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2023.12.20Wed
2023.12.19Tue
2023.12.21Thu
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す
photo©渡邊聖爾

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architecture|feature
川田知典構造設計坂牧工務店Inoue Yoshimura studio建材(外装・壁)建材(外装・屋根)建材(内装・床)建材(内装・壁)建材(内装・照明)建材(内装・金物)住宅吉村明井上亮渡邊聖爾図面あり神奈川鎌倉
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す外観 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、リビング photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す2階、廊下2からリビングを見下ろす。 photo©渡邊聖爾

井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioが設計した、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」です。
日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画されました。建築家は、与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案しました。また、大きな気積で家族間の“心地よい距離感”を生み出すことも意図されました。

鎌倉の古い分譲地の1区画の建替え計画である。古家付きの土地を購入し、古家を解体してからの新築計画となった。施主は、小さな子供3名と夫婦の5人家族。遊びたい盛りの活発な男の子3名が住むこと、元々庭付きのマンションで暮らしていたこともあり、庭をつくること、そして鎌倉の風致地区を満たすように敷地の周囲に空地と植栽を植えていくことが必須条件であった。

建築家によるテキストより

土地は、ゆったりと2階建てが建てられる程度に広く、角地であったため採光に関しては比較的有利であったが、南側に行くほど土地が高く、南の隣地地盤面は、計画宅地よりも約2m程度上がっていたので、1階における南側からの採光は難しい状況にあった。また、東西方向には、少し離れると小高い丘と木々があり、計画地は、谷の下にあるような状態であったため日照時間が短いことも予想された。

建築家によるテキストより

谷のような立地に明るい空間をつくりたい。そんな想いで計画はスタートした。計画としては、敷地に対する建築面積を目いっぱいにとりながら、2階には大中小の穴(吹抜)を設ける計画とした。

吹抜上部の窓を介して下階へと心地よい光を入れることで、採光面で不利な状況を解決しつつ、住空間の気積を増やして5人家族が同じ空間にいても心理的に心地よい距離感を生み出そうと考えた。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す外観 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す外観 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出すアプローチ photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、玄関 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、リビング photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、リビング photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、リビング photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、リビング photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、リビング photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、リビングからダイニングとキッチンを見る。 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、リビングからダイニングとキッチンを見る。 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、キッチン photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、キッチンとダイニング photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、キッチン photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、ダイニングとキッチン photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、キッズルーム photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、ダイニングからリビングを見る。 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、リビング photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す2階、廊下2からリビングを見下ろす。 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す2階、廊下2とリビング上部の吹抜 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す2階、廊下2 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す2階、廊下2 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す2階、廊下2に設けられた水廻り、正面はキッチン上の吹抜 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、廊下1からリビングを見る。 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、廊下1 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、洗面室 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階、リビング、夕景 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す2階、廊下2からリビングを見下ろす、夕景 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す外観、夜景 photo©渡邊聖爾
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す1階平面図 image©Inoue Yoshimura studio
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す2階平面図 image©Inoue Yoshimura studio
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出す断面図 image©Inoue Yoshimura studio
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、神奈川・鎌倉市の「木洞窟の住居」。日照が懸念される“谷”の様な敷地に計画。与件の下に“明るい空間”を求め、建面を限度まで使ったヴォリュームの上階に3つの吹抜を設けて採光する構成を考案。大きな気積で家族間の“心地よい距離感”も生み出すダイアグラム image©Inoue Yoshimura studio

以下、建築家によるテキストです。


木でつくる明るい洞窟住居

鎌倉の古い分譲地の1区画の建替え計画である。古家付きの土地を購入し、古家を解体してからの新築計画となった。
施主は、小さな子供3名と夫婦の5人家族。遊びたい盛りの活発な男の子3名が住むこと、元々庭付きのマンションで暮らしていたこともあり、庭をつくること、そして鎌倉の風致地区を満たすように敷地の周囲に空地と植栽を植えていくことが必須条件であった。

谷のような立地

土地は、ゆったりと2階建てが建てられる程度に広く、角地であったため採光に関しては比較的有利であったが、南側に行くほど土地が高く、南の隣地地盤面は、計画宅地よりも約2m程度上がっていたので、1階における南側からの採光は難しい状況にあった。また、東西方向には、少し離れると小高い丘と木々があり、計画地は、谷の下にあるような状態であったため日照時間が短いことも予想された。

