SHARE 長坂常 / スキーマ建築計画による、京都での展覧会「still moving」の会場構成
photo©スキーマ建築計画
photo©来田猛
長坂常 / スキーマ建築計画による、京都での展覧会「still moving」の会場構成です。
展示の会期は、2015年5月10日まで。詳細は公式サイトでどうぞ。
10 年程度の近い将来、京都市立芸術大学が、京都駅にほど近い「崇仁(すうじん)地域」に移転する計画が進んでおり、まずその地域とアーティストの交流を図るべく展示”still moving”開催され、我々はその会場構成を手がけた。
※以下の写真はクリックで拡大します
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作品:高橋悟《それから:Moving》2015年
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作品:かげうつし《Here After》2015年
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作品: 杉山雅之 《歩行視のためのオブジェーここに来しもの Which has comeー》2015
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作品:井上明彦+二瓶晃《Tracing Suujin》2015
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作品: 高橋悟《それから:Still》2015年
以下、建築家によるテキストです。
still moving
10 年程度の近い将来、京都市立芸術大学が、京都駅にほど近い「崇仁(すうじん)地域」に移転する計画が進んでおり、まずその地域とアーティストの交流を図るべく展示”still moving”開催され、我々はその会場構成を手がけた。
この地域は、京都駅から徒歩10分程度と好立地に加え、地域内に流れる高瀬川と鴨川、東山を望む素晴らしい眺望という豊かな自然に囲われながらも、数奇な歴史を介し、現在人口減少、スプロールなど現地に赴いてみなければ想像もできない問題を抱えている地域でもあり、用地買収後の土地が緑のフェンスのフェンスで覆われることから、街がそのフェンスで覆われ、ネガティブな街の表情を作っている。
その場所で我々は作品と同様、その地域自体にも来館者に興味を持っていただきたいと考え、二つの要素がパラレルに関係し来館者を取り囲むことを考えた。そのためにその間に立つ床を研磨し、綺麗な素地の面を作り、手垢ののった作 品や経年変化した周辺環境に対して差をつくり、コントラストを生み作品と地域環境が交じり合う展示空間をつくった。それによって何が作品で何が既存なのかを迷い、来客者の神経を研ぎ澄ませることを試みた。見られる対象のレベルを上げることも展示において大切なことだが、時に見る側の感度を上げることも同じように大事と考えている。
そして、その展示空間は元崇仁小学校内にとどまらず、周辺のフェンスで囲まれた買収用地まで範囲にいれ、双方の環境をつなげるよう、周辺で使われるフェンスを校舎内に取り込んだり、室内の研磨のように外部も草刈りなど敷地整備を行った。
■作品概要
タイトル:still moving
設計:長坂 常/スキーマ建築計画
担当:中田 雅実
所在地:元・崇仁小学校およびその周辺地域
主用途:展示会場
施工:株式会社 ゴードー (木製床研磨) / 株式会社 カンエツ (コンクリート製床研磨) / 橋爪工作所 (家具)
デザイン協力:安田 昂弘 (グラフィック/サイン)
会期:2015年3月7日 – 2015年5月10日