奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照
photo©阿野太一

奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照

奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照俯瞰、夕景 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照「緑のミチ」 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照「街のミチ」と「緑のミチ」が交差する場所「Node」。 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照南棟、2階、執務室 photo©阿野太一

奈良祐希 / EARTHENが設計した、石川・金沢市の「Node Kanazawa」です。
カフェ等も内包する建築企業の新社屋の計画です。建築家は、賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案しました。また、“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照しました。施設内のカフェの公式サイトはこちら

石川県金沢市に拠点を置く株式会社家元の新社屋計画。
同社は住宅の設計施工を主軸とした建築系ベンチャー企業である。コロナ禍の始まる以前の2019年から立ち上がった本計画は、当初は都市中心部に象徴的な「新社屋」設計を基本構想としてスタートした。
パンデミックというクライシスによって在宅ワークをはじめとした新しい働き方が加速する中で、ケーススタディとして郊外に立地しながらも周辺環境を引き込んだ低層の「新社屋」として緩やかにコンセプトがシフトチェンジしていった。

建築家によるテキストより

敷地のある金沢市問屋町は昭和38年に設立された協同組合金沢問屋センターによる団地開発・整備に伴い、全国で先駆けてスタートした商業団地である。現在では約150社を擁する全国有数の卸団地として北陸における物流の中枢基地として重責を果たしている。本計画の設計は、金沢問屋センターとの入念なキャッチボールとヒアリングの中で行われた。

建築家によるテキストより

同センターとの長い議論の結果、「緑化」や「自然風」といった自然エネルギーを積極的に活用しながら、要望でもある「日陰」によるヒートアイランド現象の緩和を企図した「緑のミチ」を建築内に貫通させている。自然風が心地よく通り過ぎていく緑道はパブリックスペースとして地域社会に貢献し、オアシスとしての役割も担う。正対する「街のミチ」は都市街路の延長として機能し、「ミチ」の交差点(Node)が建築中心部に配置されることで多様な地域コミュニティの創出に寄与する。

金沢特有の建築風土である「内側に開く」概念をフィロソフィーに、地域に古くから伝わる武家屋敷の土塀を連想させるスケールアウトした土壁ファサード、問屋町の周辺建物内外で多用されている「キャンチレバー」や「渡り廊下」を改めて解釈し直し形態に反映、石川県産である「戸室石」「能登ヒバ」などの自然素材をふんだんに活用して、親近感のある地域の賑わい創出と古来から伝わる街並みや歴史、記憶の現代への継承を意図している。

建築家によるテキストより

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奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照鳥瞰 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照敷地上空から見る。 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照敷地上空から見る。北棟と南棟を繋ぐ3つのブリッジが見える。 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照西側外観 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照南側外観 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照南東側外観 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照南東側外観 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照東側外観 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照「緑のミチ」 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照「街のミチ」と「緑のミチ」が交差する場所「Node」。 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照「街のミチ」から北棟のギャラリーを見る photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照北棟、1階、ギャラリー photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照南棟、1階、打合室①から「緑のミチ」を見る。 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照北棟、1階、カフェレストラン photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照南棟、2階、執務室 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照南棟、2階、執務室 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照南棟、2階、執務室 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照南棟、2階、執務室 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照南棟、2階、執務室からテラスを見る。 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照2階、渡り廊下から「緑のミチ」を見下ろす。 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照北棟、2階、会議室 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照「街のミチ」、夕景 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照俯瞰、夕景 photo©阿野太一
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照敷地概要 image©EARTHEN
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照1階平面図 image©EARTHEN
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照2階平面図 image©EARTHEN
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照南北立面図 image©EARTHEN
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照東西立面図 image©EARTHEN
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照北側ガラス立面図 image©EARTHEN
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照南側ガラス立面図 image©EARTHEN
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照北側断面図 image©EARTHEN
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照南側断面図 image©EARTHEN
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照土壁断面詳細図 image©EARTHEN
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照ガラス断面詳細図 image©EARTHEN
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照幕板断面詳細図 image©EARTHEN
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照内樋断面詳細図 image©EARTHEN
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照構造ダイアグラム image©EARTHEN
奈良祐希 / EARTHENによる、石川・金沢市の「Node Kanazawa」。カフェ等も内包する建築企業の新社屋。賑わいの創出等の地域社会への貢献も求め、周辺と繋がる“緑のミチ”と“街のミチ”が建築を貫通する構成を考案。“歴史や記憶”の現代への継承も意図し地元の古建築等も参照プロセス image©EARTHEN

