小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、中国・広州省の既存建物をコンバージョンした宿泊施設「Hotel Far&Near Nanhao St.」です。
広州の旧市街地の中心部に建つ7階建ての建物を、若者向けのデザインホテルへとコンバージョンする計画。
亜熱帯気候で夏は長く冬は暖かい、一年中雨量が潤沢の為街には四季を通して緑や花が溢れている。広州を訪れてみると街の路地にはその豊かな緑と気候を享受しようと、人々の生活も街へ延長して営まれていた。広州の街並みは人の活気と色彩に溢れていた。
私達がコンバージョンを依頼された建物の周囲は、窓越しには隣人の洗濯物が見え、バルコニーでお茶をする会話が聞こえてくるような高密度な住居棟群エリアにあり、ホテルのビジターが周囲に住む住民の生活を阻害することなく、自然光を享受することの難しさが課題となった。
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以下、建築家によるテキストです。
広州の旧市街地の中心部に建つ7階建ての建物を、若者向けのデザインホテルへとコンバージョンする計画。
亜熱帯気候で夏は長く冬は暖かい、一年中雨量が潤沢の為街には四季を通して緑や花が溢れている。広州を訪れてみると街の路地にはその豊かな緑と気候を享受しようと、人々の生活も街へ延長して営まれていた。広州の街並みは人の活気と色彩に溢れていた。
私達がコンバージョンを依頼された建物の周囲は、窓越しには隣人の洗濯物が見え、バルコニーでお茶をする会話が聞こえてくるような高密度な住居棟群エリアにあり、ホテルのビジターが周囲に住む住民の生活を阻害することなく、自然光を享受することの難しさが課題となった。
建物は床が無い柱梁と外壁だけの状態でプロジェクトが開始された。私たちはワンフロアを4分割して標準フロア毎に4つの客室を計画した。各部屋の水平投影面積は小さくし客室数を最大限確保しながら、2層吹き抜けのメゾネットプランとすることで高さ方向に心地良さを獲得することが、この密集地には適していると考えた。水周りと寝室を上下階にコンパクトに計画し、2層吹き抜けのリビングにはUチャネルガラスを採用することで、遮音、断熱、自然光を確保しながら、周囲とのプライバイシーを確保した。
1階のメインロビーには、床スラブを施工する際に使うデッキプレートを120mmに刻み、積み重ねていくことで、特注のスクリーンを作り出した。適度に内外間の視線の横断をセーブしつつ、ライトシェルフ効果で拡散された自然光が建物の奥まで差し込み、やさしくゲストを迎え入れることを意図している。
■建築概要
建物名:Hotel Far&Near Nanhao St.
設計チーム:kooo architects
竣工年:2019年5月
建築面積:736㎡
建設予定地:中国広州省南濠街36号
施主:Hotel Far&Near
デザインチーム:小嶋伸也、小嶋綾香、Lin Hongdi、Wang Han
サインデザイン:佐野彩奈
写真:堀越圭晋 / エスエス