甘粕敦彦 / 甘粕建築設計事務所と簾藤麻木 / nenlinが設計した、東京・原宿の飲食店「ヴィーガンビストロ じゃんがら」です。
表参道に面したビルの中での計画です。建築家は、食と空間のテーマの共鳴を求め、“植物性由来の料理”から着想して“自然資源を生かした”設計を志向しました。そして、外の木々を享受する平面と複数の緑色を組合せた配色を特徴とする空間を考案しました。店舗の公式ページはこちら。
1984年創業のとんこつラーメン店が、新業態として立ち上げたヴィーガン料理専門店(植物性由来のみの料理)の内装改修です。
場所はJR原宿駅近くの表参道に面した複合ビルの2階です。この店舗は1986年にオープンし、とんこつラーメンブームの火付け役として長く親しまれてきました。現在でも、1階ではとんこつラーメン店を営業しています。
クライアントは、社会の多様化、健康意識の高まり、環境問題、今後の食糧不足など社会を取り巻く多くの課題に目を向け、自分たちの役割を改めて考えました。そしてたどり着いたのが、ヴィーガン料理の可能性でした。日本ではまだ店舗も少なく、食べる人が限定的な料理を、かつてとんこつラーメンを広く社会に浸透できたように、親しまれる食文化の一つにしようと計画がはじまりました。
私たちは、植物性由来のみの料理に着想を得て、空間も同じく自然資源を生かしたものにすることで、食と空間のテーマが共鳴するのではないかと考えました。
恵まれたことに、店内からは表参道のケヤキ並木が見ることができました。ちょうど、目線の高さは、ケヤキの太い幹と樹幹の中間にあり、開かれた視界と木漏れ日が両方感じられます。さらに視線の先には、明治神宮と代々木公園の深い森も見ることができます。
テナントビルという限られた空間でも、都市の希少な自然を身近に感じながら快適な食事ができる場にするため、いかに外部の環境を内部に染みこませることができるかを試みました。