以下、建築家によるテキストです。


陰翳の交差

石川県金沢市に拠点を置く株式会社家元の新社屋計画。
同社は住宅の設計施工を主軸とした建築系ベンチャー企業である。コロナ禍の始まる以前の2019年から立ち上がった本計画は、当初は都市中心部に象徴的な「新社屋」設計を基本構想としてスタートした。
パンデミックというクライシスによって在宅ワークをはじめとした新しい働き方が加速する中で、ケーススタディとして郊外に立地しながらも周辺環境を引き込んだ低層の「新社屋」として緩やかにコンセプトがシフトチェンジしていった。

敷地のある金沢市問屋町は昭和38年に設立された協同組合金沢問屋センターによる団地開発・整備に伴い、全国で先駆けてスタートした商業団地である。現在では約150社を擁する全国有数の卸団地として北陸における物流の中枢基地として重責を果たしている。本計画の設計は、金沢問屋センターとの入念なキャッチボールとヒアリングの中で行われた。

同センターとの長い議論の結果、「緑化」や「自然風」といった自然エネルギーを積極的に活用しながら、要望でもある「日陰」によるヒートアイランド現象の緩和を企図した「緑のミチ」を建築内に貫通させている。自然風が心地よく通り過ぎていく緑道はパブリックスペースとして地域社会に貢献し、オアシスとしての役割も担う。正対する「街のミチ」は都市街路の延長として機能し、「ミチ」の交差点(Node)が建築中心部に配置されることで多様な地域コミュニティの創出に寄与する。

金沢特有の建築風土である「内側に開く」概念をフィロソフィーに、地域に古くから伝わる武家屋敷の土塀を連想させるスケールアウトした土壁ファサード、問屋町の周辺建物内外で多用されている「キャンチレバー」や「渡り廊下」を改めて解釈し直し形態に反映、石川県産である「戸室石」「能登ヒバ」などの自然素材をふんだんに活用して、親近感のある地域の賑わい創出と古来から伝わる街並みや歴史、記憶の現代への継承を意図している。

低層部は全て「シェア」概念を内包した空間の集積である。出張型の「シェアカフェレストラン」、金沢美術工芸大学と産学協同連携する学生主体の「シェアギャラリー」、業種の垣根を越えた異分野交流の場である「シェアオフィス」。地域に開かれた「緑道」や「路地」を介して、陰翳が交差し、社会や都市と繋がるコミュニティのハブとして機能することを企図している。

2階にオフィススペースを配置し、北棟は「パブリックオフィス」として外部に開かれたセミナーやレクチャー等に使用され、南棟は「プライベートオフィス」として執務空間を最大限確保し、2つの性格の異なるオフィス空間を緑道に貫通する3つの渡り廊下が緩やかに繋げ、地域社会と社員が交わるバッファー空間として機能する。

問屋町の建築エレメントで最大の特徴である「キャンチレバー」を実現するために木製トラス架構を各所に配置することで在来木造構法では異例の約5mの片持ちを実現させ、その軒下に現れた巨大なヴォイド空間はマルシェやイベントといった街のアクテビティを引き込む。

陶芸による感情的な土着的で「無意識」による「土」を用いた形態スタディを繰り返した。そのスタディはクライアントとの感覚共有にも用いられ、様々な紆余曲折、悪戦苦闘を経て、「陰翳」を内包した「歪な土のかたまり」が設計という「意識」的な所作によって現実に立ち現れてきた。コロナ禍を経て見つけた新しい次世代型低層シェアオフィスとしての提案である。
(奈良祐希 / EARTHEN)


路の構法

緑道と路地の十字状の「路(みち)」を配置した新社屋の計画。

多雪地域の比較的大きな内部空間を、クライアントが扱う木造の技術によって実現することが課題であった。計画建物は、緑道により二つに建物ボリュームが分かれ、十字の「路」に面して開放的な立面が計画されていた。

構造的に一つのボリュームだけで耐震要素を計画すると四周に壁が必要になってしまい、「路」側を閉じることになる。それを避けるため、ボリュームをつなぐ3つのブリッジを水平剛性として利用し、分かれた二つのボリュームを構造的に一つとして、外周道路に面する部分に主な耐震要素を配置することとした。結果として「路」のスリット状の空間に対して内部を大きく開くことが可能になっている。

また、多雪地域において、4.5メートルのキャノピー空間を実現するために、一層分のワーレントラスを配置した。屋根梁のスパンを短くし、斜材の座屈耐力をあげるトラスの形式であるため構造的に合理的な形式であるが、中央上に凸になる幾何学のため、内部の動線を阻害しない点でも理にかなっているといえる。
(大野博史/オーノJAPAN)


釉薬としての植栽

建物のなかに露天の緑道を取り入れるという、この大胆かつユニークな試みを成功に導くために、先ずは現実的な面で、近隣に植えられた欅の生育不良具合の観察と現場の土壌調査の厳しい結果を踏まえ、さらには植え床の狭さや陽当たりの悪さ、水捌けの悪さ、これら全てのマイナス要素を意識し逆手にとった樹種選定が必要だった。

