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米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す
photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ

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architecture|feature
建材(内装・壁)ヨネダ設計舎建材(内装・水廻り)建材(外構・床)建材(内装・キッチン)建材(外装・壁)建材(外装・屋根)建材(内装・照明)建材(内装・天井)建材(内装・床)ToLoLo studio図面あり谷川ヒロシ三重米田雅樹住宅
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す外観、北側道路より見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す1階、左:玄関、中央:広間、右:キッチン photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、左:室6(音の広場)、手前:室5(階段室)右:室7(クローゼット) photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、室6(音の広場) photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ

米田雅樹 / ヨネダ設計舎が設計した、三重・伊勢市の「キロプテラの家」です。
編集者の施主と両親の為に計画されました。建築家は、“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案しました。そして、複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出しました。

クライアントと初めて設計打合せをした際の箇条書きは以下であった。

・光が苦手なので自分の生活スペースは絞った光量を希望
・人生と共に集まってくる好きなものたちを楽しみながらレイアウトしていきたい

・両親と同居するが、1階に配する父と母のスペースは用途分離できる構造としたい



と大きく三点のご要望をいただいた。


高齢に差し掛かっているご両親のスペース(1階)と毎日仕事で帰りが遅い編集者であるクライアントのスペース(2階)との関係と、今後の可能性を含めたプランを検討した。

建築家によるテキストより

建築の使い方と、空間認識を「ルートと選択」というキーワードに置き換え、1階・2階とも同モジュールを反復させたプランとした。
ひとは視覚以外でもモノを視る。感じる。
まだ見えない反復の向こうは奥行きを持った想像の先へとつながっていく。
目線の先、頭の中双方にかきまぜられながら空間は増幅し、拡がっていく。

建築家によるテキストより

2階は設計を依頼した建主のスペースである。


既に手持ちの家具は原色を多用したものが多く、それらの背景となる色(補色)として朱色を選定した(設計初期からのクライアントの強い要望であった)
。
2階は南面から最北の寝床に向けて段状に上っていく。南面に穿った大きな開口からはいった光が、北に向かうにつれて狭まっていく。開口に絞られ、奥へと行くにつれてだんだんと闇が滲んでいく。
同プランの反復が、光の在り方、天井高の差異をつくり、ひととモノの居場所をつくる。

経路は幾通りもあり、床面積という概念とは異なる無限遠のようなループ性を生む。
各室に面する4面の開口が均一となるよう、可動垂れ壁や可動間仕切りをしのばせ、知覚経験の増幅を図った。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す外観、南側より見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す外観、北側道路より見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す外観、北側道路より見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す外観、玄関を見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す1階、玄関から広間を見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す1階、正面:広間、右:キッチン photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す1階、左:玄関、中央:広間、右:キッチン photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す1階、玄関から2階への階段室を見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す1階から2階への階段 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、室4から室5(階段室)を見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、左:室6(音の広場)、手前:室5(階段室)右:室7(クローゼット) photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、室6(音の広場) photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、室6(音の広場)から室8(オーディオ)側を見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、左:室8(オーディオ)、手前:室6(音の広場)右:室5(階段室) photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、室6(音の広場)から室2(光)側を見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、左:室2(光)、手前:室1(光)、右:室4 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、室1(光)から室2(光)を見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、室2(光)から室3(光)側を見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、室2(光)から室6(音の広場)を見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、室6(音の広場) photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、室7(クローゼット)から室8(オーディオ)越しに室11側を見通す。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、左:室6(音の広場)、食中央:室8(オーディオ)、右:室11 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、室8(オーディオ)から室11を見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、室11から室12(ミニキッチン)側を見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、室11から室14側を見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、左:室11、手前:室14、右:室13(トイレ) photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階、室14から室11を見る。 photo©ToLoLoStudio 谷川ヒロシ
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す1階平面図 image©ヨネダ設計舎
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す2階平面図 image©ヨネダ設計舎
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出す断面図 image©ヨネダ設計舎
米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重・伊勢市の「キロプテラの家」。編集者の施主と両親の為に計画。“知覚・時間・想像”に拡がりを与える存在を求め、“ルートと選択”という趣旨の元に“モジュールを反復させる”平面構成を考案。複数の経路で“無限遠の様なループ性”も生み出すスケッチ image©ヨネダ設計舎

