佐藤研也+笹本直裕 / studio nikoによる、宮城・仙台市の「南中山の家」。メーカーのプレファブ住宅を改修。“そこにしかない”存在への変換を目指し、既存構造の特性を活かして一室空間の中に様々な活動の場所を構築。新設の階段で流動性を生み出して建築に“移動と滞留”の楽しさも付与 外観 photo©高野ユリカ
佐藤研也+笹本直裕 / studio nikoによる、宮城・仙台市の「南中山の家」。メーカーのプレファブ住宅を改修。“そこにしかない”存在への変換を目指し、既存構造の特性を活かして一室空間の中に様々な活動の場所を構築。新設の階段で流動性を生み出して建築に“移動と滞留”の楽しさも付与 1階、左:トレーニングコーナー、中:ワークコーナー、右:玄関 photo©高野ユリカ
佐藤研也+笹本直裕 / studio nikoによる、宮城・仙台市の「南中山の家」。メーカーのプレファブ住宅を改修。“そこにしかない”存在への変換を目指し、既存構造の特性を活かして一室空間の中に様々な活動の場所を構築。新設の階段で流動性を生み出して建築に“移動と滞留”の楽しさも付与 1階、リビングダイニングコーナー photo©高野ユリカ
佐藤研也+笹本直裕 / studio nikoによる、宮城・仙台市の「南中山の家」。メーカーのプレファブ住宅を改修。“そこにしかない”存在への変換を目指し、既存構造の特性を活かして一室空間の中に様々な活動の場所を構築。新設の階段で流動性を生み出して建築に“移動と滞留”の楽しさも付与 2階、セカンドリビングから1階を見下ろす。 photo©高野ユリカ
佐藤研也+笹本直裕 / studio niko が設計した、宮城・仙台市の「南中山の家」です。
メーカーのプレファブ住宅を改修する計画です。建築家は、“そこにしかない”存在への変換を目指し、既存構造の特性を活かして一室空間の中に様々な活動の場所を構築しました。また、新設の階段で流動性を生み出して建築に“移動と滞留”の楽しさも付与する事も意図されました。
仙台市郊外に建つ、築35年のハウスメーカーによるプレファブ住宅の改修である。
新婚のご夫婦の希望として、明るく断熱性能の高い家とすること、ご主人の仕事スペース、十分な調理スペースを確保することなどが求められた。日本のどこにでもある風景の中の、どこにでもあるジェネリックな工業製品としての住宅を、どのようにしてある家族のための、そこにしかない住宅に変換することができるかを考えた。
鉄骨柱と梁のボックスを連結させた構造は地震に強く、そのフレーム以外の自由度は高い。
そこで、1階は中央の階段コアと水まわりの他は、大きなひとつながりのワンルームの中にいろいろな活動が行われるコーナーを内包する構成とした。必要に応じて引込み戸やカーテンで間仕切ることとして、郊外の住宅らしい広々とした感覚をもたらすプランとした。
また、リビングの天井は一部撤去し、暗い印象だった建物の奥まで光を導きながら、緩やかな階段を新設して2階までリビングを拡張した。
もともと建主は既存の急な階段の架け替えを求められていたが、ハウスメーカーの協力が得られなかったため既存建物の情報が十分に得られず、大規模な修繕に当たる階段の架け替えは断念せざるを得なかったのだが、ふたつの性質の異なる階段は、神社や寺に見られる男坂と女坂のように動線に自由度をもたらし、生活を豊かにする要素となった。
このようにして得られた空間の流動性のようなものを活かし、住宅の中での移動と滞留が楽しくなるように幾つかの要素を散りばめた。
具体的には彩色された階段ホールや建具。そして、周囲の環境を映し室内に取り込む真鍮の照明器具とミラーなどである。
さらに、隣地の駐車場が近いため目隠しを求められた階段横の窓には、インナーサッシを設置して残った僅か1.5cmの窓枠の隙間に、アルミと寒冷紗で製作した引戸を設置して視線を遮りつつ柔らかな光を得た。これらの要素は時間や季節による周辺環境の変化と連動して、その時がいまここにしかない瞬間であることを思い出させてくれる。