SHARE 建築家・松本光索とスカイザバスハウス・キュレーター大坂紘一郎が、現場に住込み、自らの手で改修したプロジェクト・スペース「Asakusa」
all photos©Nobutada OMOTE,Ippei Shinzawa
建築家・松本光索とスカイザバスハウス・キュレーター大坂紘一郎が、現場に住込み、自らの手で改修したプロジェクト・スペース「Asakusa」です。「図面、模型などを使わずに、アイデアの発想から施工までを現場でのやり取りのみで完結するという、通常の設計法とは異なる方法を試みた実験的なプロジェクト」との事です。
アサクサは、ギャラリー・キュレーターが運営する、40平方メートルの一般住宅を改築したプロジェクト・スペース。1965年に建設された本物件は、建築家 松本光索(スイス・チューリッヒ)と、スカイザバスハウス(東京)のキュレーター大坂紘一郎の3ヶ月に及ぶ現場住込み期間に両者の手によって設計、改装され完成した。
※以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
アサクサは、ギャラリー・キュレーターが運営する、40平方メートルの一般住宅を改築したプロジェクト・スペース。1965年に建設された本物件は、建築家 松本光索(スイス・チューリッヒ)と、スカイザバスハウス(東京)のキュレーター大坂紘一郎の3ヶ月に及ぶ現場住込み期間に両者の手によって設計、改装され完成した。
台東区浅草の中心部に位置する本物件は、戦後まもなく建てられた約20世帯の平屋住宅街の一部となっている。端切れや余り物を使って修繕され、場当たり的な増改築が重ねられてきたこれらの住宅の歴史が、建物の解体を通じて再発見されることとなった。そのため、改装作業では図面、模型作成など、あらかじめデザインを構想し実現化するという通常の設計方法から離れ、建築家とキュレーターそれぞれの視点から既存の要素に着目し、その場でディスカッション、スタディ、解体、施工を横断的に繰り返して決定するプロセスを重視した。その結果として、元々の垂壁の骨だけを残し、床板を畳とおなじ尺間法のサイズに置き換るなど、この建築がたてられた当時の文脈に応答し、その思考の痕跡を残した。
ある考えやデザインの自己実現の機会としてではなく、建築プロジェクトを他者との対話と関係構築の場として捉え直すこころみであり、模型をつくらず抽象的な言語の共有で細部を決定する手続きによって、プロジェクトの全景が部分の繋ぎ合わせとしてはじめて立ち上がった。部分と全体との反構築的な関係性については、思弁的唯物論の中心的論者として知られるグレアム・ハーマン著「The Third Table (dOCUMENTA 13)」(2013年)を参照した。
■建築概要
所在地:東京都台東区浅草
延床面積:40㎡
設計、施工期間:2015年3月~2015年6月
設計、施工:松本光索、大坂紘一郎(スカイザバスハウス)
施工協力:TANK
写真:Nobutada OMOTE, Ippei Shinzawa
アサクサホームページ:http://www.asakusa-o.com/