SHARE 八木祐理子+高田一正 / PAN- PROJECTSによる「PAPER PAVILION」
八木祐理子+高田一正 / PAN- PROJECTSが設計した「PAPER PAVILION」です。
期間限定のアートパヴィリオンとして設計され使用されたのち、現在はコペンハーゲンのミュージアム・クンストハルシャルロッテンボルグに移設されレセプションとして使用されているそうです。
本プロジェクトは3日間だけ行われる「CHART ART FAIR」という北欧最大のアートイベントの為のパビリオンの提案である。従来のイベント用のパビリオンは短期間で役目を終えるものの、数ヶ月、数年でも耐えうる強度をもった建築が提案されてきた。しかし私たちはこのような短期間のイベントに対し、3日間だけ耐え得る「適切な建築強度の設定 (Appropriate durability)」を新たなサステイナブルデザインの在り方として提案している。
その視点からデザインされたPaper Pavilionは、これまで一般的に建築素材として使用されてこなかった紙という素材を建築素材として再考する実験的作品となっている。
以下の写真はクリックで拡大します
■ミュージアムに移設された後の写真。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
本プロジェクトは3日間だけ行われる「CHART ART FAIR」という北欧最大のアートイベントの為のパビリオンの提案である。従来のイベント用のパビリオンは短期間で役目を終えるものの、数ヶ月、数年でも耐えうる強度をもった建築が提案されてきた。しかし私たちはこのような短期間のイベントに対し、3日間だけ耐え得る「適切な建築強度の設定 (Appropriate durability)」を新たなサステイナブルデザインの在り方として提案している。
その視点からデザインされたPaper Pavilionは、これまで一般的に建築素材として使用されてこなかった紙という素材を建築素材として再考する実験的作品となっている。
初期デザインイメージとして持った「ミノムシ」が、身の回りのものを集めて巣を作り各土地の個性を表現するように、Paper Pavilionはその都市で使用された紙を纏うことで完成される。パビリオンのファサード全体に都市の人々の活動が表象され、今年のCHART ART HAIRのテーマである “The Living City” を体現するものとなった。スキンとなる紙を付け替え、何度も新しい都市の情報を纏うことで、常に変化する都市のサイクルと共にあることが可能となる。使用される一枚一枚の紙に反映された情報はパビリオンと来訪者との活発なインタラクションを生み出し、従来の素材では成しえなかったイベント建築の在り方を提示することにも成功した。
パビリオンの主構造は移築可能なように設計されており、移動した先々の都市の色を反映し、常に異なる姿に変わり続けることが可能である。更に、パビリオンに使われた紙は既存の都市の古紙回収システムによってそのままリサイクルすることを可能としている。
Paper Pavilionは2017年のCHART最優秀パビリオンに選出された。その後Kunsthal Charlottenborg Mu-seumに移設され現在はレセプションとして使われている。
■建築概要
プロジェクト名:PAPER PAVILION
事務所名:PAN- PROJECTS
竣工年:2017
延べ床面積:10m2
場所:Kunsthal Charlottenborg, Kongens Nytorv 1, 1050 Copenhagen, Denmark
デザインチーム:八木祐理子、高田一正
構造デザイン:富岡庸平
クライアント:CHART ART FAIR
スポンサー:VICE Denmark, Underbroen, Wasara