SHARE 隈研吾の姫路市立美術館での展覧会「隈研吾の『コツゴツ』哲学 過去から未来へ生き残るデザイン―髙田賢三へのオマージュ」の入場チケットをプレゼント。隈が改修を手掛けたデザイナー髙田賢三のパリの旧邸宅に焦点を当てる展示。再現模型やモックアップ等に加えて大型インスタレーションも公開
- 日程
- 2024年12月7日(土)–2025年2月2日(日)
隈研吾の姫路市立美術館での展覧会「隈研吾の『コツゴツ』哲学 過去から未来へ生き残るデザイン―髙田賢三へのオマージュ」の入場チケットを抽選でプレゼントいたします。
隈が改修を手掛けたデザイナー髙田賢三のパリの旧邸宅に焦点を当てる展示です。再現模型やモックアップ等に加えて大型インスタレーションも公開します。
会期は、2024年12月7日~2025年2月2日まで。展覧会の公式サイトはこちら。
入場チケットプレゼント企画の応募締切は、2025年1月6日(月)13時まで(お申込みにはGoogleアカウントが必要になります)。こちらのフォームからご応募ください。厳正な抽選を行い当選された方にはメールにてご連絡いたします(メール送付を当選発表にかえさせていただきます)。
「姫路は日本建築の聖地である」と言う隈研吾は、2021年より当地の姫路城、書寫山圓教寺そして姫路市立美術館の三大建築美に向き合い、その本質を独自のオノマトペ表現で「姫路城はツンツン、圓教寺はパラパラ、姫路市立美術館はコツコツ」と読み解きました。そして複数のプロジェクトを経た2024年度、空間と時間の概念を併せ持つオノマトペ「コツコツ」とそれを発展させた「コツゴツ」という造語を通じて、隈はその最新の境地を展観します。
本展では、隈がリノベーションを行ったパリの旧髙田賢三邸を再現した新作の模型や映像とモックアップや髙田の作品・遺愛品で構成されるインスタレーション、建築の模型やモックアップ約30点を展示し、隈と髙田の響き合うデザイン思考を紐解きます。また、書寫山圓教寺で進行中の「はづき茶屋プロジェクト」の成果を模型として披露します。
はづき茶屋は、隈が敬愛する武田五一が設計した摩尼殿に対面して建つ休憩所で、参籠者が身を清める湯屋を起源とします。茶屋の名の由来となった開基・性空上人と和泉式部の出会いの伝説のように、武田と隈の時を超えた対話を通じて未来のはづき茶屋のイメージが展開されます。
以下に、詳細な情報を掲載します。
展示に関係する写真等
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展示の構成
第1章 隈研吾の「コツコツ」と「コツゴツ」
関係する隈研吾作品の紹介パネル、写真、模型、1/1 部分モックアップなど第2章 「コツゴツ」の旧髙田邸(Takada Kenzo House)-再現インスタレーション
姫路市立美術館所蔵の髙田賢三遺愛品・作品と映像・モックアップを使った大型インスタレーション
プロジェクト展示(企画展示室入口にて実施)
・圓教寺×隈研吾 はづき茶屋プロジェクト
・姫路の特産品であるマッチを使ったパビリオン
展示の見どころ-隈研吾のことばより
【コツコツ】
姫路市立美術館は、レンガをコツコツと積み上げて作られた旧陸軍の建物を保存し、転用し、改修したもので、そのプロセスそのものが、そこにかかわった人々の努力の総体、まさにコツコツとしかいいようのないものである。そのコツコツとした印象は、姫路城からも、圓教寺からも、同様に感じられ、伝わってくる。コツコツはいわば、時間を切断せずに継続させようとする努力の別名であり、現代の言葉でいえば、サステナビリティである。姫路の建築のサステナビリティは、その地勢学的なポジションと深く関係している。都、すなわち中心においては、京都にしろ、大阪にしろ、スクラップアンドビルドが常態であり、更新のスピードは驚くほどに早い。コツコツと積み上げるいとまもなく、すべては入れ替わり、建て直されていく。このスクラップアンドビルドは、高度成長の時代には、一見経済に活力を与えるすぐれた方法であると誤解されたが、破壊的で非人間的な手法である。その逆に、姫路を支えてきたコツコツの手法こそ、これからの時代に、最も必要とされる考え方であり、方法である。今、それゆえに姫路は注目されるのであり、この手法を深め、磨いていくことで、姫路はますます注目される場所になっていくであろう。【コツゴツ】