以下、建築家によるテキストです。


クライアントと初めて設計打合せをした際の箇条書きは以下であった。

・光が苦手なので自分の生活スペースは絞った光量を希望
・人生と共に集まってくる好きなものたちを楽しみながらレイアウトしていきたい

・両親と同居するが、1階に配する父と母のスペースは用途分離できる構造としたい



と大きく三点のご要望をいただいた。


高齢に差し掛かっているご両親のスペース(1階)と毎日仕事で帰りが遅い編集者であるクライアントのスペース(2階)との関係と、今後の可能性を含めたプランを検討した。

建築の使い方と、空間認識を「ルートと選択」というキーワードに置き換え、1階・2階とも同モジュールを反復させたプランとした。
ひとは視覚以外でもモノを視る。感じる。
まだ見えない反復の向こうは奥行きを持った想像の先へとつながっていく。
目線の先、頭の中双方にかきまぜられながら空間は増幅し、拡がっていく。

モジュールは定尺寸法910の倍数である芯々1820mmでは窮屈であると感じたため、1935mmとした。
胴縁と仕上げを足すと部屋内寸法が1820程度となり、小さな市販ベッドが納まる。建主家族が足を伸ばして就寝できる寸法であり、3x6板の材料を切ることなく目一杯使えるサイズでもある。

1階は当面の予定用途と今後の可変可能性から容易にバリアフリー化できるスーパーフラットな大きな1室とし、十字型に仕切られた垂れ壁の下を自由自在に走る建具により、自由に部屋割りつくることができる。白い室内に光がまわり、全体的な印象もフラットである。
今は個室に分かれている1階は大きな一つの部屋にすることができるし、また将来的に、1階だけを誰かに貸し出すこともできる。
今後の選択肢を担保していけるような玄関の場所、部屋割りを検討した。

2階は設計を依頼した建主のスペースである。


既に手持ちの家具は原色を多用したものが多く、それらの背景となる色(補色)として朱色を選定した(設計初期からのクライアントの強い要望であった)
。
2階は南面から最北の寝床に向けて段状に上っていく。南面に穿った大きな開口からはいった光が、北に向かうにつれて狭まっていく.開口に絞られ、奥へと行くにつれてだんだんと闇が滲んでいく。
同プランの反復が、光の在り方、天井高の差異をつくり、ひととモノの居場所をつくる。

経路は幾通りもあり、床面積という概念とは異なる無限遠のようなループ性を生む。
各室に面する4面の開口が均一となるよう、可動垂れ壁や可動間仕切りをしのばせ、知覚経験の増幅を図った。

構成の中に、住人がこれまでの人生の中で手に入れ、楽しみ、愛でられてきたモノたちの集積による空間の重なりが生まれ、さながら私設美術館のようだ。


始まった生活をみて、人が住む、住まいとはこういうことだ、と思った。
ひとそれぞれの、その人、その人たちの生きてきた時間という空気のような層を重ねていく場所。
その層の累積をとどめることができる場所。
その層は見た目の派手さや、反対に控えめさといった表層よりも奥にあるものだ。

それは家族という概念とはある部分では別にあるのではないか。

とはいったものの。現在のところ、一見、1階と2階は異なる世界観の様相であるが、段状を態する2階床面と1階天井面はそれぞれが裏返ったさかさまの関係で表裏一体親子のような関係となっているところが裏テーマでもあり、この住まいのタイトルの所以である。


選択肢。人が生きていく様々な時間軸の中、ルートが知覚・時間・想像に拡がりをもたらしていく構成を考えた。

■建築概要

題名:キロプテラの家

所在地:三重県伊勢市

主用途:住居

設計:一級建築士事務所ヨネダ設計舎
 担当/米田雅樹、今仁渉(元所員)

