SHARE 川島範久+佐藤桂火 / ARTENVARCHによる、埼玉県所沢の住宅「Diagonal Boxes」
photo©yutaka suzuki
photo©yutaka suzuki
川島範久+佐藤桂火 / ARTENVARCHが設計した、埼玉県所沢の住宅「Diagonal Boxes」です。
大小の正方形平面の箱を重ねたシンプルなボリュームを、1階は敷地境界に沿って南東側に寄せて配置し、その上にリビングの大開口が真南に向くように、45度回転させて2階の箱を重ねた。この形状・配置計画により、隣家の敷地に落ちる影をできるだけ減らし、風を受け渡し、街路への圧迫感を抑えるとともに、住宅自体も存分に太陽と風を享受できるような、自然との繋がりを日々感じる光あふれる室内空間をつくり出した。
※以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
環境をシェアして自然と繋がる住宅
埼玉県所沢に建つ、祖父母・父母・子供2人の3世代の家族のための住宅。地球、自然、都市、近隣といった環境を他者とシェアしながら、自分たちも最大限享受できるような、全体性としての建築を目指した。分譲住宅団地の一角にある敷地は角地で、西側が畑に面して開けている。大小の正方形平面の箱を重ねたシンプルなボリュームを、1階は敷地境界に沿って南東側に寄せて配置し、その上にリビングの大開口が真南に向くように、45度回転させて2階の箱を重ねた。この形状・配置計画により、隣家の敷地に落ちる影をできるだけ減らし、風を受け渡し、街路への圧迫感を抑えるとともに、住宅自体も存分に太陽と風を享受できるような、自然との繋がりを日々感じる光あふれる室内空間をつくり出した。この配置によって分節された南西側と北西側のふたつのスペースは、それぞれ庭と駐車場とした。
2層吹抜けのリビングが家族の生活の中心となる。真南に向いた大開口をもつため、冬季には長時間日射が入り込み、夏季には庇によって日射が遮られる。リビングの前には半透明の壁と穴の開いた屋根で囲まれた半屋外的なバッファー空間を設け、街との距離感を調整した。玄関を挟んでリビングの反対側には祖父母のための和室を配し、2階には父母の寝室と子供部屋、書斎や第2リビングといった主に子世帯が使う諸室を配置した。和室や子供部屋は間仕切壁を追加可能とし、将来の家族変化に柔軟に対応できるようにした。
充填断熱と付加断熱、真空トリプルガラス、樹脂サッシ、断熱ハニカムブラインドおよび高気密処理を用いて外皮性能を高めた上で、床下に水の入ったペットボトルを蓄熱体として敷設し、冬季の日射を蓄熱できる全熱交換式の換気システムとすることで、暖冷房なしの自然室温状態でも快適な温熱環境とし、「自然との繋がり」を一層楽しめる住宅とした。なお、本住宅は低炭素住宅の認定を受けている。屋根には出力量10kW分の太陽光パネルを設置し、20年間の固定価格買取制度を利用しており、竣工後10年以内にイニシャルコストを回収し、以降は利益が得られる見込みである。
■建築概要
設計:川島範久+佐藤桂火/ARTENVARCH
設備:高瀬幸造/ARTENVARCH
構造:平岩良之
照明:永島和弘+永島有美子/CHIPS LLC.
施工:山崎工務店
基本データ
主要用途:専用住宅
家族構成:6人(父母+祖父母+子供2人)
敷地面積:220.16㎡
建築面積:103.71㎡
延床面積:134.48㎡(1F:93.85㎡, 2F:40.63㎡)
主要構造:木造
階数:地上2階
省エネルギー性能(H25基準)
地域区分:5
UA値:0.35W/m2 K (基準値:0.87 W/m2 K)
ηA値:2.1 (基準値:3.0)
C値:0.16 cm2/m2
一次エネ消費量(太陽光自家消費評価):66GJ/戸・年 (基準値:131.2GJ/戸・年)
設備概要
太陽光発電:10.08kW
HEMS:電力24 回路・ガス・水道
エアコン:冷房4.0kW暖房5.0kW
第一種全熱交換換気(ペットボトル水蓄熱利用)
照明:LED 照明/調光/人感センサー
給湯器:潜熱回収型ガス給湯器
浴室:高断熱浴槽・節湯型シャワー水栓
キッチン:節湯型水栓
トイレ:節水型トイレ(大5.7L/小4L)
浴室:高断熱浴槽/節湯型シャワー
利用制度
低炭素建築物認定制度
住宅性能表示制度(耐震等級2 、劣化対策等級1、維持管理対策等級3、断熱等性能等級4、1次エネルギー消費量等級5)
固定価格買取制度 (20年)
省エネ住宅エコポイント制度
所沢市スマートエネルギー補助金