SHARE 中村拓志 & NAP建築設計事務所と大和ハウス工業による、広島市の「畑の下のラボラトリー(IROHA village)」
中村拓志 & NAP建築設計事務所と大和ハウス工業が設計した、広島市の「畑の下のラボラトリー(IROHA village)」です。施設の公式サイトはこちら。
広島の銘菓「もみじまんじゅう」を製造する老舗和菓子屋、「藤い屋」の新工場である。宮島口の店舗に引き続いて企画から設計、監理までを担当した。敷地は海を埋立てた工業地域でスケールオーバーした無味乾燥な場所であった。そこで我々は単なる工場ではなく、材料生産、研究、加工と消費がひとつながりとなった有機的な場を提案した。このブランドが地元に密着して、人の生活や自然を大切にしながら続けてきたお菓子作りを表現しようと考えた。
まずは菓子の製造と工場見学にとどまらず、つくる人の顔や材料の確かさ、企業哲学を広く伝える場所となるよう、工場と同じ面積の農園「畑LABO」を設けた。畑には小豆や小麦、レモンなどの果樹、アーモンド、オリーブなどのお菓子の材料となる樹木を植えて、食材の研究や食育の場とした。
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以下、建築家によるテキストです。
広島の銘菓「もみじまんじゅう」を製造する老舗和菓子屋、「藤い屋」の新工場である。宮島口の店舗に引き続いて企画から設計、監理までを担当した。敷地は海を埋立てた工業地域でスケールオーバーした無味乾燥な場所であった。そこで我々は単なる工場ではなく、材料生産、研究、加工と消費がひとつながりとなった有機的な場を提案した。このブランドが地元に密着して、人の生活や自然を大切にしながら続けてきたお菓子作りを表現しようと考えた。
まずは菓子の製造と工場見学にとどまらず、つくる人の顔や材料の確かさ、企業哲学を広く伝える場所となるよう、工場と同じ面積の農園「畑LABO」を設けた。畑には小豆や小麦、レモンなどの果樹、アーモンド、オリーブなどのお菓子の材料となる樹木を植えて、食材の研究や食育の場とした。畑中央のハーブガーデンの畝が続く大地をそのまま切り取って上部に持ち上げて、その下を空間とした。内部の中心にはテストキッチンを据えて、食にまつわる研究や新商品の開発を行い、その両サイドにはここで考案されたお菓子やパンが並ぶショップや食事ができる場所がある。
使用者は畑の中の周遊コースを通り、食工場の見学路を廻って「畑LABO」内の建物にアプローチする。建物は畑に潜り込むような佇まいで、客席のテーブルは畑の地面と同じ高さである。研究者やお客さんは普段とは異なる目線で、目の前の食材と対話しながら食事を楽しむことができる。また窓外の柱側面のフックには日干し竿が掛けてあり、収穫した農作物を天日干しすることができる。作物がカーテンとなって陽光を遮ったり、麦の影が天板にテーブルクロスの模様のような影を落としたり、四季折々の作物を通した柔らかな陽光が室内に降り注ぐ。農業と建築の境界がゆるやかに溶け合う中で、作物に包まれ、作物と同じ目線で過ごす建築である。
■建築概要
題名: IROHA village
所在地:広島県広島市佐伯区五日市港2丁目1-1
床面積:工場/1530.11㎡ 店舗/198.11m2 トイレ/33.30㎡
設計:中村拓志 & NAP建築設計事務所(基本設計+実施設計)
大和ハウス工業(実施設計)
施工:大和ハウス工業広島支社建築事業部(建築) + ダイダン中国支店(設備)
協力: 家具 増岡組
協力: 造園 和田造園
竣工年月:2017年12月
竣工写真:Nacasa & Partners Inc.
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・屋根 | 店舗屋根 | 人工土壌:ビバソイルt30、土壌改良剤 バーク堆肥糊入t30、植栽基盤:専用マットt85 |
外装・壁 | 外壁1 | 珪藻土配合化粧材かき落し仕上 |
外装・壁 | 外壁2 | 木壁部:耳付き米杉 レッドシダー保護塗料材キシラデコール塗布 t21xW275横張り |
内装・壁 | 内壁 | 木壁部:耳付き米杉 レッドシダー保護塗料材キシラデコール塗布 t21xW275横張り |
内装・床 | 床 | |
内装・造作家具 | 陳列什器・ベンチ | (増岡組) |
内装・キッチン | キッチン | (大和ハウス工業) |
内装・家具 | ショーケース什器 | (FUJIMAK) |
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