architecturephoto®

  • 特集記事
  • 注目情報
  • タグ
  • 建築
  • アート
  • カルチャー
  • デザイン
  • ファッション
  • 書籍
  • 展覧会
  • コンペ
  • 動画
  • テレビ
  • すべてのタグ

建築求人情報

Loading...
2009.1.18Sun
2009.1.17Sat
2009.1.19Mon
廣部剛司による”海辺の家”
サムネイル:廣部剛司による

SHARE 廣部剛司による”海辺の家”

architecture|feature
住宅千葉廣部剛司別荘鳥村鋼一

umibe-web-1.jpg

umibe-web-2.jpg

umibe-web-3.jpg
photo©鳥村鋼一

廣部剛司が設計した千葉県南房総市の週末住宅”海辺の家”です。

umibe-web-4.jpg
umibe-web-5.jpg
umibe-web-6.jpg
umibe-web-7.jpg
umibe-web-8.jpg
umibe-web-9.jpg
umibe-web-10.jpg
umibe-web-11.jpg
umibe-web-12.jpg
umibe-web-13.jpg
umibe-web-14.jpg
umibe-web-15.jpg
umibe-web-16.jpg
umibe-web-17.jpg
umibe-web-18.jpg
photo©鳥村鋼一
以下、建築家によるテキストです。


変奏の行方
千葉県の南房総市に計画された週末住宅である。はじめて敷地を訪れたとき、その海岸線からの近さに驚かされた。そして同時に、海に面している敷地境界線以外の3つの辺に対して、実はあまり開くことのできない環境だと言うことに気付かされた。真横が夏は海水浴客や臨海学校で子供達が大勢押し寄せる海水浴場であり、釣り客の途絶えることのない防波堤に面していること、残りの2辺は同時に宅地として売り出された住宅地であることからだ。とはいえ、静かな海に面した土地。何らかのよりどころを保ちながら、その素晴らしいロケーションを生かした建築にしたいと思った。スケッチを繰り返すうちに、建築そのもので不要な視線を遮りながら海と空を切り取る、という方向性が導かれた。
海と空に開くバッファーのような外部(これは中庭空間に結実する)を囲い取るような建築を思い描いているときに、ふと浜辺に打ち上げられた貝殻を想った。そして幼い頃、海岸で貝殻をのぞき込んだり耳を当ててみたりした経験がよみがえったのだ。平坦な地面の上に自律的なかたちでポンと置かれてはいるけれども、毅然として佇む。そこには、この敷地だからこそ導かれる建築のカタチがあるように思えた。
貝殻の中に入ってみたい、そしてそこに響く波音を聴いてみたい。
それは、この建築へと向かう明確な意志に変わった。貝殻に包み込まれるような空間を獲得するためには一つ越えなくてはいけないポイントがあると思った。それは「壁」、「屋根」という認識を揺さぶることだった。だから、「壁」を傾けて「屋根」と呼ばれているものから空間の覆いを連続させようと考えたのだ。<貝殻>を抽象化するプロセスとして、曲面を多角形に分割し海に面した部分を切り取った。切り取られた切断面は壁内のブレースで補強され、その形態がそのまま三角形の窓に現れている。中庭側に鉛直力のみを受け持つ細い鉄骨柱はあるが、それ以外の部分においては文字通りのシェル構造で計算できる形態が導かれた。
RC造でも、シェルは構成出来たと思う。でもここでは木造で、さらに構造体を内部に剥き出しにするかたちでつくった。開き止め金物やHD金物一つ内部には露出させないようにディテールを練り、まったく逃げのきかない施工精度を要求することにはなってしまったが、襞のように構造部材が連続しながら深い陰翳をもたらす空間が導かれた。それは肌合いの問題だったのかも知れない。
連続していくトップライトや中庭越しの光で、<貝殻>の中は一日を通して変化し続ける。水面のうねりを眺め、波の音を聴きながら冬の時期には正面に沈むように設計された夕陽を眺めている時間。それは、「音楽」のように変奏を続けていく。
(廣部剛司)
■建築概要
名称  :海辺の家
所在地 :千葉県南房総市
主要用途:週末住宅(別荘)
主体構造:木造シェル構造
規模  :地上1階
敷地面積:442.00m2  
建築面積:73.84m2  
延床面積:73.03m2  
竣工  :2008年9月
構造設計:エスフォルム/大内彰
施工  :片岡健工務店

