小原賢一+深川礼子 / ofaが設計した、愛知・知多市の「江真コンサルティング新社屋」です。
森林と木材に関わる企業の為に計画されました。建築家は、CLT等の工法面と森林認証の制度面への挑戦の要望に対し、在来工法も取り入れて“CLTの特徴”を備えた建築を合理的に実現しました。また、材料調達から建設まで関係者が協力し認証も取得しています。
CLTパネル工法+在来工法によるコンパクトな木造オフィス(一部倉庫)の新築プロジェクトです。
日独でコンサルティングや輸入、森林や木材に関わる業務も行うクライアントは、新オフィスの計画に際してCLTや木釘の採用、認証など様々なチャレンジを希望されていました。
来客の多い事務所は、執務環境の向上と共に、来客への木の価値のアピールも目的としてCLT現しとしています。
CLT版の大きさを生かし、基礎から2階屋根まで一体の壁勝ちCLTパネルに在来のオフィス床と倉庫の屋根が取りつく構成です。滞在時間や作業内容等、空間特性の違いを適切に反映してコストコントロールしつつ、必要な大きさや機能を合理的に満たしています。
オフィスでは吹抜けや階段、対角に勾配をとった屋根など空間の連続性と動きを生かして、光と風が通る上下階の一体感ある空間としました。階段に面した壁や天井などで大きなCLTを効果的に見せています。特徴的な階段は、下層部ではCLTを床から積み上げ、中層以上は壁からの片持ちでつくっています。
構造を担う外壁のCLTは、メンテナンスに配慮して金属板で適切に保護することとしました。外壁を覆ってもCLTの積層面が外からできるだけ見えるように、開口部の小口に角度をつけた窓の額縁デザインは、工場加工精度の良いCLTならではの工夫です。
CLT以外にも様々な木を使い分け、色や納まりでそれぞれの特徴を際立たせ、木の素材を最大限に感じられる空間を実現しています。
本プロジェクトでは、代表的な森林認証制度の一つであるFSC®プロジェクト部分認証を取得しました。
CLTには、FSC認証を持つ森の中で敷地から最も近い静岡天竜産杉を使用しています。森から、加工工場、現場での施工まで一貫して認証基準をクリアすることを通して、調達・加工・建設の適正性を担保しています。
認証取得には、設計事務所・施主・工務店が主体となり、製造メーカー、製材所ともやり取りをしながら、材料供給の過程や設計、施工に至る木の生産管理について、共に情報を共有し、確認し、学びながらプロジェクトを進めることができました。
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以下、建築家によるテキストです。
森から建築までつながるCLT+在来木造のコンパクトオフィス
CLTパネル工法+在来工法によるコンパクトな木造オフィス(一部倉庫)の新築プロジェクトです。
日独でコンサルティングや輸入、森林や木材に関わる業務も行うクライアントは、新オフィスの計画に際してCLTや木釘の採用、認証など様々なチャレンジを希望されていました。それらのご希望を最大限に反映し、事務所+倉庫の機能を合理的に満たしながら、木の穏やかさと力強さを感じられる、快適なオフィスを計画しました。
CLTと在来木造を必要な空間特性に合わせて合理的に組み合わせる
交通量の多い幹線道路に面した住宅地において、建物のボリュームを事務所と倉庫で分節し、近隣の住戸のスケールに合わせた計画としました。建物は事務所部分をCLTパネル工法2階建て、倉庫部分を在来軸組工法としました。
来客の多い事務所は、執務環境の向上と共に、来客への木の価値のアピールも目的としてCLT現しとしています。
CLT版の大きさを生かし、基礎から2階屋根まで一体の壁勝ちCLTパネルに在来のオフィス床と倉庫の屋根が取りつく構成です。滞在時間や作業内容等、空間特性の違いを適切に反映してコストコントロールしつつ、必要な大きさや機能を合理的に満たしています。
CLTの特徴と魅力を活かした動きのある内部空間
オフィスでは吹抜けや階段、対角に勾配をとった屋根など空間の連続性と動きを生かして、光と風が通る上下階の一体感ある空間としました。階段に面した壁や天井などで大きなCLTを効果的に見せています。特徴的な階段は、下層部ではCLTを床から積み上げ、中層以上は壁からの片持ちでつくっています。
構造を担う外壁のCLTは、メンテナンスに配慮して金属板で適切に保護することとしました。外壁を覆ってもCLTの積層面が外からできるだけ見えるように、開口部の小口に角度をつけた窓の額縁デザインは、工場加工精度の良いCLTならではの工夫です。
