小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 本館、2階、ポーチからエントランスドアを見る。「仙台七夕」をイメージした暖簾を設置している。 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 本館、2階、ロビーラウンジからフロント側を見る。 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 湯小屋、男湯 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 客室「紺碧の間」、居間から広縁を見る。(冬の風景) photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所 による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」です。
既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画です。建築家は、周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向しました。そして、一部の客室では地域の伝説も色として取り入れました。施設の場所はこちら (Google Map)。
秋保温泉は歴代の天皇、藩主が身体を癒してきた仙台の奥座敷とも呼ばれる温泉地です。
秋保温泉のほとりには城下町建設の物資の輸送と行商等、水運として当時の産業や文化発展の支えとなった名取川のせせらぎが聴こえてきます。
界 秋保は秋保温泉の中でも奥まった静かな立地で、名取川のすぐそばに佇む、豊かな自然に囲まれた環境にあります。平安時代から陸奥の歌枕の一つとして知られた名取川に浸食された美しい渓谷を、全客室から臨むことができる界 秋保。
私たちはそんな美しい水脈・風景に呼応した色彩、光を、仙台ガラスをはじめとしたご当地の民芸品の美しさと共に取り込みました。
エントランスでは仙台七夕をイメージした暖簾を設置し、「ゲストにより良い滞在をしていただく」という願いの意味を込めて、お出迎えします。暖簾は七夕の竹や笹をイメージした緑を基調とし、短冊の鮮やかさをピンクのグラデーションで表現しました。
名取川の大地を侵食し生み出された磊々峡から採石される秋保石をメインの施設サインに取り入れました。入口をくぐると古来より魔除けの意味を持つ風鈴の空間が広がり、美しい音色の響きや色彩でゲストをおもてなしします。
「松笠風鈴」は400年前に伊達藩の命を受け始まり、門外不出の技法で伝統を継承してきました。古来よりお守りとして軒先に飾られ、内外の切り替わりでもある風除室に取り入れることにしました。
ロビーラウンジでは、緑を基調とした空間としており施設横を流れる名取川や秋保の大自然と一体となった空間で迎えいれることを意図しております。大きな開口部はあえて上部に障子を設けることで施設傍らを流れる名取川と渓谷の大自然を同時に目線に飛び込ませるようにしています。
フロントではご当地の白石和紙を使用し、その地の暖かい光に包まれます。また内部空間は、元々棟木を覆い隠していた天井材や照明器具を解体し、迫力ある棟木を際立たせるように改修しています。土蔵の様式で作られた無柱の大空間が現れ、600mm角で10mの長さともなる、現代では考えられない程太く長い棟木が屋根を支え自然の生命力を表現しています。
客室「紺碧の間」は、名取川を眺めることのできる緑と一体化した特別な空間としております。
磊々峡のいにしえに伝わる伝説[紺碧の淵]を色として取り入れ秋保の自然と民話に包まれてもらうことを考えました。
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小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 本館、2階、ポーチからエントランスドアを見る。「仙台七夕」をイメージした暖簾を設置している。 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 本館、2階、風除室。400年前から魔除けとして飾られる文化がある「松笠風鈴」を設置 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 本館、2階、風除室。400年前から魔除けとして飾られる文化がある「松笠風鈴」を見る。 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 本館、2階、ロビーラウンジ photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 本館、2階、ロビーラウンジからフロント側を見る。 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 本館、2階、フロント。「白石和紙」を使用。 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 本館、2階、「ご当地部屋」 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 本館、1階、ライブラリー photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 本館、1階、テラス photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 本館、1階、食事ブース photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 湯小屋、男湯 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 湯小屋、女湯 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 宿泊棟と湯小屋の接続通路 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 客室「紺碧の間」、玄関側から廊下を見る。 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 客室「紺碧の間」、左:広縁、正面:居間、右:寝間 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 客室「紺碧の間」、居間から広縁を見る。 