SHARE 「伊丹潤展 手の痕跡」がTOTOギャラリー間で開催[2012/4/17-6/23]
「伊丹潤展 手の痕跡」がTOTOギャラリー間で開催されます。開催期間は2012年4月17日~6月23日。
韓国人の両親の下、日本で生まれ育った伊丹 潤氏は、二つの国のアイデンティティーを引き受けながら、独自の創造力で「手の痕跡」を自身の建築に刻み、芸術作品にまで高めようとし続けました。初期の代表作「墨の家」(1975年)や「石彩の教会」(1991年)など、素材を活かした存在感あふれる建築空間で知られていた伊丹氏は、1998年に竣工した韓国・済州島のゴルフ・リゾート施設をきっかけに、宿泊施設や教会、美術館、集合住宅といった済州島での一連のリゾート開発プロジェクトを手がけ、一躍、韓国での活躍の場を拡げました。こうした伊丹氏の活動は晩年に向かって円熟味を増し、2005年にはフランス共和国芸術文化勲章「シュヴァリエ」、2006年には金壽根文化賞、2010年には村野藤吾賞を受賞するなど、国内外の高い評価を得るに至りました。
展覧会では、デビュー作「母の家」(1971年)から逝去後の現在も進行中の韓国でのプロジェクトまで24作品を紹介します。模型や写真とともに、手描きにこだわった伊丹氏の多数のオリジナルのスケッチやドローイング、生前のインタビュー映像、愛用の書斎机なども展示し、氏の遺した「手の痕跡」を辿ります。
また5月17日(木)には、シンポジウム「伊丹潤・ひらかれる手」を開催します。二人の建築史家――グローバルな視点で建築・美術界を見続けてきた三宅理一氏と、現代建築を鮮やかに論ずる新進気鋭の倉方俊輔氏、 そして伊丹氏の遺志を継ぐ二人の建築家――伊丹氏の長女で、韓国での共同設計者でもあるユ・イファ氏と、伊丹潤・アーキテクツ設計室長の田中敏晴氏によって、これまであまり語られることのなかった伊丹氏の思想と作品を解き明かします。