トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案
photo©ONIBUS TAIWAN

トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案

トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案エントランスからバリスタカウンター越しにカフェスペースを見る。 photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案カフェスペースからバリスタカウンター側を見る。 photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案カフェスペースからバリスタカウンターを見る。 photo©ONIBUS TAIWAN

トラフ建築設計事務所園田慎二建築設計事務所による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」です。
多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画です。建築家は、ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向しました。そして、地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案しました。店舗の場所はこちら(Google Map)。

スペシャルティコーヒーを提供するコーヒーショップONIBUS COFFEEの台湾2号店となる台中店を手掛けた。
商業・文化施設が多くある華やかなエリアの緑道沿いが敷地となった。

建築家によるテキストより

コーヒーづくりに欠かせない土は、鉱物の他、様々な微生物を含有し、それらの相互関係で成り立っている。多様性と融合を尊重するONIBUS COFFEEの哲学に通じつつ、環境循環というサスティナブルな象徴として、土と共存する店舗を計画した。

建築家によるテキストより

台湾地場の赤土の仕上げを3次曲面の壁や天井に施した大きな塊を中心に、その周囲に人々の居場所をつくり出すレイアウトとした。土を掘り込んだようなバリスタカウンターは、上部が客席側にはね出すことで、その下に人々が集い、コーヒーを介したスタッフとのコミュニケーションの場となる。
また、カウンターは島状に分割して配置することで、スタッフそれぞれに居場所をつくり、客とのコミュニケーションを円滑にしている。

客席は、土の塊を囲うように配置し、高い天井のオフホワイトの空間とすることで、明るく開放的で、心地の良い居場所をつくりだした。客席中央や大きな窓の前には、特徴的な白い筒状のペンダントライトを配置し、柔らかい光のオブジェの下に、くつろぐことができるテーブル席を設けている。

建築家によるテキストより

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トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案エントランスからバリスタカウンター越しにカフェスペースを見る。 photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案エントランスからバリスタカウンターを見る。 photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案左:カフェスペース、右:バリスタカウンター photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案正面:カフェスペース、右:バリスタカウンター photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案カフェスペースからバリスタカウンター側を見る。 photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案カフェスペースからバリスタカウンターを見る。 photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案バリスタカウンター photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案バリスタカウンター photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案カフェスペース photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案カフェスペースの照明 photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案バリスタカウンター、天井の詳細 photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案バリスタカウンター、天井の詳細 photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案バリスタカウンター、壁の詳細 photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案バリスタカウンター、天井と壁の詳細 photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案バリスタカウンター、天井と壁の詳細 photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案バリスタカウンター、天井と壁の詳細 photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案エントランス横の物販スペース photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案バリスタカウンターとドリンク photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案カフェスペース、テーブルとフード photo©ONIBUS TAIWAN
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案平面図 image©トラフ建築設計事務所+園田慎二建築設計事務所
トラフと園田慎二による、台湾の「ONIBUS COFFEE 台中店」。多様性と融合を尊重する哲学を持つ店の計画。ショップの想いと通じつつ環境循環を象徴する存在を求め、コーヒーづくりに欠かせない“土”と共存する場を志向。地場の赤土で仕上げた“塊”を中心に据える空間を考案断面図 image©トラフ建築設計事務所+園田慎二建築設計事務所

以下、建築家によるテキストです。


スペシャルティコーヒーを提供するコーヒーショップONIBUS COFFEEの台湾2号店となる台中店を手掛けた。
商業・文化施設が多くある華やかなエリアの緑道沿いが敷地となった。

コーヒーづくりに欠かせない土は、鉱物の他、様々な微生物を含有し、それらの相互関係で成り立っている。多様性と融合を尊重するONIBUS COFFEEの哲学に通じつつ、環境循環というサスティナブルな象徴として、土と共存する店舗を計画した。

台湾地場の赤土の仕上げを3次曲面の壁や天井に施した大きな塊を中心に、その周囲に人々の居場所をつくり出すレイアウトとした。土を掘り込んだようなバリスタカウンターは、上部が客席側にはね出すことで、その下に人々が集い、コーヒーを介したスタッフとのコミュニケーションの場となる。
また、カウンターは島状に分割して配置することで、スタッフそれぞれに居場所をつくり、客とのコミュニケーションを円滑にしている。

客席は、土の塊を囲うように配置し、高い天井のオフホワイトの空間とすることで、明るく開放的で、心地の良い居場所をつくりだした。客席中央や大きな窓の前には、特徴的な白い筒状のペンダントライトを配置し、柔らかい光のオブジェの下に、くつろぐことができるテーブル席を設けている。