賢三さんは天才的なひらめきの人であったが、同時にコツコツと積み重ねる努力の人でもあった。世界の辺境の様々な衣装を研究し、そこから未来のファッションのヒントをさぐり続けた。アトリエには莫大な数の布やボタンがストックされていて、賢三さんの頭は、何がどこにしまってあるのか、すべて記憶して、整理されていた。だからこそ、あの驚くべきほどに自由で多様なデザインが可能だったのである。地道さと自由の結合が、姫路という場所と関係があることをみせるのが、この展覧会のひとつの目標である。その結合を一言で表現したのがコツゴツというオノマトペである。コツはコツコツとした地道さ、その先にひろがる開かれた国際性を示している。ゴツは、地道な努力を支え、そこにエネルギーを与え続けてくれる野性の力強さを示している。賢三さんは、そのようなコツゴツな人であった。僕もまた、そのようにしてコツでゴツな建築を作り続けたいと願っている。【コラボ展示】
賢三さんのパリの家は、マジカルな場所であった。通りに面した扉を開けると、突然にタイムトンネルのようなトンネルが出現し、そのタイムトンネルの奧に、陽光に溢れた南海の楽園と巨大な鯉のおどる日本庭園と、濃密な茶室が隠れていたのである。僕は、その家にもうひとつ別の魔法をかけることで、賢三さんの根っ子の部分を掘り起こしてみようと試みた。僕が使ったのは木という物質を用いた魔法である。賢三さんのすごさは国際性と野性とが結合していることで、木を用いれば、その結合の姿を、家を訪れたみんなに感じてもらえるのではないかと考えた。その魔法の力で見えてくるのは賢三さんというアーティストの本質であるが、同時にまた、隈研吾というアーティストの本質も、感じてもらえるのではないかと思う。【はづき茶屋】
はづき茶屋は、圓教寺の摩尼殿という、恐るべき傑作と向かいあっている。正確にいえば、下からそのすごさをあおぎ見る位置に、はづき茶屋を計画している。摩尼殿は建築家武田五一(1872–1938)の最高傑作であると僕は考えている。武田は、ヨーロッパに留学し、アール・ヌーボーやセセッションという当時の最先端を日本にもたらし、日本ではじめて茶室を本格的に研究した大学者であり、まさに国際性と野性とをあわせもった、特別な存在であった。そのコツゴツとした摩尼殿を見上げながら、木のユニットをコツゴツと組みあわせて武田への敬意を示しながら、しかも武田にはない軽みを追究したのが、僕の設計しているはづき茶屋である。茶屋だから、そんな力を抜いた軽快さを、武田先生も許してくれるのではないかと、先生に少し甘えてみた。【ツンツン庵】
マッチの軸木と和紙を用いて、洞穴のような構造体のプロトタイプを制作した。どちらの素材も一見するととても小さく薄い、か弱い素材である。しかし、線としてのマッチと、面としての和紙が組み合わされることで一定の強度が現れる。デジタルテクノロジーを用いて生成した全体形状にこの小さな線と面の集合が展開されることで、かき揚げのような、つんつんした、これまで建築にはなかった質感を生み出すことができた。
隈研吾と髙田賢三
隈研吾は、髙田賢三がパリに構えた旧邸宅「Takada Kenzo House」を2018年にリノベーションしています。この邸宅は、髙田のデザイン哲学の集大成といえる空間作品であり、隈によるリノベーションを経た現在の姿は、髙田と隈の協働作品と位置付けることができます。歴史の重層性をコツコツというオノマトペで表す隈は、歴史に学びつつ革新的なデザインを世に広めた姫路市出身のデザイナー・髙田賢三の業績を「コツゴツ」という独自のオノマトペで表現します。
隈研吾のプロフィール
隈研吾(くま・けんご)
1954 年生まれ。1990 年、隈研吾建築都市設計事務所設立。慶応義塾大学教授、東京大学教授を経て、現在、東京大学特別教授・名誉教授。50を超える国々でプロジェクトが進行中。自然と技術と人間の新しい関係を切り開く建築を提案。主な著書に『全仕事』(大和書房)、『点・線・面』(岩波書店)、『負ける建築』(岩波書店)、『自然な建築』(岩波書店)、『小さな建築』(岩波書店)他多数。
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■展覧会概要
会場:姫路市立美術館 企画展示室他
会期:2024年12月7日(土曜日)から2025年2月2日(日曜日)まで
開場時間:午前10時から午後5時まで(入場は午後4時30分まで)
休館日:月曜日(ただし1月13日は開館)、年末年始(12月28日から1月3日まで)、1月14日
観覧料:一般 700円(500円)、大学・高校生 400円(200円)、中学・小学生 200円(100円) ( )内は20名以上の団体料金
主催:姫路市立美術館
企画協力:隈研吾建築都市設計事務所
特別協賛:大成建設株式会社、株式会社フジタ、株式会社松本組
後援:朝日新聞姫路支局、神戸新聞社、産経新聞社神戸総局、サンテレビジョン、播磨時報社、播磨リビング新聞社、姫路ケーブルテレビ、姫路シティFM21、毎日新聞姫路支局、読売新聞姫路支局、ラジオ関西(50音順)