敷地断面

谷のような立地に明るい空間をつくりたい。そんな想いで計画はスタートした。計画としては、敷地に対する建築面積を目いっぱいにとりながら、2階には大中小の穴(吹抜)を設ける計画とした。

吹抜上部の窓を介して下階へと心地よい光を入れることで、採光面で不利な状況を解決しつつ、住空間の気積を増やして5人家族が同じ空間にいても心理的に心地よい距離感を生み出そうと考えた。

また、大きな空間が単調な箱にならないよう平面的にも断面的にも、空間を雁行させながら、ねじれながら繋がっていく断面的な空間をつくることで、住まい全体としては繋がりながらも、個々のスペースの落ち着きはある状態を目指している。

構造計画

木造在来軸組工法。いくつかの吹抜を計画しているが、大中小の吹抜に分割することで、スパン割を小さくし小断面の材料で成立する計画とすることで、コスト的な合理化を図っている。また、屋根組も水平剛性を小屋部分でとることで、屋根は束建てとして小径の材料で計画しコストを抑えている。

温熱計画

窓をはじめとして外皮の断熱性を担保した上で、小屋裏の熱気をダクトにて基礎内に戻し室内へと放流することで上下階の温度差を解消し、基礎内部の熱を利用する空調計画としている。

■建築概要

所在地:神奈川県鎌倉市

主用途:住宅 2階建
意匠設計:Inoue Yoshimura studio Inc.

構造設計:株式会社川田知典構造設計

施工:株式会社坂牧工務店

用途地域:第一種低層住居専用地域、22条地域

構造:在来軸組構造

基礎:べた基礎

敷地面積:167㎡

延べ面積:106㎡
設計期間:2021年8月~2022年2月
施工期間:2022年2月~2022年10月
竣工:2022年

写真:渡邊聖爾

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外装・屋根屋根

コロニアル屋根:コロニアルグラッサ(KMEW)

外装・壁外壁

軽量ラスモルタル(富士川建材)
アクリル樹脂系塗装:ジョリパットα(アイカ工業)

内装・床床

リノリウム:マーモリウム(フォルボ)

内装・壁壁

インテリアラーチ:ひのき合板
ビニルクロス(サンゲツ)

内装・照明照明

ブラケット、ペンダント(オーデリック)
ダウンライト(ダイコー)

内装・金物スイッチプレート

新金属プレート+フルカラーグレー(パナソニック)

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※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません

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    稲山貴則建築設計事務所による、神奈川・逗子市の「緑道の家」。奥側で“緑道”に面する旗竿敷地に計画。豊かな環境を最大限に導入する空間を求め、床レベルと窓配置等の操作で歩行者の視線を意識せず“自然を眺められる”内外の関係性を構築。緑道と共に過ごす生活を提案するロフト階、リビングとダイニングを見下ろす。 photo©鳥村鋼一

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    神奈川県逗子市の「緑道」に面した敷地に建つ家族4人のための住宅。

    敷地は旗竿地で、緑道にはシダレザクラをはじめとする沢山の木々が生え、夏には蛍も飛び交う小さな小川も流れている。この緑道の環境を目一杯室内に取り込むことと、休日はハイキングに向かう人などで人通りのある緑道というパブリックな場所に配慮することを同時に検討し設計を進めた。

    建築家によるテキストより

    具体的には、緑道に隣接するリビングのレベルを1FLより1450mm上げ、その下には1FLより720mm下げた和室を挿入し、1FLのダイニング・キッチンとスキップフロアの関係をつくる。この床のレベル差により室内と緑道を歩く人との視線をずらし、ダイニングからはリビングと和室がバッファーとなり緑道を歩く人からの視線を遮りながら緑道の緑を眺めることのできる関係をつくった。そして南側には家の中心と少し軸をずらした三角形の大きな出窓のような空間をつくり、緑道への別の視線とハイサイド窓からの採光を獲得する。

    建築家によるテキストより

    「緑道」という環境に対して、床のレベル差や窓の配置、窓の向きによって程よい緑道との距離を保ちながら緑道と共に過ごす生活の提案。

    建築家によるテキストより
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    2023.12.20 Wed 07:08
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