  • SHARE
住宅千葉廣部剛司別荘鳥村鋼一
2009.01.18 Sun 19:59
0
permalink

#廣部剛司の関連記事

  • 2024.6.25Tue
    廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す
  • 2024.5.15Wed
    廣部剛司建築研究所による、千葉・南房総市の「VILLA MKZ」。岩盤の露出等がある“複雑な条件”の土地。条件の間を“縫うような”計画を行う為、三角形を連続させた平面をベースとした“可変の余地を内包する”方法論で設計。海を向く諸室が“折れ曲がり”連続する空間を作る
  • 2021.5.06Thu
    廣部剛司建築研究所による、東京・三鷹市の住宅「U・T」
  • 2020.4.13Mon
    廣部剛司建築研究所による、東京・三鷹市の住宅「U・T」の写真
  • 2020.2.05Wed
    /
    廣部剛司建築研究所が2019年に完成させた、静岡・伊豆高原の別荘「PHASE DANCE」の動画
  • 2019.8.22Thu
    廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の別荘「PHASE DANCE」の写真
  • 2016.4.07Thu
    /
    廣部剛司による、東京の、マンションの一室のリノベーション「代々木上原のリノベーション」の写真
  • 2015.12.17Thu
    /
    廣部剛司建築研究所による、東京の住宅「Gray ravine」の写真
  • 2010.7.06Tue
    サムネイル:廣部剛司による
    廣部剛司による”南青山M”
  • view all
view all

#鳥村鋼一の関連記事

  • 2024.11.01Fri
    川口裕人 / 1110建築設計事務所による、神奈川・川崎市の「蔵と倉」。土蔵の飲食店への改修と倉庫棟の新築に加えて庭も整備。土蔵では、上階床を撤去し気積を大きくして光が降り注ぐ空間を創出。倉庫棟では、既存や周辺の建物の肯定と未来への希望を意図して建ち方や素材を選定する
  • 2024.10.04Fri
    渡邉明弘事務所・オクムラデザイン・キーマンによる、東京・千代田区の「REDO JIMBOCHO」。雑居ビルを改修と耐震化した“シェア型複合施設”。既存の状態に対し、“修繕”でも“建替”でもない“再生”する設計を志向。柱の増し打ち補強を含む“総合的な計画”で他の選択肢では“得難い空間”を生み出す
  • 2024.9.06Fri
    オンデザインの内装デザインによる、大阪市の「QUINTBRIDGE」。交流と共創を促すオープンイノベーション施設。協働の場に必要な“オープンでフレキシブル”に応えつつ、集団の中でも“緊張せず過ごせる”場を志向。距離や視線を什器等で細かく“チューニング”して空間を作る
  • 2024.6.25Tue
    廣部剛司建築研究所による、静岡・伊東市の週末住宅「PHASE DANCE」。木々に覆われた鬱蒼とした敷地。存在感のある“大樹”の発見を契機とし、一本の樹木を“少し遠慮”しながら“建築で取り囲む”平面構成を考案。連続的に変化する木造の架構で内部空間に繋がりと全体性を生み出す
  • 2024.6.05Wed
    津金愛理+フン・チョク・テイ / オンデザインによる、東京・世田谷区の住戸改修「拡がるリビングの家」。築40年の集合住宅内での計画。家族や友人とシェアできるリビングの要望に、集まるだけではない“様々な活動が同時多発的に起こる”空間を志向。個室の機能の一部も取り出してリビング内に多様な居場所を作る
  • 2024.5.20Mon
    山口誠デザインによる、東京・台東区のオフィスビル「MONOSPINAL」。ゲーム制作会社の本社。従業員の“集中力”と“リラックス”のバランス確保を目指し、環境要素も向上をさせる“斜壁”を持つ建築を考案。小スケールの素材を集積をさせる仕上げで“あらたな風景”を作る
  • 2024.5.15Wed
    廣部剛司建築研究所による、千葉・南房総市の「VILLA MKZ」。岩盤の露出等がある“複雑な条件”の土地。条件の間を“縫うような”計画を行う為、三角形を連続させた平面をベースとした“可変の余地を内包する”方法論で設計。海を向く諸室が“折れ曲がり”連続する空間を作る
  • 2023.12.20Wed
    稲山貴則建築設計事務所による、神奈川・逗子市の「緑道の家」。奥側で“緑道”に面する旗竿敷地に計画。豊かな環境を最大限に導入する空間を求め、床レベルと窓配置等の操作で歩行者の視線を意識せず“自然を眺められる”内外の関係性を構築。緑道と共に過ごす生活を提案する
  • 2023.8.08Tue
    古城龍児+小畑俊洋 / STUDIO MOUNによる、長崎の「雲仙の住宅」。施主所有の農舎の隣に計画。既存建物と新住居が一体となる“生活の場”を目指し、寸法や形状等を協調させて両者が呼応する関係を構築。日常風景を様々な場所に設けた開口部で切取り“新たな景色”として見せる
  • 2023.8.04Fri
    オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作る
  • view all
view all

建築求人情報

Loading...