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 客室「紺碧の間」、居間から広縁を見る。(冬の風景) photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 客室「紺碧の間」、広縁(冬の風景) photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 客室「紺碧の間」、広縁の詳細 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 客室「紺碧の間」、書斎。現地の砂を使った仙台ガラスアートを設置。 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 客室「紺碧の間」、寝間。障子にご当地工芸の「こけし柄」を取り入れている。 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 2階、ロビーラウンジからフロント側を見る。夕景 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 2階、ロビーラウンジからフロントを見る。夕景 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 湯小屋、男湯、露天風呂、夜景 photo©堀越圭晋 SS
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 配置図 image©小大建築設計事務所
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、宮城・仙台市の宿泊施設「界 秋保」。既存建物を改修して新たな温泉宿にする計画。周辺に存在する“美しい水脈と風景”に呼応するように、色彩や光に加えて“当地の民芸品”も取り込む空間を志向。一部の客室では地域の伝説も色として取り入れる 客室「紺碧の間」平面図 image©小大建築設計事務所
以下、建築家によるテキストです。
秋保温泉は歴代の天皇、藩主が身体を癒してきた仙台の奥座敷とも呼ばれる温泉地です。
秋保温泉のほとりには城下町建設の物資の輸送と行商等、水運として当時の産業や文化発展の支えとなった名取川のせせらぎが聴こえてきます。
界 秋保は秋保温泉の中でも奥まった静かな立地で、名取川のすぐそばに佇む、豊かな自然に囲まれた環境にあります。平安時代から陸奥の歌枕の一つとして知られた名取川に浸食された美しい渓谷を、全客室から臨むことができる界 秋保。
私たちはそんな美しい水脈・風景に呼応した色彩、光を、仙台ガラスをはじめとしたご当地の民芸品の美しさと共に取り込みました。
エントランスでは仙台七夕をイメージした暖簾を設置し、「ゲストにより良い滞在をしていただく」という願いの意味を込めて、お出迎えします。暖簾は七夕の竹や笹をイメージした緑を基調とし、短冊の鮮やかさをピンクのグラデーションで表現しました。
名取川の大地を侵食し生み出された磊々峡から採石される秋保石をメインの施設サインに取り入れました。入口をくぐると古来より魔除けの意味を持つ風鈴の空間が広がり、美しい音色の響きや色彩でゲストをおもてなしします。
「松笠風鈴」は400年前に伊達藩の命を受け始まり、門外不出の技法で伝統を継承してきました。古来よりお守りとして軒先に飾られ、内外の切り替わりでもある風除室に取り入れることにしました。
ロビーラウンジでは、緑を基調とした空間としており施設横を流れる名取川や秋保の大自然と一体となった空間で迎えいれることを意図しております。大きな開口部はあえて上部に障子を設けることで施設傍らを流れる名取川と渓谷の大自然を同時に目線に飛び込ませるようにしています。
フロントではご当地の白石和紙を使用し、その地の暖かい光に包まれます。また内部空間は、元々棟木を覆い隠していた天井材や照明器具を解体し、迫力ある棟木を際立たせるように改修しています。土蔵の様式で作られた無柱の大空間が現れ、600mm角で10mの長さともなる、現代では考えられない程太く長い棟木が屋根を支え自然の生命力を表現しています。
客室「紺碧の間」は、名取川を眺めることのできる緑と一体化した特別な空間としております。
磊々峡のいにしえに伝わる伝説[紺碧の淵]を色として取り入れ秋保の自然と民話に包まれてもらうことを考えました。
伊達の城下町仙台で作られていた、現地の砂を使った仙台ガラスアートで現地の川のせせらぎ・水面のきらめきを表現いたしました。落ち着いた設えとしたベッドボードにはひっそりと仙台のご当地工芸のこけし柄を取り入れました。4枚建ての襖は横長の面積を最大限活かす為、施設傍らを流れる名取川の穏やかな渓流をイメージしました。
足湯を備えたテラスは渓流のせせらぎや風を五感通して感じることができ、四季折々に移ろう自然の美しさを享受することができます。長く雁行した形状が特徴の渡り廊下は、源泉が湧きでて流れゆく秋保の水脈を表現し、湯への期待感を持たせることを考えました。
秋保では「名取川」と「埋もれ木」を詠った古歌が数多く残っており、名取川と埋もれ木の情景を感じながら涼み寛げる湯上り処としました。温泉ではこけし陶器を洗い出し仕上げに使用し、仙台のご当地を感じる湯舟を計画いたしました。仙台では江戸時代に伊達政宗が食文化として名を広めてきた、仙台米や仙台味噌などが有名です。
ゲストにより仙台の食文化に触れながら愉しんでいただくため、お米をテーマとしたお食事処をデザインしました。ご当地楽部屋は伊達藩の作法に合う畳を使用し、伊達軍旗である「勝色金の丸の旗」のデザインを施した壁を背景にゲスト方が一つのテーブルを囲み、日本酒を嗜みながら伊達政宗公が大切にした酒席の心得に触れることができます。
■建築概要
施設名:界 秋保
住所:宮城県仙台市太白区秋保町湯元平倉1番地
設計・監理:株式会社小大建築設計事務所
施工:佐藤工業株式会社
照明計画:大好照明 DAISUKI LIGHT inc.
構造アドバイザー:株式会社田中哲也建築構造計画
家具製作:株式会社 天童木工、seventh-code株式会社
サイン・グラフィックデザイン: PINHOLE
暖簾:有限会社中むら
特注和紙製作(こけし柄):KAMISM 株式会社
仙台ガラス:海馬ガラス工房
秋保石:SANWA STONE
こけし陶器:石神窯
風鈴:松笠風鈴 江雲堂
建築面積:4,040㎡
改修面積:7,561㎡
敷地面積:26,040㎡(計画地すべての合計)
写真:堀越圭晋 / SS