SHARE 長坂常 / スキーマ建築計画による、宮崎の、延床面積440m2の住居+工場改修した「延岡の家」
長坂常 / スキーマ建築計画による、宮崎の、延床面積440m2の住居+工場を改修した「延岡の家」です。
宮崎県延岡市の夫婦のための住宅改修計画。
既存の建物は、お施主様が小さい頃には住居+工場として使われていた。
もともと木造の住居兼店舗が成長に合わせ鉄骨でスペースが拡張し、その後、鉄骨の倉庫も加わり3棟が連なった。鉄骨と木造が入り混じった2階建で、建築面積は230m2、延床面積は440m2の建物になった。それを建替ではなく、改修して住宅を作りたいという、雑誌『BRUTUS』の企画を通して出会った若夫婦からの依頼だったのだが、最初にその依頼をハガキで頂いた時、Google mapで場所を探し、建物をみて、本当に改築ではなく改修なのか?と目を疑ったのだった。
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以下、建築家によるテキストです。
宮崎県延岡市の夫婦のための住宅改修計画。
既存の建物は、お施主様が小さい頃には住居+工場として使われていた。
もともと木造の住居兼店舗が成長に合わせ鉄骨でスペースが拡張し、その後、鉄骨の倉庫も加わり3棟が連なった。鉄骨と木造が入り混じった2階建で、建築面積は230m2、延床面積は440m2の建物になった。それを建替ではなく、改修して住宅を作りたいという、雑誌『BRUTUS』の企画を通して出会った若夫婦からの依頼だったのだが、最初にその依頼をハガキで頂いた時、Google mapで場所を探し、建物をみて、本当に改築ではなく改修なのか?と目を疑ったのだった。
その後、そのご夫婦にお会いすることになったのだが、「昔に家族やその従業員で使っていた建物の記憶を大事にしたい」という熱い「おもい」をお聞きし、改修を前提として計画が始まった。さらに話が深まり、実際にご要望を色々お聞きすると、お施主様が求められている要素を全て盛り込んでも生活に必要な面積は170m2程度と小さく、全体に対して面積がだいぶ余った。
「面積が余る」という都会ではまず起きない事実に驚きながらも、所々に空洞を残しつつ場を描き、空間を再構成していった。そして、その空洞は未来への「おもい」として残した。
ただ、その空洞は単純に放置すればいいというわけでもなく、修繕と補強を加えつつ費用をかけて未来への「おもい」を込めて残した。ただその「おもい」はまだまだ具体的ではなく、実験とも言い得る試みである。ただやはり、その空洞、つまり建築の側からでもなく、内装からでもないその間にスペースが生まれたからこそ見えてくる、何か起こりそうなこのドキドキさせられるダイナミックな空間に、ただ無根拠な「おもい」をかけるのは私だけではないと思う。未来にここで何が起こるのか楽しみだ。
■建築概要
題名:延岡の家
設計:長坂 常/スキーマ建築計画
担当:山本亮介
所在地:宮崎県延岡市
主用途:住宅
施工:上田工業株式会社【リフォームセンターUEDA】
階数:2階
敷地面積:254.17㎡
建築面積:228.35㎡
延床面積:439.54㎡
構造:木造, 鉄骨造
竣工:2017年8月
写真:太田拓実