architecturephoto®

  • 特集記事
  • 注目情報
  • タグ
  • 建築
  • アート
  • カルチャー
  • デザイン
  • ファッション
  • 書籍
  • 展覧会
  • コンペ
  • 動画
  • テレビ
  • すべてのタグ

建築求人情報

Loading...
2013.1.12Sat
2013.1.11Fri
2013.1.13Sun
震災復興支援活動関連企画「towards our ordinary life」、vol.6 report: 2012.12.15
サムネイル:震災復興支援活動関連企画「towards our ordinary life」、vol.6 report: 2012.12.15

SHARE 震災復興支援活動関連企画「towards our ordinary life」、vol.6 report: 2012.12.15

architecture|feature
復興支援

※これはarchitecturephoto.net 震災復興支援活動関連企画「towards our ordinary life」の関連記事です。

vol.6 report: 2012.12.15

text&photo=伊藤達信

12月半ば、久しぶりに石巻を訪ねました。まちはシンボルのひとつである石ノ森漫画館が再オープンするなどして次第に活気を取り戻しつつある一方、多くの更地がまだ手つかずのままで、これから復興に向けてまだたくさんの課題が残されているように感じました。

DSC_1222.jpg

この連載の初回に登場してもらったISHINOMAKI 2.0の本拠地「IRORI石巻」を訪ねてみると、入れ替わり立ち替わりいろんな人が出入りしていて、今ここでいろんなことが起こっているのを肌で感じることができました。この場所はまちのインフォメーションセンターとして地元の人たちのコミュニケーションの場となったり、外から訪ねて来た人の受け皿になったりしています。仮設住宅に暮らしているとなかなか近隣の人たちとコミュニケーションをとるのが難しいこともあるし、外から石巻に来てもどこに行っていいのかわからないという場合もあるので、こういった場所は大変重要な役割を果たしているのではないかと思います。
壁一面には「OPEN! ISHINOMAKI」というイベントの際につくられたポスターが貼られていて、石巻にあるいろいろなお店や拠点が震災後どのような道をたどって来たかがわかるようになっていました。

