後藤周平建築設計事務所による、静岡市のオフィス「CODO」。本社講堂の事務所への改修計画。新しい働き方を実験し発見する場を目指し、“積層と差異”の手法で複数の箱を重ねて水平方向にずらし空間を構成。通常とは異なる距離感や使い方を生み創造性を引き出す photo©長谷川健太
後藤周平建築設計事務所による、静岡市のオフィス「CODO」。本社講堂の事務所への改修計画。新しい働き方を実験し発見する場を目指し、“積層と差異”の手法で複数の箱を重ねて水平方向にずらし空間を構成。通常とは異なる距離感や使い方を生み創造性を引き出す photo©長谷川健太
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後藤周平建築設計事務所 が設計した、静岡市のオフィス「CODO」です。
本社講堂の事務所への改修計画です。建築家は、新しい働き方を実験し発見する場を目指し、“積層と差異”の手法で複数の箱を重ねて水平方向にずらし空間を構成しました。そして、通常とは異なる距離感や使い方を生み創造性を引き出す事が意図されました。
クライアントは、静岡県清水区を拠点とする老舗企業。
その本社ビルの中にある、社内イベント用の講堂をオフィスに改修する計画である。
求められたのは、会議、休憩、食事、イベントに使える空間。加えて、別フロアにある個人のワークスペースを補完する機能を持たせたいとの要望があった。また、これまでにない新しい働き方を実験して、発見していくためのガイドとなるような存在であることも期待された。
既存の講堂の空間を訪れてみると、天井が高く、一般的なオフィス空間に比べて気積の大きさが特徴的だった。そこで、一般的な水平に広がるオフィスとは異なる、既存空間の高さを活かした空間が作れないかと考えた。
具体的には、まずワンルームで天井高のある既存の空間を生かし、複数のボックスを積層させた。そして、水平方向に慎重にずらすことによって差異をつくった。この操作によって生まれたボックス上の空間がワークスペースとなる。
床レベルが異なり、ずれていることで、全体が緩やかにつながりながらも、様々な性質をもった固有のワークスペースが複数生み出される。働く人が、それぞれの仕事や状況に応じて、最適な場所を見つけられる状況を創り出そうとした。
立体的な構成を取り入れることで、近くに人がいても目線が合わず気にならなかったり、逆に遠くにいても身近に感じられたりと、一般の水平的なオフィスとは異なる距離感と関係性が生まれている。ボックスが生み出す段差は、床にも、ベンチにも、デスクにもなる。人の視点と行動によってその機能が切り替わる。たとえば、イベントの際はひとつの段がステージになり、周囲の段は客席になったりする。また、ボックスを円環状に配置することで、この機能がひと続きにどこまでも連続する。
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後藤周平建築設計事務所による、静岡市のオフィス「CODO」。本社講堂の事務所への改修計画。新しい働き方を実験し発見する場を目指し、“積層と差異”の手法で複数の箱を重ねて水平方向にずらし空間を構成。通常とは異なる距離感や使い方を生み創造性を引き出す photo©長谷川健太
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以下、建築家によるテキストです。
“積層と差異”の手法で創造性を引き出す空間をつくる
働く人の創造性を引き出すオフィス
クライアントは、静岡県清水区を拠点とする老舗企業。
その本社ビルの中にある、社内イベント用の講堂をオフィスに改修する計画である。
求められたのは、会議、休憩、食事、イベントに使える空間。加えて、別フロアにある個人のワークスペースを補完する機能を持たせたいとの要望があった。また、これまでにない新しい働き方を実験して、発見していくためのガイドとなるような存在であることも期待された。
既存の講堂の空間を訪れてみると、天井が高く、一般的なオフィス空間に比べて気積の大きさが特徴的だった。そこで、一般的な水平に広がるオフィスとは異なる、既存空間の高さを活かした空間が作れないかと考えた。
日常生活での経験を思い返してみると、水平方向の変化に比べて、高さ方向の変化は、わずかでも人の認識に与える影響が大きい。たとえば、自宅の電球を交換しようと椅子の上に立ったとき、見慣れたはずのリビングが全然別のものに見えたりする。また、電車内で立っているときに感じる人との距離感が、座席に座った瞬間に遠く感じられたりもする。
そのような、高さ方向の変化を取り入れることで、従来のオフィス空間とは異なるパースペクティブをもった、多様な働き方を促す場がつくれるのではないかと考えた。
ボックスの“積層と差異”で空間をつくる
具体的には、まずワンルームで天井高のある既存の空間を生かし、複数のボックスを積層させた。そして、水平方向に慎重にずらすことによって差異をつくった。この操作によって生まれたボックス上の空間がワークスペースとなる。
