前田茂樹と建築写真家の長谷川健太をゲストに迎えたトークショウ「建築のコレクティブネスをいかに伝えるか—建築と写真編」が京都で開催されます
前田茂樹と建築写真家の長谷川健太をゲストに迎えたトークショウ「建築のコレクティブネスをいかに伝えるか—建築と写真編」が京都で開催されます。開催日は2014年6月21日。場所は東山のHAPSオフィス。
現在、建築をめぐる状況の中で、単に建築物を生み出すのみならず、建築物や建築的な行為を通して、さまざまな状況に介入するような実践を多く見るようになっている。新築よりも改修が盛んな近年、ますます聞かれるようになった「セルフビルド」や「ワークショップ」といった言葉、「作品」「家」「不動産」という建築物の呼び方は、建築に関わる多様な主体を再認識させてくれる。
建築はもともとコレクティブな側面の多い行いであるが、その「コレクティブな側面」は伝えることが難しい。完成した建築を伝える一般的な「竣工写真」は、完成直後の人がいない空間を写すことで、建築家が建築物に込めた設計思想を明快な形で切り取る。一方、コレクティブな建築の側面は単一の主体による表現ではなく、竣工写真には写しきれない。
建築のコレクティブな側面を記録する、ということは、建築において記録すべき瞬間や対象(パフォーマンス)はいつ、どのようなものであるのか、を問うことに等しい。ある建築家にとっては竣工時が「ピーク」だったとすれば、その他の人たちにとっても同じような「ピーク」がある。その価値の複数性は、建築のコレクティブネスを示唆する。
そう考えるとこれは、建築という領域や、写真というメディアのみならず、「記録すること」をめぐる問題だと考えられる。もう少し具体的に言えば、「時間の編集」と「主体の複数化」が問題になる。そこで今回は、複数の立場と視点からその問題にアプローチし、記録として定着しうる「建築のコレクティブネス」とはなにか、を考えていきたい。