佐々木翔+鈴江佑弥 / INTERMEDIAが設計した、長崎・大村市の「d&i 大黒屋新社屋」です。
代替わりした企業の為に計画されました。建築家は、諸室の配置で部分的に2層となる内部空間に対し、ズレながら連続する“木梁”を架けて“曲面のような屋根形状”を構築しました。そして、利用者に加えて周囲の環境までを大らかに包み込む事が意図されました。
長崎県大村市に建つ新築のオフィス。
平面的には矩形である。約20名のオフィススペースと最大約30名の多目的スペースを左右に配し、それらを分節するような形でT字状のヴォリュームを設けた。その全体に105×300の木梁を南京玉すだれ状に架けている。
屋根高さは敷地奥側では水平に設定し、そこから前面道路に向かってT字平面を包み込むような変異を与えていく形を取った。一つ一つは直線材だが、その変異を結んでいくと曲面のような屋根形状となる。
木梁はすべて県内産の杉であるとともに、屋根面全体を覆っているため木材が本来有している高い断熱性能を活用している。また屋外側には4m片持ちで突出しており、エントランスへの雨掛りを防ぐとともに西日等の日射制御にも寄与している。105×300という材木のスケールは身体感覚としては大きいはずだが,立ち上がったものと対峙するととても軽快で浮遊感がある。
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以下、建築家によるテキストです。
長崎県大村市に建つ新築のオフィス。
平面的には矩形である。約20名のオフィススペースと最大約30名の多目的スペースを左右に配し、それらを分節するような形でT字状のヴォリュームを設けた。その全体に105×300の木梁を南京玉すだれ状に架けている。
屋根高さは敷地奥側では水平に設定し、そこから前面道路に向かってT字平面を包み込むような変異を与えていく形を取った。一つ一つは直線材だが、その変異を結んでいくと曲面のような屋根形状となる。
この木梁をささえる柱は前面ガラスのマリオン(55×150)と吹抜の境界線上(55×55)にあり、梁はその直上に屋根形状に沿う形で内包し、木梁を上から吊る形を取っている。いずれも鉄骨材としてスケールを落として存在感を希薄にし、木梁の存在をダイレクトに感じられるようにした。
木梁はすべて県内産の杉であるとともに、屋根面全体を覆っているため木材が本来有している高い断熱性能を活用している。また屋外側には4m片持ちで突出しており、エントランスへの雨掛りを防ぐとともに西日等の日射制御にも寄与している。105×300という材木のスケールは身体感覚としては大きいはずだが,立ち上がったものと対峙するととても軽快で浮遊感がある。
このオフィスの利用者だけでなく周囲の環境までをおおらかに包み込むと同時に、創立70周年を迎え社長も代替わりした企業の新社屋として、次世代へ向けた力強いアイコンにもなりうる施設である。
■建築概要
所在地:長崎県大村市
用途:オフィス
設計・監理:INTERMEDIA 担当/佐々木翔、鈴江佑弥
構造:円酒構造設計 担当/円酒昂
設備:シード設計社 担当/中川佳則、仲村浩史、山野義仁
照明:杉尾篤照明設計事務所 担当/杉尾篤
家具:WAAK° 担当/陳内太一
サイン:氏デザイン 担当/前田豊、平賀美沙子
企画:東彼杵ひとこともの公社 担当/森一峻
施主:大黒屋
施工:黒木建設
木工事:大匠建設、山佐木材
屋根工事:ライムイシモト
鋼製建具工事:建鋼社
空調・衛生設備工事:エイキ設備
電気設備工事:堤電気
構造:木造2階建て
敷地面積:497.31m2
建築面積:274.70m2
延床面積:351.37m2
設計期間:2021年1月~2022年3月
施工期間:2022年4月~2022年11月
写真:YASHIRO PHOTO OFFICE