all photos©長谷川健太
元木大輔 / Daisuke Motogi Architectureが設計した、東京・墨田区の、賃貸用ワンルームの改修「Nest Sumida Park」です。建築家自身が、「NEST 0.5LDKの部屋のシリーズ」と呼んでいる作品のひとつです。こちらは同シリーズで上野に建てられた「ネスト上野」です。
はっきり言って、普通のマンションはよくできている。
少しづつブラッシュアップを重ねてつくられた「普通」のひながたは、可もなく不可もなくというか、不可ができるだけない。特に住みたいとも思わないけれど、よくできているからそのマニュアルを斬新する必要もないし、アノニマスデザインという意味では、かなりピュアにできているとさえ思う。でも、メンテナンス性を追うあまりに、手触りとか、質感みたいなものに重きを置かなくなってしまった結果、ペンキの壁や無垢材のフローリングがリノベーションの標準仕上げとして、「やっぱり良いよね」と評価されているのだろう。とはいえ、表面の仕上げだけを問題にするのも、少しばかりやり甲斐がないのだけれど、マンションのシステム自体がよくできているので、全く新しい何かを作る必要もない、という自己矛盾からこのプロジェクトはスタートしたのだった。