SHARE 矢野泰司+矢野雄司 / 矢野建築設計事務所による、高知の、住宅の改修「相生町の家」
矢野泰司+矢野雄司 / 矢野建築設計事務所による、高知の、住宅の改修「相生町の家」です。
高知市の中心に位置する築35年程の建物の改修である。既存建物は1階テナント、2階住居、3階共同住宅として、機能で諸室が細かく間仕切られていた。主な要望としては、用途を全て住居に変更すること、60代の夫婦それぞれの部屋、毎月仕事で東京と高知を行き来する子供の仕事場と宿泊スペース、将来的に建物全体を賃貸や宿泊に転用できる自由度のある構成、などであった。
ライフスタイルが多様化し、住宅が単なる住まいとしての機能だけではなく、働いたり、社会に開かれた使われ方をしたり、人によって住まいに対する要求が画一的ではなくなってきている。そんな状況のなかで、これから夫婦が過ごす老後の時間や使い方の変更に耐え得る状態を、特定の機能を想起しない、明るく気楽な空気感によって作ろうと考えた。
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以下、建築家によるテキストです。
高知市の中心に位置する築35年程の建物の改修である。既存建物は1階テナント、2階住居、3階共同住宅として、機能で諸室が細かく間仕切られていた。主な要望としては、用途を全て住居に変更すること、60代の夫婦それぞれの部屋、毎月仕事で東京と高知を行き来する子供の仕事場と宿泊スペース、将来的に建物全体を賃貸や宿泊に転用できる自由度のある構成、などであった。
ライフスタイルが多様化し、住宅が単なる住まいとしての機能だけではなく、働いたり、社会に開かれた使われ方をしたり、人によって住まいに対する要求が画一的ではなくなってきている。そんな状況のなかで、これから夫婦が過ごす老後の時間や使い方の変更に耐え得る状態を、特定の機能を想起しない、明るく気楽な空気感によって作ろうと考えた。
具体的には、外壁と開口部はそのままにして、室内が外の環境と繋がり、開放感が得られるように既存間仕切り壁を取り壊し、床に大きく開口を設けた。特に、1階の半分を外部として、大きく通りに対して繋がりを得た。床開口の位置は階でずらすことで、既存外壁の凹凸と相まって、立体的な見え隠れを生み出し、場所どうしに適度な距離感をもたらしている。内部はスカイグレイ色で統一することで、光量が程よく調整された見た目に穏やかな室内環境となる。また、外の太陽の動きに合わせて、光が大きな気積の中を移ろう様子がスカイグレイ色の濃淡で感じることができる。
建物の構成としては、2階の両端を夫婦の部屋とし、それ以外を機能が定まっていない「ホール」と名付けた。このホール空間は街とつながり、内部でのプライバシーが確保されることによって、住まいでありながらも公共性のある使い方が無理のない形で可能となる。このように、地方都市の使われていない建物や部屋を再度見直し、街の余白として魅力的に転換することで、社会の中で新たな役割を再度果たせるようにできればと考えた。
■建築概要
所在地:高知県
主要用途:専用住宅
敷地面積:122.86㎡
建築面積:84.00㎡
延床面積:174.90㎡
構造:鉄骨造
規模:地上3階
構造設計:岡山俊介
設備設計:後藤美奈子
写真:長谷川健太
施工:勇工務店
竣工:2017年