SHARE 山本嘉寛建築設計事務所による、奈良の「透き間の家」
山本嘉寛建築設計事務所による、奈良の「透き間の家」です。
奈良市にある大正時代に建てられた住宅のリノベーション。
建物は主に借家として用いられ、何度かの増改築を経て空き家になり放置されていました。雨漏りや蟻害によって柱・梁や土壁が深刻な被害を受けており、庭に増築された水廻りと伸び放題の樹木によって鬱蒼とした状況でした。
建替えも検討しましたが、3面道路後退の影響で同規模の建物が建たないことや、お施主様が町屋に住みたいという強いご希望をお持ちだったことからリノベーションを選択しました。
以下の写真はクリックで拡大します
■改修前の写真と図面。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
奈良市にある大正時代に建てられた住宅のリノベーション。
建物は主に借家として用いられ、何度かの増改築を経て空き家になり放置されていました。雨漏りや蟻害によって柱・梁や土壁が深刻な被害を受けており、庭に増築された水廻りと伸び放題の樹木によって鬱蒼とした状況でした。
建替えも検討しましたが、3面道路後退の影響で同規模の建物が建たないことや、お施主様が町屋に住みたいという強いご希望をお持ちだったことからリノベーションを選択しました。
しかし土壁を耐震補強し伝統構法で修復するためには新築を超える時間や費用が必要です。また家全体を断熱補強・高気密化すると屋内と屋外が緩やかに繋がった町屋らしい雰囲気も壊れてしまいます。
そのためコンパクトな居間を家の中心に据えて現代的な工法で耐震補強・断熱補強を行ない、その周りを玄関・収納・ガレージ・縁側・トイレ・書庫・階段から成る半屋外の「透き間」で囲んだ入れ子状の間取りとすることで、コストを押さえつつ、屋内・半屋内・屋外の3つの領域が重なり響きあうような、町家の雰囲気を引き継いだ住まいを設計しました。
■建築概要
竣工:2019.5.31
所在地:奈良市
用途:専用住宅
構造規模
木造2F
設計監理:山本嘉寛・三橋香織 / 山本嘉寛建築設計事務所
施工:[青山工務店]
構造設計協力:安江一平 / ワークショップ
キッチン:KAN WORKS
建具金物:つむぎ商会
古建具:寺川商店
金物:上手工作所
カーテン:fabricscape
外構:松下岳生 / soji
撮影:笹倉洋平 / 笹の倉舎
外部仕様
屋根:ガルバリウム鋼板縦ハゼ葺・既存桟瓦補修
壁:樹脂吹付 / エスケー化研・既存トタン板塗装・既存土壁補修・ガルバリウム鋼板 / 日鉄住金鋼板
床:モルタル金ゴテ抑え・既存補修
開口部:木製建具・既存アルミサッシ美装
内部仕様
透き間
天井:既存垂木・野地板・構造用合板OF
壁:構造用合板貼OF・AEP
床:モルタル金コテ押エ・ナラフローリング無塗装 / Nissin-EX
居間
天井/梁表しOF・構造用合板OF
壁:AEP
床:ナラフローリング無塗装 / Nissin-EX
キッチン
天井:AEP
壁:AEP・墨入モルタル金コテ押エ・フレキシブルボードUC・タイル貼 / 名古屋モザイク工業
床:ナラフローリング無塗装 / Nissin-EX
洗面室
天井:AEP
壁:AEP
床:ナラフローリング無塗装 / Nissin-EX
浴室
UB / LIXIL
階段
天井:AEP
壁:構造用合板OF・AEP 踏板/パイン集成OF
ライブラリ・子供部屋・主寝室
天井:AEP
壁:構造用合板OF・AEP
床:ナラフローリング無塗装
ロフト
天井:AEP
壁:AEP
床:構造用合板無塗装
内部建具
既存建具補修・アンティーク品リストア・米栂框戸OF・シナ合板フラッシュOF・合板フラッシュAEP
設備
給排水
給水:水道直結 給湯/ガス給湯式[リンナイ]
排水:下水道放流
換気空調
換気:第3種換気方式[三菱電機][宇佐美工業]
空調:施主支給
電気
施主支給