SHARE MAD Architectsによる、日本初のプロジェクト、愛知県岡崎市の住居兼幼稚園「クローバーハウス」
MAD Architectsによる、日本初のプロジェクト、愛知県岡崎市の住居兼幼稚園「クローバーハウス」です。
地方都市の長閑な田園風景に広がる住宅地の中、クライアントは両親の建てた実家の家屋で始めた幼稚園の業務の拡大に伴い、既存建物を解体し両親や外国人教師が共に住まう住居を兼ねた新園舎を建設することを決定した。
クローバーハウスは「大きな家」の中にて多様な世代と国籍の人々に囲まれて子供たちが学ぶ新しい幼稚園である。「語学を学ぶのは日常生活の行われる家庭環境の中であるべき」というクライアントの想いのもとに、幼稚園と住居の二つの機能を覆う屋根の下、昼は子供たちが開放的な空間の中で食事、勉強、遊び、会話、休息を体験し、そして夜にはクライアントの家族の生活の場と機能を変える。
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以下、建築家によるテキストです。
MAD Architectsにとって日本における最初のプロジェクトとなる、クローバーハウスの地鎮祭が5月13日愛知県岡崎市にて行われた。
地方都市の長閑な田園風景に広がる住宅地の中、クライアントは両親の建てた実家の家屋で始めた幼稚園の業務の拡大に伴い、既存建物を解体し両親や外国人教師が共に住まう住居を兼ねた新園舎を建設することを決定した。
クローバーハウスは「大きな家」の中にて多様な世代と国籍の人々に囲まれて子供たちが学ぶ新しい幼稚園である。「語学を学ぶのは日常生活の行われる家庭環境の中であるべき」というクライアントの想いのもとに、幼稚園と住居の二つの機能を覆う屋根の下、昼は子供たちが開放的な空間の中で食事、勉強、遊び、会話、休息を体験し、そして夜にはクライアントの家族の生活の場と機能を変える。
周囲に広がる凡庸なる日本の住宅地の風景を作り出している、規格生産された木造フレームのスケールと切妻屋根。すべて解体し新たに全く異なるものを新築するのではなく、この既存建物を注意深く解体し、その骨格となる木造構造の一部を再利用し、新たな建物の一部として内包する。ここで育ったクライアントの記憶と、この場で始まった幼稚園の記憶、そしてこの場で学び育つ子供たちの記憶をつなぐ装置としてこの木造フレームの風景が機能する。
古い木造の骨組みを新たに一枚の柔らかな布で覆う様にして既存の木造フレームと新しい構造体の間に空間が生まれ、「古さ」と「新しさ」の混じり合った曖昧な空間となる。この木造フレームは子供たちに日本の風景がどのようにして作られているのかというこの国の文化と歴史を伝え、同時に開きながらも閉じた学びの場となる。その多義的な空間は、様々な活動にあわせて変容し、絶え間なく差し込む日差しは室内に常に変化する影を作り出し、その空間は子供たちの好奇心と想像力を育む。
クローバーハウスは異世界へと繋がる洞窟、またはそよ風に靡く白いテントの様に田園の縁に鎮座する。規格化され標準化された住宅商品によって作られた風景を異化するかのように、一部が溶けた様な有機的な屋根形態を持つ。一体化された屋根と壁面は、白の粒子を纏った柔らかなアスファルトシングルを切り出しながら貼りつけるようにして、一枚の紙の様に全体を覆う。完成後は子供たちの豊かな想像力のキャンバスとして、クローバーハウスと子供たちの記憶を受け継いでいくことになる。
竣工は2015年12月予定。
■建築概要
建設地:愛知県岡崎市
用途:住居兼幼稚園
現状:建築中
敷地面積:283.28m2
建築面積:133.76m2
延床面積:299.63m2
設計:馬岩松、早野洋介、党郡
担当:米津孝祐、梁川悠煥、藤野大樹、ジュリアン・サトラー、ダビデ・シノラト
施工:吉良建設株式会社
構造:永井拓生