台中の緑豊かで、文化的な場所において、コーヒーづくりの要となる土でできた、自然を感じられる温かみのある店舗を目指した。

■建築概要

所在地:台中・草悟道、台湾
主要用途:飲食店舗
設計:トラフ建築設計事務所、園田慎二建築設計事務所
実施設計:TAIWAN ZENIYA INTERIOR DESIGN
照明計画:BRANCH LIGHTING DESIGN
サイングラフィック:CHALKBOY
施工:GOOD HOUSE CONSTRUCTION
延床面積:133.56㎡
設計期間:2023年12月~2024年6月
施工期間:2024年7月~10月
写真:ONIBUS TAIWAN

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
内装・床バリスタカウンター 床

モールテックスBEAL

内装・床客席 床

モルタル

内装・壁バリスタカウンター 壁

台湾南投県の赤土

内装・壁客席 壁

塗装

内装・天井バリスタカウンター 天井

台湾南投県の赤土

内装・天井客席 天井

塗装

内装・造作家具客席 テーブル

制作テーブル:積層合板+メラミン板

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※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません


We designed the interior for ONIBUS COFFEE, which offers specialty coffee, and opened its second store in Taichung, Taiwan. The site is located along the greenway in a bustling area with many shopping and cultural facilities.

Soil, which is essential for coffee bean cultivation, involves a rich interaction between minerals and various microbes. This is in line with ONIBUS COFFEE’s philosophy, which respects diversity and integration. The way it functions as a symbol of sustainability and environmental circulation can be found in the shop’s design, where people coexist with the soil.

We designed the layout to feature areas around a large mass with 3D curved walls and a ceiling finished with local Taiwanese red clay. The barista counter has the appearance of being dug out of soil, and, protruding over the seating area, it creates space for people to gather and communicate with staff. The counters are arranged in an island-like configuration, creating areas for the staff to promote seamless customer communication.

The seating area is an off-white space located around the soil mass with higher ceilings, providing a bright and open atmosphere with relaxing vibes. Distinctive cylindrical white pendant lights provide soft lighting in the center of the seating area and in front of large windows, with cozy seating under the soft light objects.

We aimed to create a shop with the warmth of nature, finished with soil, the essentials for coffee cultivation within this area of greenery, located in a cultural spot in Taichung.

ONIBUS COFFEE Taichung
Principle use: CAFE
Production: GOOD HOUSE CONSTRUCTION
Design: TORAFU ARCHITECTS, Shinji Sonoda & Associates
Design development: TAIWAN ZENIYA INTERIOR DESIGN
Lighting design: BRANCH LIGHTING DESIGN
Sign graphic: CHALKBOY
Building site: Taichung, Taiwan
Total floor area: 133.56m2
Design period: 2023.12-2024.06
Construction period: 2024.07-10
Photo: ONIBUS TAIWAN

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川久保智康建築設計事務所が設計した、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」です。
周囲に“山並みを感じる”敷地での計画です。建築家は、子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案しました。また、地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保しています。

すべての保育室は開放的な屋外と近い関係になるように配慮し、周囲から見守られて安全な中庭、強い日差しや雨を防ぐ屋根付きの広場(ピロティー・回廊)、周囲の田園風景と相まって走りまわれる開放的なデッキなどを設置しています。子供たちは建物内外の好きな場所を選んで過ごすことができます。

関東平野から見る山々の記憶をデザインする敷地からは南西方向より時計回りに、富士山、秩父連山(甲武信ヶ岳・両神山・城峯山・東御荷鉾山)、浅間山、北に赤城山、日光男体山、そして東に筑波山、関東平野の真ん中からはぐるりと山並みを感じることができます。

これはこの地域の子供たちに覚えておいてほしい貴重な景色。連なる梁とそれらによる面の傾斜で山々の稜線を屋根の形に写し取り、シンクロさせて園舎の記憶となります。幼少期の微かな思い出の一端を紡ぐ仕掛けになったらと願っています。

建築家によるテキストより

埼玉県熊谷市は日本一暑いまちとしても有名です。子供たちをその暑さから守ることは、この計画において大きなテーマでした。園舎の断熱性能は断熱等級4を確保し、強い日射を受ける2階の保育室にはサッシの外側に屋外用ブラインドを設置して調光・遮光できます。また、屋外では日影をつくるピロティー・回廊・庇を設けて日射対策や通風を考慮するとともに、蒸発の際に気化熱を吸収するミストや霧の発生装置により涼しさを補完しています。

建築家によるテキストより

さまざまな活動を支えるため、基壇部を鉄筋コンクリート造として、地上から2階へと子供達が走りまわるタフさを求め、その上部構造には軽快で柔らかな印象の木造を採用しました。耐火建築物が要求されることから、当然ながら木造部も耐火仕様となります。柱、梁、壁は1 時間の燃焼に耐える厚いプラスターボードにより被覆されるため、残念ながらこの複雑な架構は姿として現すことはできませんが、木造を採用したことで、より自由な屋根形状が可能となりました。

建築家によるテキストより

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