 

    公式アカウントをフォローして、見逃せない建築情報を受け取ろう。

    60,896
    • Follow
    82,050
    • Follow
    • Follow
    • Add Friends
    • Subscribe
    • 情報募集/建築・デザイン・アートの情報を随時募集しています。
      More
    • メールマガジン/ メールマガジンで最新の情報を配信しています。
      More

    この日更新したその他の記事

    美術手帖、最新号(2009年2月号)
    サムネイル:美術手帖、最新号(2009年2月号)

    SHARE 美術手帖、最新号(2009年2月号)

    art|book
    現代美術

    美術出版のサイトに、美術手帖の最新号(2009年2月号)の概要が掲載されています

    美術出版社のウェブサイトに、美術手帖の最新号(2009年2月号)の概要が掲載されています。特集”就職サバイバル・ガイド 2009アートの仕事”です。

    美術手帖 2009年 02月号 [雑誌]
    B001O9UJ70
    美術手帖編集部


    Amazonで詳しく見る
    by G-Tools

    • SHARE
    現代美術
    2009.01.18 Sun 22:02
    0
    permalink
    “田中功起、言葉にする”が更新

    SHARE “田中功起、言葉にする”が更新

    art
    現代美術

    “田中功起、言葉にする”が更新されています

    アーティストの田中功起による”田中功起、言葉にする”が更新されています。美術解剖の粟田大輔との対話を聞く事ができます。

    • SHARE
    現代美術
    2009.01.18 Sun 19:29
    0
    permalink
    松田達のサイトの建築系ラジオが更新

    SHARE 松田達のサイトの建築系ラジオが更新

    architecture
    理論

    松田達のサイトの建築系ラジオが更新されています

    松田達のウェブサイトの建築系ラジオが更新されています。第19回目の更新。
    ■山田幸司はどうやって建築家になったのか?(第1部)
    ■南泰裕のアーキソフィア、レクチャー編 第6回「単位、その1」
    ■南泰裕のアーキソフィア、ダイアローグ編 第1回「旅、その1」
    の三本を聞く事ができます。

    • SHARE
    理論
    2009.01.18 Sun 19:21
    0
    permalink
    ジャン・ヌーベルによる、コペンハーゲンのコンサートホール”K3NC2RT HUS4T”

    SHARE ジャン・ヌーベルによる、コペンハーゲンのコンサートホール”K3NC2RT HUS4T”

    architecture

    ジャン・ヌーベルによる、コペンハーゲンのコンサートホール”K3NC2RT HUS4T”の写真がflickrにあります

    ジャン・ヌーベルが設計した、コペンハーゲンのコンサートホール”K3NC2RT HUS4T“の写真が15枚flickrに掲載されています。

    • SHARE
    2009.01.18 Sun 19:07
    0
    permalink
    2009.1.17Sat
    • 本江正茂による”都市へ仕掛ける建築 ディーナー&ディーナーの試み”のレビュー
    • 京都工芸繊維大学大学造形工学科卒業制作展09が開催[2009/2/11-2/15]
    • 京都工芸繊維大学大学院建築設計学専攻第4回修了制作展が開催[2009/2/11-2/15]
    • 京都で、ドミニク・ペローの講演会が開催[2009/2/13]
    • マルレーネ・デュマス展の動画
    • ほか
    2009.1.19Mon
    • 10+1のサイトの、建築系ラジオr4が更新
    • 住宅特集、最新号(2009年2月号)
    • 五十嵐太郎による、”レム・コールハース:ア・カインド・オブ・アーキテクト”のレビュー
    • 永山祐子による南青山のオフィスビル
    • WAKO WORKS OF ARTで、ジェームス・ウェリング展が開催[2009/2/5-3/14]
    • ほか

    Subscribe and Follow

    公式アカウントをフォローして、
    見逃せない建築情報を受け取ろう。

    「建築と社会の関係を視覚化する」メディア、アーキテクチャーフォトの公式アカウントです。
    様々な切り口による複眼的視点で建築に関する情報を最速でお届けします。

    60,896
    • Follow
    82,050
    • Follow
    • Follow
    • Add Friends
    • Subscribe
    • 情報募集/建築・デザイン・アートの情報を随時募集しています。
      More
    • メールマガジン/ メールマガジンで最新の情報を配信しています。
      More

    architecturephoto® News Letter

    メールマガジンでも最新の更新情報を配信中

    • ホーム
    • アーキテクチャーフォトについて
    • アーキテクチャーフォト規約
    • プライバシーポリシー
    • 特定商取引法に関する表記
    • 利用者情報の外部送信について
    • 広告掲載について
    • お問い合わせ/作品投稿

    Copyright © architecturephoto.net.

    • 建築
    • アート
    • カルチャー
    • デザイン
    • ファッション
    • 書籍
    • 展覧会
    • コンペ
    • 動画
    • テレビ
    • 特集記事
    • 注目情報
    • タグ
    • アーキテクチャーフォト ジョブボード
    • アーキテクチャーフォト・ブック
    • アーキテクチャーフォト・プロダクト
    • ホーム
    • アーキテクチャーフォトについて
    • アーキテクチャーフォト規約
    • プライバシーポリシー
    • 特定商取引法に関する表記
    • 利用者情報の外部送信について
    • 広告掲載について
    • お問い合わせ/作品投稿

    メールマガジンで最新の情報を配信しています

    この記事をシェア
    タイトルタイトルタイトルタイトルタイトル
    https://architecturephoto.net/permalink

    記事について#architecturephotonetでつぶやいてみましょう。
    有益なコメントは拡散や、サイトでも紹介させていただくこともございます。

    architecturephoto®
    • black
    • gray
    • white