コンセプト面では、隣接する並木との「連続性」を意識しつつ、機能面と意匠面では、いかに動線を邪魔せずに奥行きを感じさせる緑量を担保するかを意識。その結果、それらの要素すべてを満たすのがシャラノキ(別名・夏椿、沙羅双樹)だった。機能面として、夏は葉が茂って木陰をもたらし冬の落葉時には暖かい陽が入る自然のカーテンとなる。また、意匠面として、春は新緑で季節感を、初夏には潔く地表に花が落ちて絵を描き、秋には紅葉を期待できる。

使った個体はできるだけ似た気候・条件で生産されたものをハンティングしたもので、凛とした立ち姿が際立つ裾枝のない株立。少々古ね(ひね)モノの樹形の個体を計算高く配置することで、限られたスペースの中で動線を邪魔せず奥行きを感じさせる豊かな緑量を創出することができた。

地被には生育上の観点から数種の苔の混植、飛び石には兼六園や金沢城でも使用される地元の戸室石を使用。コピペデザインもしくは高木に中低木地被といったセオリー的なフォーマットばかりの造園業界のなかで、今回の庭はマテリアルを切り詰めた故、ある種の潔さと、気候や地元素材にこだわった土着感、そして直線の使い方がチャームポイントの建築に、曲線しかない自然物を選りすぐって合わせたことで他にないオリジナリティが造り出され、建築家としての奈良祐希の言う「釉薬のように」よい化学反応になったのだと思う。
(西畠清順/そら植物園)

■建築概要
名称:Node Kanazawa

所在地:石川県金沢市問屋町
用途:事務所、一部店舗

建築:奈良祐希 / EARTHEN
構造:大野博史 / オーノJAPAN
植栽:西畠清順 / そら植物園
施工:株式会社家元

構造:木造

階数:地上2階

敷地面積:456.59㎡
建築面積:317.54㎡

延床面積:473.52㎡

設計:2019年1月~2022年3月

工事:2022年4月~2023年3月

竣工:2023年3月25日

写真:阿野太一

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外装・屋根屋根

カラーGL鋼板t=0.35 立平葺

外装・壁外壁

左官モルタル t=18

外装・建具開口部

Low-E複層ガラス

内装・床オフィス床

タイルカーペット

内装・壁

左官t=2.5

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建築家によるテキストより

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建築家によるテキストより

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建築家によるテキストより
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原広司による神奈川・多摩区の“粟津邸”で、Karimoku New Standardの展示「Encounters」が開催「吉國元展:根拠地」開催時の粟津邸の様子。 photo©architecturephoto
原広司による神奈川・多摩区の“粟津邸”で、Karimoku New Standardの展示「Encounters」が開催「吉國元展:根拠地」開催時の粟津邸の様子。 photo©architecturephoto

原広司の設計で1972年に完成した神奈川・多摩区の“粟津邸”で、Karimoku New Standardの展示「Encounters」が開催されます。
会期は2023年11月5日(日)~2023年11月12日。要事前申込。入場無料です。建築の図面やテキストはこちらに掲載されています。

Karimoku New Standard(以下、KNS)は、2023年11月5日(日)から2023年11月12日(日)の間、神奈川県川崎市にある「粟津邸」にて、エキシビション「Encounters」を開催します。粟津邸は、1950年代からグラフィックデザイナーとして活躍した粟津潔の自邸であり、彼と交流のあった建築家の原広司による名作住宅です。1972 年に竣工したこの家の斬新さとアウラは、時代を超えて存在しつづけるもの。そんな空間に、新しいスタンダードを志向するKNS の家具がここでしか見られない風景をつくります。

粟津邸は、粟津が家族と暮らす住まいであるとともに、制作の場であり、友人たちが訪れるサロンであり、ここで多くの人が「出会い」、
その交流からさらに新しい仕事が次々と生まれました。KNSもまた、こうした粟津邸のあり方に通じるものがあります。KNSは2009年の
発足以来、多くの「出会い」とコミュニケーションを積み重ね成長してきたブランドです。国内外の新世代のデザイナーが持つ先進的
なアイディアと、木製家具に対する卓越した知見を持つカリモク家具のコミュニケーションによって、多様にして優れたアイテムの数々を
生み出してきました。

「出会い」を共通点とする粟津邸とKNS。今回のエキシビションでは、両者が「出会い」、新たな可能性を探究します。3 層にわたる各
階には約50 点にも及ぶKNS の製品を展示し、KNSと縁のある作家を中心としたアート作品と共に空間ごとにレイアウトされます。多様
なクリエイションがミックスされた様子から、かつてこの家で生まれた数えきれないほどの出会いにも思いを馳せることができるでしょう。

リリーステキストより

以下に、申込先の情報と「吉國元展:根拠地」開催時の粟津邸の写真を掲載します。

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