SHARE 富永大毅による、東京のマンションの1住戸のリノベーション「垂木の住宅」
富永大毅のウェブサイトに、東京のマンションの1住戸のリノベーション「垂木の住宅」の写真が掲載されています
富永大毅のウェブサイトに、東京のマンションの1住戸のリノベーション「垂木の住宅」の写真が11枚掲載されています。
多摩産のスギ材を秋川の製材所からお施主さんに直接買ってもらうことで、工事費を上げずに無垢材を贅沢に使うことを目指したリノベーションです。
総量4.12㎥、長さ100mmから3mを超えるものまで総本数1446本のスギ垂木。これを大工の手によって角をうまくつくりながら積み上げ1本ずつ留めていくだけの簡略化した構法によって、自立する間仕切り壁と家具の中間のようなユニットをつくっています。
かつては家にいい木を使うことはステータスだった訳ですが、その文化がなくなり、林業全体が制度不良を起こして補助金ありきで回っている中で、木材を大量に使って、なおラグジュアリーな空間を実現できないか、ということにチャレンジしました。結果として改修前の近代の流通がつくる製品による空間から脱却し、スギの源平による色味の違いや、なるべく狂いが偏らないよう木表と木裏が交互に上になるように重ねられたそれぞれ表情の異なる木の小口、木の収縮により生まれたたくさんの小さな隙間がつくる、新しい流通がつくるある種の寛容さを体感する空間となったんじゃないかと思っています。
イノベーションやパラダイムシフトで起こる社会でなく、パラダイムを起源化することで、空間の質がどう変わるのかということを考えました。