DSC_1076.jpg
それぞれの人たちがそれぞれの物語をそれぞれの言葉で伝えていて、震災が起こってから再開していくまでの苦労とともに、それに対する想いを強く感じました。
「石巻工房」では、最近ではベンチなどの定番商品だけでなく、全国のお店などでまとめて発注を受けることも多く、特注での家具製作も行なっていました。
DSC_1083.jpg
DSC_1090.jpg
当初から比べると作業人数も増えて場所も大きくなっていましたが、全国各地から注文が相次いでいて、またすぐに手狭になってしまいそうでした。また家具の製造だけではなく地元の高校生や子どもたちとのワークショップも積極的に行なっていて、そのときのアイデアが実際に商品として実現したものもあります。こうやって若い世代に技術や考え方を伝えていくことによって、今後新たな文化をつくっていく可能性を秘めているように思います。来年にはさらに活動の幅を広げていくようなので、これからの動向を楽しみにしたいです。
IRORI石巻ではイベントも多く開催されています。この日は連載の第3回に登場してもらったtanaprojectのワークショップが開催されていました。
DSC_1107.jpg
DSC_1237.jpg
これまでもtanaprojectのワークショップは何度か見せてもらっていましたが、今回の参加者はこの場所に馴染みのある方々ばかりだったので、ふだんよりもアットホームな雰囲気でおこなわれていました。その中でも特に印象的だったのは、子どもたちとISHINOMAKI 2.0の小泉瑛一さんとのやりとりで、この場所がいかに地元の人たちにとって愛着があるのかというのを見てとれました。
tanaprojectを主宰するもりひろこさんは、
「この活動を始めた去年(2011年)9月は、まだ仮設住宅で収納が必要なものでそれを手に入れることを目的に人が来ていました。けれどそれから1年3ヶ月経って、今は必ずしもすぐに必要なものではありません。それでも私がこの活動を続けているのは、ただ単に物理的な意味だけではなくて、ものを作る楽しさ、そしてそれとともにうまれる思い出を一緒に届けることができたらと思っているからです。1年9カ月が経ち、東京では震災のことがだいぶ風化してしまっていっているように感じます。そんな中で自分ができるのは、今もここに足を運び、ものを作ることの楽しさを伝え続けることなんだと思っています。」
と言っていました。震災から時間が経って東京や他の地域から足を運ぶということは少なくなっていますが、このような関わり方はひとつの可能性であるし、今後もかたちを変えながら続けていくことで、また新たな展開を期待できるのではないかと思います。
夜は「復興バー」にお邪魔しました。この日はYahoo!オークションで一日マスターの権利を獲得したじゅみこさんがマスターでした。
DSC_1249.jpg
じゅみこさんは静岡県在住で、今回は阪神大震災のときに何もできなかったという苦い経験と、石巻に肩肘張らずに気軽に遊びにきたいという想いからこの権利を落札されたそうです。この場所は未だ重苦しい雰囲気が漂う時期から気軽にコミュニケーションをとれる場として機能し、今も変わることなくその性格を保ち続けています。いろんな人が垣根なく接することのできるこの空気感は、ある種独特ではないかと思います。
短い滞在だったので今回紹介できるのは活動のほんの一部ですが、それでもいかに多岐にわたっているかはおわかりただけるかと思います。
ISHINOMAKI2.0の小泉瑛一さんは、「石巻は今、全国からいろんな才能が集まってきて、互いにぶつかり合って中央では起こり得ないような相乗効果が起きています。それらの知を集合させることで、いろんなイノベーションに取り組んでいくことができるのではないかと考えています。ここは今イノベーションを起こしていくべき状況にあると思いますし、またここでやる意味があるとも思います。確かに震災は多くの被害をもたらしましたが、今目の前に顕在化している課題をただ解決するだけではなく、地方都市の新しいモデルを提示したいと考えています。ISHINOMAKI 2.0としては、今いろんな場所で開催されている小さなワークショップやセミナーをネットワークして石巻を『学びのまち』にしていきたいと考えています。それが企業にとっても学校にとっても次世代型のソリューションを追求していく場となるし、今もっとも地方都市で必要とされていることなのではないかと思います。」
と今後の展望について語っています。ハードだけではなくソフトをつくっていくことは目に見えにくい部分もあってなかなかわかりづらいですが、その継続的な努力はこれからますます大きなうねりになっていくのではないかと思います。
石巻市は規模が大きく行政の力だけではなかなか復興のスピードが思うように上がっていかないところがありますが、ISHINOAMKI 2.0のような地道な活動がしっかりと根を生やしていっていることは特筆すべきことだと思います。石巻市は震災前いわゆる典型的な郊外都市で、シャッター街などの問題を抱えていました。それが震災をきっかけに新たに生まれ変わろうと考える人が次々に現れ、次第にいろんなところに影響を与えています。もちろんひとつの活動がまち全体を一気に変えるというのは不可能ですが、いろんな場所で同時多発的にさまざまな活動が起こることで結果として変わっていく方がむしろ健全だしそうあるべきではないかと思います。そしてそれはいつしか「被災地」という言葉を飛び超えて、これからの日本の地方都市のひとつの可能性を指し示していくようにさえ思えます。もちろん震災自体はネガティブなものですが、それを反転させてうまく良い方向へと進もうとする姿勢からは、他の地方に住むわれわれにとっても学ぶべきことがたくさんあるし、またそれが本当の意味で今回の震災について考えていくことにつながっていくのではないかと思います。

あわせて読みたい

トラフ建築設計事務所による、木製ピースでつくるペンギンのオブジェ「ISHINOMAKI PENGUIN KIT」
  • SHARE
復興支援
2013.01.12 Sat 21:06
0
permalink

#復興支援の関連記事

  • 2024.7.13Sat
    坂茂が代表を務めるボランタリー・アーキテクツ・ネットワークによる、石川・珠洲市での仮設住宅建設の様子を伝える動画
  • 2024.1.07Sun
    「北川啓介教授が能登半島地震の被災地へ屋内用インスタントハウスを届けました」(名古屋工業大学)
  • 2023.7.16Sun
    ノーマン・フォスターへのインタビュー「災害にどう対処するか」の動画。2023年7月に公開されたもの
  • 2022.9.28Wed
    稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐 / Eurekaによる、福井・吉田郡の住宅「Silver water cabin」。過去に豪雪等を経験した地域に計画。災害への“レジリエンス”を主題として、地面と距離をとる高基礎の建築と雪を切り離し地域の植生も考慮した外構を考案。内外で色彩を連続させ繋がりと生活の彩りも作る
  • 2022.7.14Thu
    MVRDVによる、ドイツの、オフィス「ショッピファイ・ベルリン」。コロナ禍以降の在り方を考慮し計画。共同作業の場に加え企業の文化拠点を目指して、快適な議論の為にカーテンでの間仕切りが可能なラウンジ併設の会議室を考案。街を象徴する要素も取り入れ活気を取り込む
  • 2022.7.12Tue
    妹島和世と原研哉が2022年3月に行った対話「コロナ禍におけるMUSEUM(箱物施設)の存在意義とは」の動画
  • 2022.6.10Fri
    長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・渋谷区の、ブルーボトルコーヒーの仮設店舗。コロナ禍に期間限定で開かれた間接接客を行う店舗。非対面状態で温もりの伝達を目指して、開閉で半透明アクリルから光が漏れる“蜂の巣”の様な木製什器を考案。技術連携でのスムーズな体験も想定
  • 2022.5.08Sun
    MVRDVによるリサーチプロジェクト「未来のフッゲライ」。世界最古のソーシャルハウジング“フッゲライ”の500周年を記念し開発、世界各地に新たなフッゲライを創造する為のもので、施設の分析から8つの構成要素を定義し3つのモデルケースも提示
  • 2022.4.29Fri
    //
    隈研吾建築都市設計事務所による、宮城の、復興の象徴となる人道橋「中橋」の写真
  • 2022.1.13Thu
    山村健+ナタリア サンツ・ラヴィーニャ / YSLA Architectsによる、東京・新宿区の集合住宅「Light House」。ホテルとしての建設中にコロナ禍の影響で居住施設へ変更された建築で、計画当初の非日常的な空間構成を逆手にとり、ポストコロナ時代に期待される新たな日常的空間の創出を目指す
  • view all
view all

