稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる photo©Ookura Hideki
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる photo©Ookura Hideki
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる photo©Ookura Hideki
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる photo©Ookura Hideki
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eureka が設計した、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」です。
ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替ました。建築家は、無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発しました。そして、土素材を介して住居の自然への“土着”を試みました。
敷地は、昭和40年代半ばにひな壇造成された住宅地にあり、50年を経て更新時期を迎えている。
建主である父母は健康な老年期、30代の子供たちはそれぞれ家族を持ち、同居や近居、海外居住など、実家との関係を変化させ、紡いでいる。新しい実家となるこの住居は、多世代の家族が集散する宿木である。
しっとりとした土間が広がる下階は、ゲストを迎える静謐な空間である。道路とフラットなレベルを起点に、斜面地形を敷地奥へとぬるっと引き込んでいる。将来的にゲストルームを居室とすれば、下階のみで生活が実現できる。対して上階は、木構造による背の高いリビングが中心にあり、軽やかなスキップフロア、色彩と素材の乾いたコントラスト、多方向の風景と結ぶ窓によって、不揃いなワンルームとなっている。幼い子供たちが遊ぶ、アクティブな暮らしの舞台である。
一方、この住居は土の建築材料・構法を専門とする研究者の実家でもあり、土の利用には研究に基づく知見が大いに活用された。きっかけは小さな造成により排出される、サイト・スペシフィックな土への着目にあったが、本プロジェクトは、土というノスタルジックな素材を工作的に愛で、自然循環性や調湿性のエコロジーや、弱い技術と工業化材料によって現代に普及を図る試みなど、野心溢れた多角的アプローチにこそ本領がある。
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稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる photo©Ookura Hideki
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる photo©Ookura Hideki
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稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる photo©Ookura Hideki
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稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる photo©Ookura Hideki
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる photo©Ookura Hideki
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる photo©Ookura Hideki
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる photo©Ookura Hideki
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稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる photo©Ookura Hideki
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる photo©Ookura Hideki
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる image©Eureka
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稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる image©Eureka
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる image©Eureka
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる 左官都倉達弥による土材料を使用した土塗り床。 photo©Eureka
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる VUILDでのデジタルクラフト家具の作成。 photo©Eureka
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる Green Brickのセルフビルドの様子。 photo©Eureka
稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、神奈川・横浜市の住宅「あざみ野の土」。ひな壇造成地の土の研究者の実家を建替。無機質なRC擁壁の再編から取り組み、残土を切っ掛けに建材としての土の可能性に着目して床や壁の材料を開発。土素材を介して住居の自然への“土着”を試みる Green Brickのセルフビルドの様子。 photo©Eureka
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以下、建築家によるテキストです。
土を工作し、地表に借り暮らしする家
敷地は、昭和40年代半ばにひな壇造成された住宅地にあり、50年を経て更新時期を迎えている。
建主である父母は健康な老年期、30代の子供たちはそれぞれ家族を持ち、同居や近居、海外居住など、実家との関係を変化させ、紡いでいる。新しい実家となるこの住居は、多世代の家族が集散する宿木である。
ひな壇造成された斜面宅地には、住宅と道路にバリアフルな高低差があり、宅地を支えるコンクリート擁壁が、街並みをやや無機質な印象としていた。この慣習的ランドスケープを再編することから計画を行った。
しっとりとした土間が広がる下階は、ゲストを迎える静謐な空間である。道路とフラットなレベルを起点に、斜面地形を敷地奥へとぬるっと引き込んでいる。将来的にゲストルームを居室とすれば、下階のみで生活が実現できる。対して上階は、木構造による背の高いリビングが中心にあり、軽やかなスキップフロア、色彩と素材の乾いたコントラスト、多方向の風景と結ぶ窓によって、不揃いなワンルームとなっている。幼い子供たちが遊ぶ、アクティブな暮らしの舞台である。
一方、この住居は土の建築材料・構法を専門とする研究者の実家でもあり、土の利用には研究に基づく知見が大いに活用された。きっかけは小さな造成により排出される、サイト・スペシフィックな土への着目にあったが、本プロジェクトは、土というノスタルジックな素材を工作的に愛で、自然循環性や調湿性のエコロジーや、弱い技術と工業化材料によって現代に普及を図る試みなど、野心溢れた多角的アプローチにこそ本領がある。
土の材料開発においては、敷地内の土利用の合理性から離れ、工業化された土建材としての煉瓦へ注目するプロセスを辿った。結果、三河土による未焼成煉瓦や深谷の土による左官床を利用し、一部敷地内の土を障子へ活用した。また民家を例として、無意識の中の控えめな土壁に一つのモチーフがあったが、土材料をシンボリックに扱おうという意思とせめぎ合いながらも、異素材とのハイブリッドに新しい秩序を発見していくこととなった。
現代都市では、地表の多くがアスファルトで覆われ、見えない土のランドスケープに私たちの暮らしは保留されている。人類の地球環境への大きすぎるインパクトが、大文字の環境思想を煽る時代を横目に、小さな土ブロックを用い身体を介して、住居を自然へと土着する、ささやかな試みである。
■建築概要
題名:あざみ野の土
主用途:専用住宅
所在地:神奈川県横浜市
設計:Eureka 稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓夫+堀英祐
担当:佐野哲史 原章史 間宮苗子(元所員)
階数:地上2階
構造:木造在来工法
土材料・構法の研究開発:山田宮土理、中村航(土材料研究チーム)
Green Brick施工:山田宮土理+中村航+早稲田大学山田宮土理研究室
左官:都倉達弥
外構・造園:石川造園 担当/石川裕太
Green Brick:岡田煉瓦製造所(制作)
敷地面積:196.01㎡
建築面積:76.90㎡
延床面積:150.46㎡
設計期間:2019年4月~2020年4月
工事期間 :2020年5月~2021年8月
竣工:2021年8月
写真:大倉英揮