SHARE 江藤健太アトリエによる、宮崎・東臼杵郡門川町の住宅「門川の家」
江藤健太アトリエが設計した、宮崎・東臼杵郡門川町の住宅「門川の家」です。
敷地は宮崎県東臼杵郡門川町に位置する。周辺には残された田園や山の風景、住宅群がポツポツと現存し比較的開けた環境の良い場所であったが、予算的に建築主体工事費を一千万円台に抑える必要があり、形状の単純化や構造的に木造での計画が必須であった。
4人家族の建て主は、高齢の親や親戚、兄弟やその子供達、親友などを休日招いて大勢で集まる。その「集まる」という習慣に対し、家の中心に大きなホールを作成し多様な居場所を住宅内部に点在させようと考えた。
小さな家の中心に大きな吹抜けホールを設ける事で、多人数が集ってそれぞれが心地の良い距離感や居場所を見つけ出す。公園の様なフィールドと遊具のような拠り所を住宅内部に組み込み、そのつながり合う場所で新しい年代の家族のコミュニケーションのあり方を活性化させる事を意図した。
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以下、建築家によるテキストです。
門川の家
敷地は宮崎県東臼杵郡門川町に位置する。周辺には残された田園や山の風景、住宅群がポツポツと現存し比較的開けた環境の良い場所であったが、予算的に建築主体工事費を一千万円台に抑える必要があり、形状の単純化や構造的に木造での計画が必須であった。
4人家族の建て主は、高齢の親や親戚、兄弟やその子供達、親友などを休日招いて大勢で集まる。その「集まる」という習慣に対し、家の中心に大きなホールを作成し多様な居場所を住宅内部に点在させようと考えた。
建物は、平面的に8m×8mの単純な正方形ボリュームを選択。その中央に間口2.7m×奥行8mの多人数が集まれる大きな吹抜けホールを南北軸に配した。
この中央吹抜けホールの両サイドに東棟と西棟を分けて配置。東棟を間口3.6m、西棟を間口1.8mとし、東棟にリビング、ダイニング、キッチン、寝室スペースを配し、西棟には洗面、浴室、フリースペースを設けている。また、吹抜け中央ホールを中心に各室をくり抜いた開口や天井をオープンにつなげる事で、部屋と部屋との境界を曖昧にし、限られた気積の中で開放性を最大限に高めた。
同時に、吹抜け上部には、東棟・西棟を結ぶために90㎜L型鋼と厚さ6㎜の鋼製プレートの組み合わた薄いブリッジをジグザグに架け渡した。東棟・西棟をつなぎ回遊させる事で内部空間での人の身体性や好奇心を促す仕掛けとし、高さレベルでのホールとのつながりや視点の違いによる変化を与えた。また、STハンガーや手摺といった部材も付加し、余白や冗長性としての役割を吹抜けホールへ組込んだ。
外部と内部の境界には幅2.7mの木製大型引き戸を設けた。南側の庭や北側の田園風景をつなぎ、採光や通風及び豊かな風景を内部へ享受し、吹抜けホールを外部空間と直接つなげる事で半屋外の中間領域としても機能させる。また、不自由な存在として、土間コンクリートの階段や段差、各室や廊下との間に壁開口を各所に設けている。この段差や開口の寸法を400㎜や800㎜に設定する事で、座れる高さや手摺壁として調整し、空間における人の拠り所を生成した。
小さな家の中心に大きな吹抜けホールを設ける事で、多人数が集ってそれぞれが心地の良い距離感や居場所を見つけ出す。公園の様なフィールドと遊具のような拠り所を住宅内部に組み込み、そのつながり合う場所で新しい年代の家族のコミュニケーションのあり方を活性化させる事を意図した。
(江藤健太)
■建築概要
竣工:2019年4月
所在地:宮崎県東臼杵郡門川町
主要用途:専用住宅
家族構成:夫婦+子供2人
敷地面積:299.75㎡
延床面積:120.61㎡
建築面積:68.93㎡
構造:木造
設計監理:江藤健太アトリエ 担当/江藤健太
構造設計:寺戸巽海構造計画工房 担当/寺戸巽海
施工会社:株式会社 協栄 担当/別府秀昭
建築写真:矢野紀行 (矢野紀行写真事務所)