SHARE 原田将史+谷口真依子 / Niji Architectsによる東京都江戸川区の住宅「LGS HOUSE #01/ボーダーの家」
all photos©原田将史/Niji Photo
原田将史+谷口真依子 / Niji Architectsが設計した東京都江戸川区の住宅「LGS HOUSE #01/ボーダーの家」です。
軽量鉄骨部材であるC形鋼は、軽く、運搬がしやすい上に、加工が容易である。
このプロジェクトは、その特性を活かし、C形鋼を木造のように加工し、組み立てた住宅である。
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以下、建築家によるテキストです。
「木造のようにつくる鉄骨造の家」
軽量鉄骨部材であるC形鋼は、軽く、運搬がしやすい上に、加工が容易である。
このプロジェクトは、その特性を活かし、C形鋼を木造のように加工し、組み立てた住宅である。
工場においては、C形鋼を切断したものに穴をあけ、個別にジョイント金物を製作するのみとし、加工の際に場所をとらず、省スペース化を図った。基礎が完成すると、現場には工場加工済みの部材を搬入し、C形鋼とジョイント金物を、ボルト・ナットのみで組み立てる。C形鋼は一人で運べる重量のため、人力で躯体を組み上げることも可能であり、建て方の工程短縮を図ることも可能である。また、上屋が軽いため、基礎も軽く作ることができ、比較的地盤が悪い場所でも杭を必要とせず、鉄骨造ながら基礎工事を簡略化でき、コスト削減へと繋げている。
C形鋼のみで組みあがった鉄骨フレームに、一定の強度と剛性を持つ床材と外壁材・屋根材を躯体に直接留めつけるため、下地は不要となり、きわめて簡便に仕上工事が完了する。鉄骨フレームについてはあらわしとし、”見せるディテール”を心がけた。最後に、庇やバルコニー等を施主の要望に合わせてオプションとして用意し、それらを躯体に直接ボルトやビスで接合していき、結果としてオプションが施主のライフスタイルを表し、個性として表出した住宅が出来上がっている。
また、本プロジェクトは用途が住宅であるため、建物として技術表現に偏らず、住環境にも重点を置くように心がけた。
敷地は周りに建物が建つ旗竿敷地。前後は駐車場となっていることから、将来どんな建物が建つかわからない。そんな場所であるからこそ、どんな条件でもプライバシーを確保できるよう、周辺環境と内部環境の境界(“ボーダー”)として存在するようにした。
また、内部環境においては、プライバシーを確保しつつも光溢れる軽快で心地のよいリビングや休息できる落ち着いた寝室となるように、外周をぐるりとまわるハイサイドライト・ローサイド・腰壁のバランスを検討し”ボーダー”状に配置している。
なお、本プロジェクトは特殊鉄骨造を数多く手がけてきた鉄骨ファブより依頼を受けて始まったプロジェクトであり、今後鉄骨ファブと共に「LGS HOUSE」として展開していく為のプロトタイプとして位置づけられている。
■建築概要
設計(意匠):原田将史+谷口真依子 / Niji Architects
鹿島正/日南鉄構
設計(構造):木佐美慶太/オウヴィ一級建築士事務所
施工:日南鉄構株式会社
所在地:東京都江戸川区
用途:住宅(戸建)
構造:2階建鉄骨造
建築面積:52.85㎡
延床面積:108.28㎡
仕上
外壁・内壁:金属断熱サンドイッチパネル
屋根:塩化ビニル高断熱シート防水
柱・梁:表し塗装仕上げ
床:木質フローリング