牛島隆敬建築設計事務所が設計した、滋賀・米原市の住宅「入江の自邸」です。
かつて“琵琶湖の一部”であった敷地に計画されました。建築家は、気候変動と地域の特徴と向き合い、数百年の一度の“大雨”や湖の“氾濫”にも備える断面構成を考案しました。そして、建築でエリアの人々の“共同体的無意識”にも訴えかける事も意図されました。
この地域は昔は琵琶湖の一部であった。
内湖となり、戦後に埋め立てられ、田んぼとなり、近年は住宅地となった。琵琶湖の移動や人の手によって常に動き続けてきた。
人の住むエリアになってからこの地域は何度も水害に襲われてきたが、治水技術も向上し、どこにでもあるような住宅が立ち並ぶことで、今では人々の遠い記憶となりつつある。しかし、地球温暖化の中で再び水に覆われることも想定される。もしくは、水位が減り、人も離れれば、昔のように「迷原」に戻ることも考えられる。
設計者の自邸として、この住宅を計画したが、そもそもこの土地は家族にとって、縁もゆかりもない土地だった。その流れ着いた土地との接点として、地域の人の共同体的無意識に訴えかける建築を建てることを目指した。
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以下、建築家によるテキストです。
この地域は昔は琵琶湖の一部であった。
内湖となり、戦後に埋め立てられ、田んぼとなり、近年は住宅地となった。琵琶湖の移動や人の手によって常に動き続けてきた。
人の住むエリアになってからこの地域は何度も水害に襲われてきたが、治水技術も向上し、どこにでもあるような住宅が立ち並ぶことで、今では人々の遠い記憶となりつつある。しかし、地球温暖化の中で再び水に覆われることも想定される。もしくは、水位が減り、人も離れれば、昔のように「迷原」に戻ることも考えられる。
設計者の自邸として、この住宅を計画したが、そもそもこの土地は家族にとって、縁もゆかりもない土地だった。その流れ着いた土地との接点として、地域の人の共同体的無意識に訴えかける建築を建てることを目指した。
水を意識し、大雨による二つの浸水レベルを考慮し、デザインに取り入れた。200年に一度の大雨でも一階は浸水しない基礎の高さとした。その上をゆく最悪の事態である琵琶湖が氾濫したとしても、二階の倉庫のように構成された住居部分は守られる。
また実施設計時より、製材会社と打合せし、びわ湖材(滋賀県産材)を構造材、外壁、フローリングなどに使い、出来る限りの地産地消を計画した。
1階部分はスギの方づえと柱の最小限の構造によって囲われたピロティと温室や小さな部屋から構成され、明るく開放的になっている。またピロティは広く、天井高もあるので、焚き火をしたりとアウトドアを楽しむ人の多い湖北地域のライフスタイルにも適する。
それに対して2階は、LDK、寝室、水回り、WICなどから構成され、スギの大黒柱が大屋根を支えており、落ち着いた雰囲気となっている。また強い湿気からも守られる。
葦の中で船のように浮かぶ建築として、風景や人が変わりながらもいつまでも在り続けることを願っている。
■建築概要
題名:入江の自邸
所在地:滋賀県米原市
主用途:住宅
設計:牛島隆敬建築設計事務所
協力:正木構造研究所
階数:地上2階
構造:木造
敷地面積:202.34㎡
建築面積:59.62㎡
延床面積:124.83㎡
設計:2021年8月~2022年4月
工事:2022年5月~2022年10月
竣工:2022年10月
写真:ツジタシンヤ
建材情報種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) | 外装・屋根 | 屋根 | ガルバリウム鋼板 縦はぜ葺き
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外装・壁 | 1F外壁 | ガルバリウム鋼板 小波板
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外装・壁 | 2F外壁 | スギ WP塗装(キシラデコール)
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外装・建具 | 開口部 | アルミ樹脂複合サッシ(YKK ap)
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内装・床 | 1F床 | コンクリート金鏝 撥水材塗布
一部ラワン合板UC塗装
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内装・床 | 1.5F・2F床 | ヒノキフローリング 自然塗料:プラネットカラー(プラネットジャパン)
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内装・床 | 2Fロフト床 | ビニル床タイル(東リ)
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内装・壁 | 1F壁 | PBt=12.5の上、EP塗装
一部 ラワン合板
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内装・壁 | 2F壁 | PBt=12.5の上、EP塗装
一部 針葉樹合板 VP塗装
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内装・天井 | 1F・2F天井 | PBt=9.5の上、EP塗装
一部構造材表し
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内装・造作家具 | 造り付け家具 | シナ合板 等
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