佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 外観、夕景 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階、リビングからダイニングを見る。 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階、リビング photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitecture が設計した、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」です。
“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅です。建築家は、与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向しました。そして、天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出しました。
長屋が密集するエリアの短冊状敷地に建つ小さな住宅。「猫と植物が幸せに暮らせる家」を要望した。ここでは、気積のバランス(天井高さの配分)と開口の配置だけでこの密集した長屋住宅を開放し、光に満ちた拡がりのある植物園のような空間に猫と人が自由に暮らす家を計画した。
施主の祖父の代から受け継がれるこの敷地には現在、最低高さ制限が定められている。そこに2階建の住宅を建てるという要件のため、住宅の内部は上へ引き延ばされるように天井高が高くなる。つまりキャピタリズムの価値観では非合理とされるヴォイド(気積)の存在が与条件となった。このヴォイドのバランス、つまり天井高さの配分と開口の配置だけでこの密集した長屋住宅街の中でも猫や植物に優しい、光に満ちた拡がりのある空間がつくれないかと考えた。
細長いプランの中央やや通り寄りには階段が巻きつく構造コアを配置し、手前と奥で異なる天井高構成とした。手前の1階エントランスホールは天井を高くすることで街のスケールを引き込みながら奥に光を導く。同時に2階のハナレ空間と街の間に程よく距離をとった。奥の主室エリア1階は天井高を極端に低く絞ることでアナグラのような寝室とし、2階は天井高をより高く設定することで、光が満ちた植物園のような居間空間とした。非合理なヴォイドと私的な与条件が結びつくことで、窮屈で暗い長屋が開放され、猫と植物が幸せに生きる空間が生まれた。
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佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 外観 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 1階、玄関ポーチ photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 1階、玄関ポーチ photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 1階、ホール photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 1階、ホール photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 1階、ホールの詳細 photo©齋藤弦
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 1階、ホール、2階への階段を見る。 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 1階から2階への階段 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階から1階ホールを見返す。 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階、リビング、右上:はなれの建具、右下:1階のホール photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階、リビング photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階、リビングからダイニングを見る。 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階、ダイニングからテラスを見る。 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階、ダイニングの開口部越しにテラスを見る。 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階、ダイニングからリビング側を見る。 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階、ダイニング photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階、ダイニング上部の開口部 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階、リビング横の開口部 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階、左:出窓、右:リビングからはなれへの階段 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階、はなれ photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階、はなれからリビングを見る。 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 1階、ホールからベッドルームに続く廊下を見る。 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 1階、ベッドルーム photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 1階、ベッドルーム photo©齋藤弦
