藤江保高 / ESPAD環境建築研究所と留目知明が設計した、東京・世田谷区の「下馬の別邸」です。
住宅街のゲストの滞在も可能な住まいです。建築家は、外に開きながらも“非日常”を感じられる存在を目指し、異なる特徴を持つ“6つの庭”で建物を分節する構成を考案しました。また、外壁は曲面の“煉瓦透かし積み”とし非日常への導入としています。
世田谷区の閑静な住宅街に建つ、ゲストが滞在できる邸宅。
①ゲストをもてなすゴルフラウンジ、②施主が経営する会社のゲスト空間、③施主の衣食住空間という、3つの機能を包含している。
敷地は起伏の多いエリアの中でもとりわけ小高い丘の上にあり、近隣の住宅街を眼下に、都心の中で風・光・空といった自然の力を強く感じた。
施主からは周辺の住宅地とは切り離された、「非日常を感じられる空間」が求められたが、一方で敷地から読み解かれる「非日常を作り出す外部への開放性」という、相反する環境を同時に実現しようと試みた。
そこで、低層から順に、1階:ゴルフラウンジ、2階:ゲスト空間、2・3階施主の衣食住空間、とセキュリティとプライバシーの高さに応じて積層する断面構成とし、6つの庭で建物のボリュームが分節された、建物のどこからでも光と風を感じられる平面構成とした。
外部の庭や、屋根に覆われた半外部の庭、吹抜けの庭等、室内と庭とのつながり方や、庭の設えに多様性を持たせて計画し、各居室には必ず1つ以上の庭が面するように計画している。その性格に応じて、内庭・光庭・露地庭・坪庭・裏庭・石庭と名付けている。
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以下、建築家によるテキストです。
世田谷区の閑静な住宅街に建つ、ゲストが滞在できる邸宅。
①ゲストをもてなすゴルフラウンジ、②施主が経営する会社のゲスト空間、③施主の衣食住空間という、3つの機能を包含している。
敷地は起伏の多いエリアの中でもとりわけ小高い丘の上にあり、近隣の住宅街を眼下に、都心の中で風・光・空といった自然の力を強く感じた。
施主からは周辺の住宅地とは切り離された、「非日常を感じられる空間」が求められたが、一方で敷地から読み解かれる「非日常を作り出す外部への開放性」という、相反する環境を同時に実現しようと試みた。
そこで、低層から順に、1階:ゴルフラウンジ、2階:ゲスト空間、2・3階施主の衣食住空間、とセキュリティとプライバシーの高さに応じて積層する断面構成とし、6つの庭で建物のボリュームが分節された、建物のどこからでも光と風を感じられる平面構成とした。
外部の庭や、屋根に覆われた半外部の庭、吹抜けの庭等、室内と庭とのつながり方や、庭の設えに多様性を持たせて計画し、各居室には必ず1つ以上の庭が面するように計画している。その性格に応じて、内庭・光庭・露地庭・坪庭・裏庭・石庭と名付けている。
外壁は季節や時間によって表情を変え、自然環境を室内に適度に取り入れる、透かし積みレンガによるポーラスな外装シェードで包んでいる。
中空のレンガブロックに鋼管を通すことで2層吹抜けの透かし積みを実現しているが、パイプを通すレンガの穴を変えることで、1種類のブロックで2種類の開口率を作り出している。
曲面形状を持つファサードは、南から西に向かって透かし積みブロックの開口率を下げる事で、室内に南日を適度に取り込みつつ、西日を遮るスクリーンとしての役割を果たしている。同時に、ここを訪れるゲストを非日常へと誘う象徴的な役割を果たすよう意図している。
閉じながらも開かれた、相反する要素が調和する、光、風、空、土、緑をまとう空間が広がることを期待した。
■建築概要
タイトル:下馬の別邸
所在地:東京都世田谷区下馬
用途:一戸建ての住宅
設計:ESPAD環境建築研究所 / 藤江保高
設計協力:留目知明
構造設計:CRS構造設計研究所
外構設計:ふるうち設計室
施工:岩本組
構造規模:RC造3階建て
敷地面積:278.79㎡
延床面積:409.34㎡
建築面積:188.35㎡
竣工:2023年9月
写真:Jimmy Cohrssen、ESPAD環境建築研究所