野中あつみ+三谷裕樹 / ナノメートルアーキテクチャーが改修を手掛けた、東京・北区の医療施設「赤羽のクリニック」です。施設の公式サイトはこちら。
クリニックの改修。
元々はRC造3階建ての1・2階を助産施設として、その医師世帯が3階を住居としていた職住一体の建築だった。今回は1階部分を別の医師が借り、新たに内科・腎臓内科のクリニックとして改修する計画である。
予防医療のために来院する方をメインターゲットとしていることもあり、クリニックらしからぬ雰囲気を求めていた。
しかし居抜きであることから、随所にクリニックとしての独特の要素があった。特に処置室にはいかにも昔ながらの処置室らしい光沢のあるタイルが使用されていた。h=1500程のそのタイル壁は、医療施設特有とも言える汚れ防止、車椅子衝突時の傷防止のためでもある背の高い巾木である。そこにヒントがあるように感じ、解体をすることなく重ねることで装いを新たにすることを考えた。
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以下、建築家によるテキストです。
クリニックの改修。
元々はRC造3階建ての1・2階を助産施設として、その医師世帯が3階を住居としていた職住一体の建築だった。今回は1階部分を別の医師が借り、新たに内科・腎臓内科のクリニックとして改修する計画である。
予防医療のために来院する方をメインターゲットとしていることもあり、クリニックらしからぬ雰囲気を求めていた。
しかし居抜きであることから、随所にクリニックとしての独特の要素があった。特に処置室にはいかにも昔ながらの処置室らしい光沢のあるタイルが使用されていた。h=1500程のそのタイル壁は、医療施設特有とも言える汚れ防止、車椅子衝突時の傷防止のためでもある背の高い巾木である。そこにヒントがあるように感じ、解体をすることなく重ねることで装いを新たにすることを考えた。
病院で待たされる時間というのは退屈と常々感じており、待合や移動を少しでも楽しめることを大事にした。ふかしたことで生まれる少し奥行きのある巾木壁は本や植物、装飾を引っ掛けられ、プレーンな壁になりがちなクリニックに変化を持たせている。
既存の細かく分節された室に連続する巾木壁を張り巡らせ、同じ素材でベンチを作った待合はサウナを彷彿させる。人々が健康のために意識的に訪れる点で、このクリニックは似ている。偶然にも施主はサウナが大好きで毎日通っていることを提案した後に知った。そんな施主だからこそ予防医療というめずらしいスタイルのクリニックを目指しているのだろう。息抜きでサウナに行く気分でクリニックに通ってもらえるような場所を目指した。次は本物のサウナ施設を作ろう、と話が盛り上がっている。
■建築概要
赤羽のクリニック
名称:赤羽もり内科・腎臓内科
所在地:東京都北区赤羽2-4-5
ロゴ・サイン:武村彩加
サインファブリック:jyu+ 永吉佑吏子
施工:ルーヴィス
写真:Ryuji Inoue
構造:RC造3F建ての1F
床面積:116㎡
設計期間:2020.1-2
施工期間:2020.3-4