床レベルが異なり、ずれていることで、全体が緩やかにつながりながらも、様々な性質をもった固有のワークスペースが複数生み出される。働く人が、それぞれの仕事や状況に応じて、最適な場所を見つけられる状況を創り出そうとした。
立体的な構成を取り入れることで、近くに人がいても目線が合わず気にならなかったり、逆に遠くにいても身近に感じられたりと、一般の水平的なオフィスとは異なる距離感と関係性が生まれている。ボックスが生み出す段差は、床にも、ベンチにも、デスクにもなる。人の視点と行動によってその機能が切り替わる。たとえば、イベントの際はひとつの段がステージになり、周囲の段は客席になったりする。また、ボックスを円環状に配置することで、この機能がひと続きにどこまでも連続する。
加えて、ボックスの内部は備蓄倉庫となっており、海に近く、高い建物の少ない周辺地域の災害避難拠点としても機能する。
そして、“スラブ”が積層されているのではなく、“ボックス”があたかも無造作に積み上げられている様な状態として認知されることも意図した。もちろん要求に応えるべく機能は十分に検討されているが、人が働く場として予め想定された床をつくるのではなく、機能と無関係なボックスが積み上げられ、それが結果として働くための場となっている状況をつくろうとした。そのような在り方によって、この施設に求められた自由さや創造性を引き出す余地を、空間に与えられると考えたからである。
実際に完成した空間を訪れてみると、思い思いの場所を自発的に見つけ働く人たちの姿を見ることができる。水平に広がる空間に什器で区切られたワークスペースとは異なる、創造的な空間の在り方が実現されている。
ボックスと機能の関係性
このプロジェクトに先行して、ある書家の墓石を設計を行っていた(Aの墓石)。このプロジェクトで試みたアイデアが、本建築「CODO」における“積層と差異”の手法に繋がった。
この墓石では、弔いの原型である石を積むという行為に着目して、数種類の石を積層して差異をつくるデザインを行った。この差異によって生まれた隙間に、供物台や花立て、カロート蓋などの機能を埋め込んでいる。一見しただけでは全体の姿からそれぞれの機能を読み取ることができないが、使われた瞬間に明確に浮かび上がる。
後藤周平建築設計事務所による、静岡市のオフィス「CODO」。本社講堂の事務所への改修計画。新しい働き方を実験し発見する場を目指し、“積層と差異”の手法で複数の箱を重ねて水平方向にずらし空間を構成。通常とは異なる距離感や使い方を生み創造性を引き出す photo©長谷川健太
この「Aの墓石」で試みたデザインアプローチを、本プロジェクト「CODO」では、更に深めつつスケールアップして展開している。積み重ねたボックスの差異に、床、椅子、机、カウンターなどの機能を埋め込んでいる。表面の素材で少しだけ機能を示唆しつつも、ひと目ではその機能がはっきりと分からないような状態としている。それは、新しい働き方を実験する場として、働き方に合わせた空間の使い方や発想を引き出す為の余白としての役割を期待したからである。
積み重ねたボックスは、家具としては大きく、建築としては小さいスケールで、家具や建築のどちらとも言えるしどちらとも言えない絶妙な存在となった。この独特のスケール感によって、床になったりベンチになったりカウンターになったりと、視点によって機能も見え方も揺らいでいる。
プロジェクトの連鎖と建築家としての探求
「Aの墓石」で試みた手法が、本プロジェクト「CODO」につながったということは既に書いたとおりである。加えて、2019年に完成したこの建築以降も、“積層と差異”というデザインの方法論の探求は続いている。
具体的には2021年に完成した自邸「Blue office / Blue house」での、キッチン周りのデザインでも形を変え実現されている。そして、2022年に完成した住宅リノベーション「船越の家」の雁行する壁は、それを水平方向に展開しているとも言える。
建築の世界においては、作品それぞれに固有のコンセプトを打ち立て、それに従って固有のプランニングやディテールを追求していくという姿勢が王道と言えるだろう。もちろん、それ自体を否定するつもりはない。しかし、建築家として様々なプロジェクトに関わる中で、自身が発見したテーマを、デザインの根幹に据えて掘り下げていくことで、開かれる創造性や自由もあるのだと今感じている。
今後もこの“積層と差異”の可能性を考えながら、建築の可能性を追求していきたいと思っている。
■建築概要
名称:CODO
所在地:静岡県静岡市
主用途:事務所
プロデュース・プロジェクトマネジメント・クリエイティブディレクション:ロフトワーク layout unit
内装設計、家具設計:後藤周平建築設計事務所
構造設計:足立徹郎構造設計事務所
木材コーディネーション・家具製作・家具製作ディレクション:飛騨の森でクマは踊る
カーテンデザイン:森山茜(Studio Akane Moriyama)
サインデザイン:hokkyok
設計:2018年8月~2019年3月
工事:2019年3月~2019年8月
竣工:2019年8月
写真:長谷川健太