SHARE abanbaによる「二子玉川の動物病院」
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abanbaが設計した「二子玉川の動物病院」です。
二子玉川駅のそばに建つ4階建ての動物病院の計画。敷地はタワーマンションやオフィスビルの建設が進む多摩川沿いの高層建築群と、古くからの住宅街の間にある。
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以下、建築家によるテキストです。
二子玉川の動物病院
二子玉川駅のそばに建つ4階建ての動物病院の計画。敷地はタワーマンションやオフィスビルの建設が進む多摩川沿いの高層建築群と、古くからの住宅街の間にある。
クライアントは外科のスペシャリストであり、この動物病院では、地域の動物のための医療と、他の動物病院では手に負えない重症の動物のための高度医療が同時に行われることになる。そのためクライアントからは、日々進歩する医療機器の入れ替えが簡便にできるように、医療スペースへの外部からのアクセシビリティの高さと可変性、そして、今後人口が増えるこの地域において、ペットを介したコミュニティの拠点となるような動物病院とすることが求められた。
そこで、敷地条件から導き出された建物の外形を、シンプルな4層の筒状の空間として捉え、その中に現時点で必要とされる動物病院機能を乾式の間仕切り壁と家具、建具によって構成し、前面道路側は、今後導入が予定されている大型医療機器を直接入れることができるように、搬入ステージを兼ねたバルコニーを各階に設けることで、将来の変化を柔軟に受容することのできる計画とした。
それと同時に、通常は、閉じてしまうオペ室を含めた医療スペースの一部を前面道路側に配置し、大きな開口をとることで、アクティビティが、まちの風景の一部になっていくような、開放的な動物病院となることを目指している。また、1階はセットバックすることで、前庭やバルコニー下のスペースを広くとり、ベンチや植栽が置かれ、診察の際だけでなく、散歩の途中にも立ち寄ることのできるような設えとした。
外壁は600×1800の普通型枠打放し仕上げとしており、パネルごとの微妙な色や風合いの差やスケールによって、新築でありながら、古くからの街並みにも緩やかに溶け込んでいくことを意識した。内部は、白く簡素になりがちな医療スペースの中に、アクセントとなるように、構造体である壁や梁の一部をRC現しの部分を配置している。
番場俊宏 / abanba
■建築概要
所在地 東京都世田谷区
プログラム 動物病院
敷地面積 148.77㎡
建築面積 74.19㎡
延床面積 258.90㎡
階数 地上4階
最高高さ 11.24m
構造 RC造壁式構造
地域地区 第一種住居地域
防火地域 準防火地域
道路幅員 6.0m
地 区 第二種風致地区 (東京都風致地区条例)
世田谷区水と緑の風景軸 (風景づくり条例)
特定公共的施設(ユニバーサル条例)
意匠:エイバンバ/番場俊宏 番場絵里香
構造:ハシゴタカ建築設計事務所/高見澤孝志
施工:株式会社栄港建設/八橋佳昭
コンサルティング:ahed/岡田雅人
竣工 2015年3月