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 外観、夕景 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 外観、夕景 photo©日吉祥太
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 配置図 image©OOO architecture
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 1階平面図 image©OOO architecture
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 2階平面図 image©OOO architecture
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 断面図 image©OOO architecture
佐藤陽+馬場亮平+和田彦丸 / OOOarchitectureによる、東京・北区の「CAT TOWN GREEN HOUSE」。“最低”高さ制限のある短冊敷地に建つ“二階建”住宅。与条件となった“気積”を主要素として、施主の望んだ“猫と植物が幸せに暮らせる”空間を志向。天井高の配分と開口部の配置で“光に満ちた空間”を作り出す 断面図 image©OOO architecture
以下、建築家によるテキストです。
CAT TOWN GREEN HOUSE
長屋が密集するエリアの短冊状敷地に建つ小さな住宅。「猫と植物が幸せに暮らせる家」を要望した。ここでは、気積のバランス(天井高さの配分)と開口の配置だけでこの密集した長屋住宅を開放し、光に満ちた拡がりのある植物園のような空間に猫と人が自由に暮らす家を計画した。
長屋を開放する非合理なヴォイド(気積)
施主の祖父の代から受け継がれるこの敷地には現在、最低高さ制限が定められている。そこに2階建の住宅を建てるという要件のため、住宅の内部は上へ引き延ばされるように天井高が高くなる。つまりキャピタリズムの価値観では非合理とされるヴォイド(気積)の存在が与条件となった。このヴォイドのバランス、つまり天井高さの配分と開口の配置だけでこの密集した長屋住宅街の中でも猫や植物に優しい、光に満ちた拡がりのある空間がつくれないかと考えた。
細長いプランの中央やや通り寄りには階段が巻きつく構造コアを配置し、手前と奥で異なる天井高構成とした。手前の1階エントランスホールは天井を高くすることで街のスケールを引き込みながら奥に光を導く。同時に2階のハナレ空間と街の間に程よく距離をとった。奥の主室エリア1階は天井高を極端に低く絞ることでアナグラのような寝室とし、2階は天井高をより高く設定することで、光が満ちた植物園のような居間空間とした。非合理なヴォイドと私的な与条件が結びつくことで、窮屈で暗い長屋が開放され、猫と植物が幸せに生きる空間が生まれた。
「、と 。」 ―空間の句読点となる2本の柱―
2階には2つの特徴的な柱がある。居間と食堂の間の「十字柱」は空間としての連続性を保ちながら、居間と食堂、食堂と台所の領域を示すことで座りの良い空間をつくる極小の間仕切壁である。エントランスホールと居間の間の耐力壁で固められたブビンガ突板貼りの「箱柱」は街の雰囲気を持ち込んだエントランスホールとプライベートな空間を分断しながらも互いの空間の存在を感じさせる。この住宅を文章にたとえるならば、十字柱は拍子を与える「、」であり、箱柱は完結と同時に次の世界に接続する「。」であろう。また、十字柱と箱柱は高天井の居室、トップライトからの自然光と組み合わることで機能を超えた象徴性を帯び、この住宅のキャラクターとなっている。
そこにある長屋の光をとらえる
隣家と互いに離隔をとることで生まれるわずか1mの隙間は、美しく生活を営むための十分な採光をもたらす。北側の隣家間には太陽高度の高い光が安定的に差し込み隣家の外壁に反射する。2階北側ハイサイドライトでその光をとらえ、さらに増幅するリフレクターとして6枚のフィンを設けた。南側の隣地間に入る光をキャッチするわずかに外側に角度をつけた窓には、冬の昼下がりに数十分直射日光が差し込むドラマチックな風景をつくる。通り側は街とつながりながら心理的距離をとる窓とし、東側奥は可能な限り大きな開口とすることでベースライトの役割を果たす。採光が難しい長屋だが、現地でつぶさに観察すると、そこには既にたくさんの光が存在した。
素材が醸すもの ―抽象化した柱に具象を重ねる―
ブビンガ突板貼りの箱柱は、この住宅のほぼすべての空間に現れる。材の選定は突板を扱う材木業者の倉庫にある数々の突板から施主のフィーリングとマッチするものを選び、貼方向や分割方法を丁寧に検討した。カメルーンで培った圧倒的な生命力が複雑な木目と深い赤色に表れている。「十字柱」と「箱柱」という建築の構成要素として抽象化(漂白)したものに強い物質性をもつマテリアルを重ねることで、単独のオブジェクトとして自立し、空間に積極的にふるまうようになる。それは柱であり、樹木の幹のようであり、あるいは部屋に置かれたアンティーク家具のようにふるまうかもしれない。
モノと記憶
施主は祖父母の建てた住宅に17年間住み続けた。当初は愛着のある家の改修を検討したが、総合的に建て替えを決意し、この住宅の計画を実行した。記憶を呼び起こすモノとして、既存住宅で使用されていた構造部材を利用して家具を製作した。
■建築概要
題名:CAT TOWN GREEN HOUSE
所在地:東京都北区
主用途:専用住宅
設計:OOOarchitecture(佐藤陽、馬場亮平、和田彦丸)
構造設計:馬場貴志構造設計事務所
階数:地上2階
構造:木造
敷地面積:70.70㎡
建築面積:45.39㎡
延床面積:79.85㎡
設計:2020年3月~2021年2月
工事:2021年2月~2021年9月
竣工:2021年9月
写真:日吉祥太