CLT以外にも様々な木を使い分け、色や納まりでそれぞれの特徴を際立たせ、木の素材を最大限に感じられる空間を実現しています。
空間の高低差と吹抜を生かした快適な執務環境
外断熱と高性能の木製サッシで確保した環境性能に、木の断熱性が付加され、より安定した室内環境を得ています。力強く暖かい木目に包まれる、健やかな執務環境です。夏は対面方向に取った開口を通して風が抜け、冬は2階天井付近に上昇した暖気を、1階床下へ循環し、室内全体を暖める自然の力も活かした空調のしくみとしました。
木釘の採用による解体時への配慮
倉庫内装の合板の留め付けには木釘を採用しました。合板に同化する木釘は仕上の木の質感になじむとともに、将来解体時の分別負荷を抑えることにつながっています。
環境と社会への責任を果たす森林認証取得へのチャレンジ
本プロジェクトでは、代表的な森林認証制度の一つであるFSC®プロジェクト部分認証を取得しました。
CLTには、FSC認証を持つ森の中で敷地から最も近い静岡天竜産杉を使用しています。森から、加工工場、現場での施工まで一貫して認証基準をクリアすることを通して、調達・加工・建設の適正性を担保しています。
認証取得には、設計事務所・施主・工務店が主体となり、製造メーカー、製材所ともやり取りをしながら、材料供給の過程や設計、施工に至る木の生産管理について、共に情報を共有し、確認し、学びながらプロジェクトを進めることができました。
認証取得へのチャレンジを通して、建物に至るまでのトレースを確保し、そこに立ち上がる建築の遠い背景にも意識を致すような、これからの環境と社会への責任をはたす明確な意思を体現するプロジェクトになりました。
■建築概要
題名:江真コンサルティング新社屋
所在地:愛知県知多市岡田美里町
主要用途:事務所、倉庫
統括意匠:株式会社ofa 小原賢一+深川礼子
施工:吉富工務店株式会社
構造設計:株式会社構造計画プラス・ワン
設備設計:株式会社アイ設計
構造:木造(CLTパネル+在来軸組)
階数:地上2階
敷地面積:182.15m2
建築面積:99.21m2
延床面積:140.41m2
設計:2020年12月~2021年8月
工事:2021年8月~2022年2月
竣工:2022年2月
写真:鈴木研一、フォトックス・デザイン、ofa
建材情報種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) | 外構・床 | 床 | 土間コン 金ゴテ仕上
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外装・壁 | 事務室外壁 | ガルバリウム鋼板 横葺き(日鉄鋼板)
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外装・壁 | 倉庫外壁 | サイデイング(ケイミュー)
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外装・屋根 | 事務室屋根 | ガルバリウム鋼板 縦ハゼ葺き(日鉄鋼板)
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外装・屋根 | 倉庫屋根 | ガルバリウム鋼板 折板葺き(日鉄鋼板)
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内装・床 | 事務室床 | フローリング ナラ
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内装・壁 | 事務室壁 | スギCLT 現し
シナ合板 塗装
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内装・天井 | 事務室天井 | スギCLT 現し
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内装・その他 | 倉庫 | ラワン合板 塗装
木釘LIGNOLOC(BECK)
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内装・キッチン | キッチン | シナランバー 塗装
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