カイトアーキテクツによる、徳島の、明治時代に建てられた商家を改修した三好市地域交流拠点施設「真鍋屋」
y+M design office と 京智健 / カイトアーキテクツが設計した、徳島の、明治時代に建てられた商家を改修した三好市地域交流拠点施設「真鍋屋」です。施設の公式サイトはこちら。
幕末から明治時代にかけてたばこ産業で栄えた歴史あるうだつの街並みの中で、明治時代に建てられた商家をリノベーションし、移住者も増えつつある中山間部のまちに、新しく訪れた人々と住民の方々が交流できる施設として再生させる計画である。
敷地内は増改築が繰り返され、明治時代の建材と最近造られた新建材が同居する雑多で閉ざされた印象の空間だった。そこには朽ちかけた蔵が3棟、納屋と座敷、新建材で造られた洋室やトイレ、閉鎖的で湿気の多い2つの中庭があった。
2つの中庭を「広場」と位置づけ、まちに開くことで歴史ある街並みを敷地内部に引き込み、まちのコミュニティ形成の場になることを意図した。「なかにわ広場」に通じる2つのピロティを新しく造ることで、誰もがいつでも自由に訪れることのできる憩いの場所となり、住民にとって散歩道の延長としてくつろぎの空間になる。また施設の各スペースのアクセスを「なかにわ広場」からとし、文字通り「なかにわ広場」を中心とした構成とした。
地元の方の結婚式を始めとして、各種イベントが毎月行われており、新たに訪れる方や地域の方に確実に愛され始めていると感じている。四国のへそと呼ばれる三好市の地域交流施設として、多くの方々の出会いの場となることで、三好市だけでなく四国のインターフェースになることが望まれる。
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以下、建築家によるテキストです。
幕末から明治時代にかけてたばこ産業で栄えた歴史あるうだつの街並みの中で、明治時代に建てられた商家をリノベーションし、移住者も増えつつある中山間部のまちに、新しく訪れた人々と住民の方々が交流できる施設として再生させる計画である。
敷地内は増改築が繰り返され、明治時代の建材と最近造られた新建材が同居する雑多で閉ざされた印象の空間だった。そこには朽ちかけた蔵が3棟、納屋と座敷、新建材で造られた洋室やトイレ、閉鎖的で湿気の多い2つの中庭があった。
2つの広場
2つの中庭を「広場」と位置づけ、まちに開くことで歴史ある街並みを敷地内部に引き込み、まちのコミュニティ形成の場になることを意図した。「なかにわ広場」に通じる2つのピロティを新しく造ることで、誰もがいつでも自由に訪れることのできる憩いの場所となり、住民にとって散歩道の延長としてくつろぎの空間になる。また施設の各スペースのアクセスを「なかにわ広場」からとし、文字通り「なかにわ広場」を中心とした構成とした。敷地中央部は高低差を利用した階段状のランドスケープとし、広場の中心性を持たせるとともに、広場でくつろぐ際の拠り所として座るきっかけを与える装置とした。
「まちかど広場」はうだつが特徴的な本町通りと酒蔵の並ぶ杉尾通りの交差点に開き、以前からある梅の老木を眺めることができる日常的な休憩スペースとしてだけではなく、マルシェや屋台のためのイベントスペースとなる。この2つの広場はそれぞれの室内スペースと繋がることで、フレキシブルに広さや用途を変化させ、イベント時にはワンルームのような空間とすることもできる。
広場を中心としたプランニング
ギャラリーとして利用できるピロティに面して移住相談窓口(夜間は日本酒バー)やイベントスペースとしても機能するカフェレストランを配置した。また1階にはトライスペース(チャレンジショップ)とお試し住居、2階には「まちかど広場」を囲むテラスに面してコワーキングスペース、レンタル会議室、親子カフェスペース、レンタルオフィスを設け、移住者や移住候補者、住民たちが様々な過ごし方と交流ができる場所を提供している。
またギャラリーとしての用途を組み込むことで排煙や内装制限から解放されたインテリアは、古い土壁や柱・梁、野地竹、漆喰、左官下地、杉の荒板、檜の地板、三和土などで構成することが可能となった。
広場にオープンな構造
基礎もなく、柱の根元が腐っていたため、新たに基礎を施工し、土台を新設、腐った柱の根元は入れ替えを行なった。構造的には分棟であった3つの蔵を接合し、その接合部に耐震壁を集中させることで「なかにわ広場」側に向かって開くことを可能にしている。また通りに面したファサードはできるだけ補修程度にとどめ、隣家側の外壁を耐震補強してバランスをとり、新設した鉄骨造のテラスを介して耐震化した木塀にも地震力を負担させている。
自然環境を取り込む
吉野川が横切り、剣山や大歩危・小歩危など自然豊かな三好のまちと接続する2つの広場は、常時開放されたピロティを通して通風が確保され、湿気の多かった中庭は人の集まる居心地の良い空間へと姿を変え、周辺の豊かな自然環境とそれぞれのスペースとをつなぐインターフェースとして機能する。
竣工して数ヶ月ではあるが、地元の方の結婚式を始めとして、各種イベントが毎月行われており、新たに訪れる方や地域の方に確実に愛され始めていると感じている。四国のへそと呼ばれる三好市の地域交流施設として、多くの方々の出会いの場となることで、三好市だけでなく四国のインターフェースになることが望まれる。
■建築概要
竣工年月:2018.3
所在地:徳島県三好市
主要用途:地域交流拠点施設
構造:木造軸組工法
階数:地上2階
敷地面積:728.44㎡
建築面積:445.91㎡
1階床面積:408.45㎡
2階床面積:232.45㎡
延床面積:640.90㎡
写真撮影:笹の倉舎/笹倉洋平
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・屋根 | 屋根 | 瓦 |
外装・壁 | 外壁 | 漆喰塗り+ラスモルタル |
外装・壁 | 外壁(蔵つなぎ) | 桧羽目板+木材保護塗料 |
内装・床 | 床1 | モルタル金こて押さえ |
内装・床 | 床2 | 土舗装 |
内装・床 | 床3 | 桧フローリング+ワックス |
内装・壁 | 壁1 | 既存土壁の上、漆喰塗り |
内装・壁 | 壁2 | |
内装・天井 | 天井1 | 杉荒板野地・小屋組現し |
内装・天井 | 天井2 |
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