施工:ヨネダ設計舎


構造:木造

階数:地上2階

敷地面積:262.31㎡

建築面積:67.40㎡

延床面積:134.80㎡

設計:2020年1月~2022年5月

工事:2022年6月~2023年1月

竣工:2023年1月

写真:ToLoLoStudio 谷川ヒロシ

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外装・屋根屋根

シート防水

外装・壁外壁

ガルバリウム鋼板:エイトライン(ミツイバウ)

内装・床1階 床

シナベニヤ+オスモクリア(オスモ&エーデル) 
長尺塩ビシート:エスリュームプレーン(サンゲツ)

内装・床2階 床

ラワンベニヤ5.5mm+撥水塗料

内装・壁1階 壁

PB t=12.5 mm+AEP

内装・壁2階 壁

ラワンベニヤ 5.5mm+OP(小豆色K07-30L)

内装・天井1階 天井

PB t=9mm+AEP

内装・天井2階 天井

ラワンベニヤ 5.5mm+OP(小豆色K07-30L)

内装・キッチンキッチン

ホワイトミニマルキッチン(toolbox)

内装・水廻りトイレ

ネオレスト(TOTO)

内装・照明照明

プルスイッチ付きソケット(Panasonic)

外構・床 外構

土間コンクリート

※企業様による建材情報についてのご意見や「PR」のご相談はこちらから
※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません

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    BIGがデンマークの元スーパーマーケットの建物をペーパーアートの新しい美術館へと変貌させる

    BIG-ビャルケ・インゲルス・グループは、デンマーク北ユトランド地方にある元スーパーマーケットの建物を、新しいペーパーアートの美術館に変える予定です。デンマークの文化遺産に深く根付いたペーパーアート、例えばル・クリントによるアイコニックな折り紙ランプシェードやH.C.アンデルセンの紙クリップなどがありますが、この建物の転用と増築により、美術館の年間来館者数を倍増させるとともに、アートの一形態として、また専門技術として紙を取り入れていくことを目指しています。

    2018年に切り絵作家のビト・ヴェイレによって創設されたペーパーアートミュージアムは、北欧唯一の紙工芸とデザインの専門美術館です。約900㎡の元スーパーマーケットの建物は、BIGによって改装と増築が施され、ワークショップ、イベント、教室、倉庫、オフィス施設を備えた2300㎡の美術館に生まれ変わります。アダプティブ・リユース・プロジェクトでは、DGNBのゴールドまたはプラチナ認証の取得を目指しています。

    「ペーパーアートはデンマークの文化遺産に深く根付いており、ル・クリントの折りたたみ式ランプやアンデルセンの紙クリップといった象徴的なデザインを通じて、デンマークのペーパーアートの伝統が紹介されています。この遺産を未来に引き継いでいくことが、この美術館の中心的な使命です。私たちは既存の建物を再利用したことも誇りに思っています」─ カレン・ビット・ヴェイレ、ペーパーアートミュージアムのアーティスト兼ディレクター

    「ペーパーアートミュージアムは、新しい軽量屋根構造として構想されています。一枚の紙のように既存の建物に屋根が載り、その周囲に新しい機能のためのスペースが生まれます。つまり、新しいものと古いものを一つの屋根の下に統合するのです。既存の建物の外壁には、折り紙にインスパイアされ、複数の紙アーティストとのコラボレーションでデザインされた新しい音響調整機能を持つ紙のアート層が施されます。

    「ペーパーアートとは、単色の二次元素材である一枚の紙から、三次元の形や複雑なイメージを作り出すことです。屋根の表面を折り紙の1枚の紙のように扱うことで、既存の機能と新しい機能が1つの統一されたジェスチャーにまとめられます。明確さによって表現力が強調され、シンプルさから複雑さが生まれます。そして、老朽化したスーパーマーケットは、浮遊する湾曲した屋根の下で新たな命を得るのです」─ ビャルケ・インゲルス、BIG-ビャルケ・インゲルス・グループ創設者兼クリエイティブ・ディレクター

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    美術館・博物館ビャルケ・インゲルスBIGデンマーク
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