SHARE 沖津雄司が、東京 清澄白河のギャラリー・ミツメで行ったインスタレーション「highlight」
all photo©加藤達子・沖津雄司
沖津雄司が、東京 清澄白河のギャラリー・ミツメで行ったインスタレーション「highlight」です。
“日常に潜む見過ごしていること”をテーマに建築家と美術家の2人による展示である。
会場である“ミツメ”はエントランスが全面ガラスサッシの引き戸であり、大きな開口から室内に自然光が差し込むギャラリー。
この会場の空間条件を踏まえ、その差し込む自然光に輪郭を与え、浮き彫りにすることを考えた。
厚さ0.3mm、直径40mmの塩化ビニル板で出来たフレネルレンズに、スリットを4方向に施し、2918枚をグリッド状に組上げた。
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以下、建築家によるテキストです。
企画展 “point” のために制作したインスタレーション。
“日常に潜む見過ごしていること”をテーマに建築家と美術家の2人による展示である。
会場である“ミツメ”はエントランスが全面ガラスサッシの引き戸であり、大きな開口から室内に自然光が差し込むギャラリー。
この会場の空間条件を踏まえ、その差し込む自然光に輪郭を与え、浮き彫りにすることを考えた。
厚さ0.3mm、直径40mmの塩化ビニル板で出来たフレネルレンズに、スリットを4方向に施し、2918枚をグリッド状に組上げた。
できる限りプリミティブな自然光をそのまま室内に立ち上げるために、支持材などの余計な素材を使うことなく、薄くて柔らかいレンズだけで鉛直、水平方向の荷重に耐える構造を成立するようにしている。
かたちはギャラリーのサイズ、動線、会場構成、光の入射角などの条件から設計し、支え合うように立つ2枚の三角形が室内外の風景を切り分けている。
見る角度によって向こう側の風景がレンズの数だけ増幅して見えたり、レンズの集合体がきらめく球体に見えたりと、光と構築物が織り成す表層が様々に現れ、鑑賞者がお気に入りの視点を探し回ることで会場に回遊性が生まれることも考えた。
組上げられたレンズはひとつの光を複製し、多重に透過、反射を繰り返し、光を具象していく。
室内に具象化された光のボリュームは、対峙する位置によって見える光のきらめき方が様々に変わり、移りゆく外の光とリンクしながら室内の様相を静かに変化させ、外部の環境を直接的ではなく、繊細に柔らかく取り込んでいく。
室内外の環境による微細な光の変化は無量な変化となって現れ、一瞬の光の変化さえも鑑賞者の知覚の先、意識にまで到達し、空間認知をより確かなものにさせる。
室内に差し込む自然光を現象的な扱いで留めるだけではなく、具象することで物質的に捉え直し、光と影の余白を整えることを試みた計画である。
■建築概要
用途:インスタレーション
展示名:
point / 沖津雄司×長坂絵夢
http://mi-tsu-me.com/event/59/
会期:2016年1月22日ー25日
場所:ミツメ 東京都江東区常盤1-15-1 1F
http://mi-tsu-me.com
サイズ:w1128 d616 h1736
素材:フレネルレンズ (塩化ビニル板) t0.3mm φ40mm
撮影:加藤達子、沖津雄司