建築求人情報

Loading...

 

    公式アカウントをフォローして、見逃せない建築情報を受け取ろう。

    60,896
    • Follow
    82,050
    • Follow
    • Follow
    • Add Friends
    • Subscribe
    • 情報募集/建築・デザイン・アートの情報を随時募集しています。
      More
    • メールマガジン/ メールマガジンで最新の情報を配信しています。
      More

    この日更新したその他の記事

    Fit建築設計事務所による東京の住宅「スキップフロアハウス」
    サムネイル:Fit建築設計事務所による東京の住宅「スキップフロアハウス」

    SHARE Fit建築設計事務所による東京の住宅「スキップフロアハウス」

    architecture|feature
    藤井将住宅東京Fit建築設計事務所

    fit-sama-07.jpg

    Fit建築設計事務所が設計した東京の住宅「スキップフロアハウス」です。

    • 続きを読む
    • SHARE
    藤井将住宅東京Fit建築設計事務所
    2013.01.12 Sat 20:32
    0
    permalink
    2013.1.11Fri
    • 伊礼智のインタビュー「”標準化”こそが、質の高い住宅を創り出す」
    • 長坂常 / スキーマ建築計画による写真スタジオ「BIFEpictures」の写真
    2013.1.13Sun
    • SANAAを特集したドキュメンタリー番組がNHKで放送されます[2013/1/19]

    Subscribe and Follow

    公式アカウントをフォローして、
    見逃せない建築情報を受け取ろう。

    「建築と社会の関係を視覚化する」メディア、アーキテクチャーフォトの公式アカウントです。
    様々な切り口による複眼的視点で建築に関する情報を最速でお届けします。

    60,896
    • Follow
    82,050
    • Follow
    • Follow
    • Add Friends
    • Subscribe
    • 情報募集/建築・デザイン・アートの情報を随時募集しています。
      More
    • メールマガジン/ メールマガジンで最新の情報を配信しています。
      More

    architecturephoto® News Letter

    メールマガジンでも最新の更新情報を配信中

    • ホーム
    • アーキテクチャーフォトについて
    • アーキテクチャーフォト規約
    • プライバシーポリシー
    • 特定商取引法に関する表記
    • 利用者情報の外部送信について
    • 広告掲載について
    • お問い合わせ/作品投稿

    Copyright © architecturephoto.net.

    • 建築
    • アート
    • カルチャー
    • デザイン
    • ファッション
    • 書籍
    • 展覧会
    • コンペ
    • 動画
    • テレビ
    • 特集記事
    • 注目情報
    • タグ
    • アーキテクチャーフォト ジョブボード
    • アーキテクチャーフォト・ブック
    • アーキテクチャーフォト・プロダクト
    • ホーム
    • アーキテクチャーフォトについて
    • アーキテクチャーフォト規約
    • プライバシーポリシー
    • 特定商取引法に関する表記
    • 利用者情報の外部送信について
    • 広告掲載について
    • お問い合わせ/作品投稿

    メールマガジンで最新の情報を配信しています

    この記事をシェア
    タイトルタイトルタイトルタイトルタイトル
    https://architecturephoto.net/permalink

    記事について#architecturephotonetでつぶやいてみましょう。
    有益なコメントは拡散や、サイトでも紹介させていただくこともございます。

    architecturephoto®
    • black
    • gray
    • white