SHARE 山本浩三建築設計事務所による東京・足立区の住宅「椿の家」
all photos©鳥村鋼一
山本浩三建築設計事務所が設計した東京・足立区の住宅「椿の家」です。
敷地は、幹線道路から少し入った住宅街であり、四面に二階、三階建ての建物が隣接する旗竿の敷地である。クライアントの要望は、愛車を内部から鑑賞できるビルトインガレージと、太陽光パネルを設置するための勾配屋根であった。
敷地面積に比べて、クライアントが必要とする面積が、さほど大きくなかった事や、以前は畑であった敷地の地盤の耐力が低かったため、地盤の接地面を大きく確保しながら、重量の軽い木造の平屋での計画とした。
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以下、建築家によるテキストです。
敷地は、幹線道路から少し入った住宅街であり、四面に二階、三階建ての建物が隣接する旗竿の敷地である。クライアントの要望は、愛車を内部から鑑賞できるビルトインガレージと、太陽光パネルを設置するための勾配屋根であった。
敷地面積に比べて、クライアントが必要とする面積が、さほど大きくなかった事や、以前は畑であった敷地の地盤の耐力が低かったため、地盤の接地面を大きく確保しながら、重量の軽い木造の平屋での計画とした。
二階、三階建ての建物が密集する環境の中で平屋を計画する問題としては、内部への採光、クライアントの要望である太陽光エネルギーの確保、また周辺建物との調和が挙げられ、建築のシルエットを決定づけられる屋根の計画から進めることが適切であると考えた。そこで、屋根の形式として、日本の伝統的な勾配屋根と、近代建築の景観調和の設計手法である陸屋根の二つを相互に組み合わせた計画を進めた。
クライアントの要望である太陽光パネルを設置する勾配屋根は、この規模の住宅が必要とするパネルの枚数分から、大きさを決定し、周辺建物の影を受けにくい敷地の中央に配置した。さらに勾配屋根を天井と一体となったプレーンな形状にし、等間隔の柱で持ち上げ、この架構を、東西から陸屋根を持つボリュームで支えた。
結果、内部には勾配屋根と、陸屋根のレベル差により開口が生まれ、東西の陸屋根の巾により、平屋の床に隣接する建物を払拭した空が現れた。外部には陸屋根による単調な水平ラインに、勾配屋根による内部空間が顕在化したラインが寄りかかる形で現した。
最後に内的、外的要因から生まれた3つのエリアに機能を落とし込み、住宅として成立させている。
■建築概要
所在地:東京・足立区
主要用途:専用住宅
竣工:2014年
延床面積:94.81m2
建築面積:94.81m2
構造:木造軸組工法・地上一階建